2017.12.31 (日曜日)
『 一月前半の開花状況 』
十二月の冷え込みが厳しく、年始の安心のため、減っているタンクに重油
の補給をした。リッター70円、4000リッターの給油。月初めの給油は69
円だった。エアコンだけでは朝の冷え込みをカバーできない。調子の悪い
暖房機のコントローラーを交換したら10万円、メンテナンスしながら古い機
器を使っている。開花不足に苦しんだ後半の一年だった。一月は開花量も
回復してくる。冬の需要期に穴をあけないよう、作付け面積を多くしてあ
る。今年、うれしかったことは、カトレヤの実生が初花をさかせ、予想以上
な美花を見ることができたこと、苗作りの腕を上げたこと。
2017.12.15 (金曜日)
『 十二月後半の開花状況 』
ドラムビート、グランデ、エベレットが咲いて、量は安定してくる。パメラフィ
ニーは開花が二輪くらいの株が多く期待外れとなった。夏以降の日照不足
の影響は大きく、まだ尾を引いている。株の老化率が若返り率を上回って
いる現状が逆転するまで苦しい展開が続く。カトレヤのマーケットが縮小す
る社会状況は変わらないと思いながらも、実生を一交配した。
2017.11.25 (土曜日)
『 十二月前半の開花状況 』
グランデの蕾が上がっている。オリジナル品種の初花も咲いてくる。開花
量は増える方向が見えてきた。
2017.11.14 (火曜日)
『 十一月後半の開花状況 』
開花量は回復に向かっているが、予想より遅れている。晴天日が多くなり
夜間の冷え込みも厳しく、冬型の気圧配置になり暖房シーズンが到来し
た。夏からの天候不順で作柄が悪く、秋の開花量は減少した。冬の収穫に
希望をかけて仕事に励んでいる。ハウスの内張りの修理をして暖房効率を
上げる工夫、外回りの点検、冬支度に忙しい。大修理は職人に頼めるが
細かい所は自分で直すしかない。栽培に専念するも、施設、設備の保守
点検を常に気にかけている。経営内容の把握も当然のこと。オールマイ
ティーな能力が要求される施設園芸全般の収益率の低下に歯止めがかか
らない。
2017.10.27 (金曜日)
『 十一月前半の開花状況 』
オリジナル品種が咲く。量は回復に向かっている。この時期を狙って電照
したエベレットの開花が遅れ気味、シースに蕾が透けて見える状態。後半
に開花ピークがずれ込む見通し。
2017.10.13 (金曜日)
『 十月後半の開花状況 』
中旬は、やや少なくなる。エベレットの蕾が上がっているので下旬には回
復してくる。
2017.9.27 (水曜日)
『 十月前半の開花状況 』
実生選抜からメリクロンしたオリジナル品種が、十月に自然開花し、主力
品種になりそうだ。ハウザーマン系も順調に咲き、安定した開花量が継続
する。
2017.9.15 (金曜日)
『 九月後半の開花状況 』
エベレットを主にハウザーマン系の秋咲品種が順調に咲いてきた。シェー
ド処理による花芽分化に成功したあとの気候が不順であった結果、計画よ
りも開花遅れになっている。株の充実度も不良で採花量も少ない。明日か
ら、台風18号の動向が心配、緊張感が高まる。
2017.8.26 (土曜日)
『 九月前半の開花状況 』
エベレットのシェード物が咲き始め、開花量は回復してくる。イングリッドの
圧倒的な質感には及ばないが、弁質は厚く、花もちも良い。苗上がりの株
が仕上がってきて、今年の秋は順調な開花が見込める。
2017.8.15 (火曜日)
『 八月後半の開花状況 』
シェード物のフィニーが咲き始める。植え替え一年目の株が多く、開花量
は少ない。日照不足の影響で生育は遅れ気味、株の充実度も悪い。花芽
分化しやすい気候が続き、秋咲き品種は年内開花の割合が増えるだろ
う。年末年始の開花に穴をあけない手立てを考えている。
2017.7.28 (金曜日)
『 八月前半の開花状況 』
フィニーの電照抑制した最後のエリアが咲く。今年の夏は、切れまなく咲い
ているが、量が少ない期間があった。カトレヤの栽培面積を減らし過ぎた
結果だ。六月から八月前半の開花量はコントロール面積を増やせば多くで
きるが、契約量を超えた花は捨てるこになる。どこかで増勢へ転じる日も
来るだろと、漠然とした期待感が現状維持の労働を支えている。消費の回
復がないまま消滅してゆくアイテムだと予測しながら、不安のなかで働いて
いる現実と相殺する感情は、「ケセラセラ」と胸に落ちて、百姓のDNAが
経営マインドを支配する。自分なりの将来予測と未来設計に自信をもって
進んでゆく。
2017.7.14 (金曜日)
『 七月後半の開花状況 』
開花量の回復に期待している。鉢当たり二輪しか咲かない割合が多く、誤
算が続いている。全量がフィニーで、秋咲き系の狂い咲きはゼロ。夏のマ
イナスを秋に取り返す算段で開花コントロールに取り組んでいる。肥培管
理を窒素過多にならないようにするのが花質の向上になるが、肥料が足ら
なかったようだ。植え替えのダメージとシラギヌ病、カイガラムシのトリプル
パンチをくらい、咲けない株も目立つ。殺菌剤を散布しないバーク栽培の
難しさがある。くじけそうになるが、ハウス内環境の改善を優先して、農薬
散布をほとんどしない栽培を追求している。
2017.6.28 (水曜日)
『 七月前半の開花状況 』
計画どおりに咲かなかった六月をひきずり、開花量はあまり多くならない。
余分に咲かせて、売り切れない心配が先行して、夏の開花を抑えている。
栽培面積の縮小、カトレヤの株の老齢化による収量低下が原因で不安
定な開花量になっている。若い株が十分な戦力に成長していない。もう少
しの所で苦しんでいる。今が頑張りどころ。
2017.6.13 (火曜日)
『 六月後半の開花状況 』
フィニー系の順調な開花が見込まれる。計画より遅れ気味な咲き方で、寒
さの影響を受けている。空梅雨の予想も出ており、秋咲き品種の開花コン
トロールの決断時期が難しい。栽培規模を縮小しているので、余剰面積を
賭けにまわす余裕がない。契約量を確実に咲かせることを最優先にしてい
る。それでも失敗して欠品期間をつくる秋の開花に、カトレヤ栽培の難しさ
を思い知らされる。低コスト放任栽培で、咲いたら、咲いただけ売る生産者
が残り、手間暇おしまず、周年を最高な品質で咲かせる生産者が廃業、転
業する業界になってしまうのか。高コスト構造でしか生産できない蘭の植物
的本質を、経営の強みにしていける方向でとりくんでいる。
2017.5.30 (火曜日)
『 六月前半の開花状況 』
少なくなった開花量も回復してくる。イングリッドの開花コントロールは六月
と七月に開花が集中しやすく、高温多湿の環境を改善する努力で花痛み
を回避する。需要とのからみで、ロス率も高くなりやすい夏の販売成績は
経営内容の良し悪しを決める。秋への開花コントロールを左右する梅雨と
の関連で、栽培技術の腕を要求される。この数年は、バークの白絹病に
悩まされ、カイガラムシの追い討ちをうけ、株の成熟が思うようにならず苦
戦してきた。経営改善は栽培から立て直す方針で、植え替え作業に励んで
いる。
2017.5.19 (金曜日)
『 五月後半の開花状況 』
イングリッドはやや少ない開花量になり、シドニーが補完して咲く。今月下
旬から六月初旬は、不安定な開花になりやすい。今年は秋咲き品種の芽
が丁度良い生育ステージにあり、開花コントロールがうまくいきそうだ。肥
料配分と栽培温度が適正に管理できたので、秋の安定開花に結びつくだ
ろう。
2017.4.27 (木曜日)
『 五月前半の開花状況 』
イングリッドを主に順調な開花が継続する。需要の少ない季節とみて開花
計画を設定している。案外にコントロールが微妙な期間で、少なすぎた年
もある。温度と日照が適度な季節で、見る見るうちに生育する様子がわか
り、植物の生命力を感じることができる。低温対策から解放されホッとする
とともに、夏対策へ切り替える時期でもある。経営マインドも挑戦的になれ
る季節となる。
2017.4.15 (土曜日)
『 四月後半の開花状況 』
フィニー系の順調な開花が継続する。春は苗の鉢増し作業、開花株の植
え替え、灌水回数の増加、と多忙をきわめる。雑草の繁茂が気になるが除
草剤は後回しにしている。アザミウマの発生が少ないのが救いで、今冬の
低温による恩恵かもしれない。蘭に限らず、趣味性のものは愛好家だけが
残り、拡大はしないが、これ以下には減らない状況になっている。小さいが
確実なマーケットであり、要求する水準は高い。栽培難易度の高い品種、
希少性があり増殖が難しい物を求めている。どこにでもある、ありきたりの
ものはいらない。経営の転換点を実感する生産者の共通認識でもある。
具体的に栽培実験を始めて、商品として完成させるまでの年月を短縮する
には数をこなすしかない。模倣されない工夫も大事で、粗製乱造ができな
い商品、ブランドの確立が必須になる。直販、代理店販売ができる魅力的
なブランドを作り上げる。満開の桜は楽しい夢を見させてくれる。
2017.3.30 (木曜日)
『 四月前半の開花状況 』
イングリッドの開花がはじまり、開花量は回復してくる。今までの、年間を
平均に割り振る開花計画から、需要期に多く作付ける栽培に変更して効
率化を目指している。需要の少ない時期には過剰に咲かせないことでハウ
ス面積の有効化率を高めている。限られた需要に対応する方策は正確な
開花計画にあり、開花コントロール技術は高度な水準になる。気象条件に
影響をうける植物の性質を熟知した、日常の生育観察が大切になる。
2017.3.14 (火曜日)
『 三月後半の開花状況 』
三月前半の開花状況は順調に推移した。後半から春咲き品種へ移行して
開花量は少な目になる。フィニー系は抑制処理が主軸で自然開花面積は
少なく、切り替わる時期に開花量の不安定な期間ができる。
2017.2.16 (木曜日)
『 二月後半の開花状況 』
多い開花量が続く。抑制処理したグランデとドラムビートを主とした開花構
成へ移行してくる。冬の開花コントロールは完璧な効果をあげている。白カ
トレヤは販売不振で作付の削減を考えている。大型すぎるパメラフィニーも
減らす。変異して小型化したストラスフェアを残す。エベレットは安定的な開
花は冬に限られ、秋に咲かせるコントロールは難しいが総合的にみると営
利性は高い。株の老化で収量の低下に苦しみ、新品種を導入した十年を
総括した結論は、草創期の最強四品種を超えるカトレヤは見つからなかっ
た。春から夏のフィニー、秋から冬のエベレット、冬のグランデ、冬から春
のドラムビート。その他多数は補完品種でしかありえなかった。混迷したあ
げく最初に戻った結果だが、再メリクロンをして四品種とも開花株に成長し
ている。向こう二十年は盤石な品種構成が完成した。需要に見合う面積で
開花コントロール技術を生かした栽培体系を構築してゆく。
2017.1.26 (木曜日)
『 二月前半の開花状況 』
順調な開花が継続する。エベレットを中心にパメラフィニー、ムーンビーチ
、ハワイアンホーナー、グランデなど抑制処理していた品種が咲く。ドラム
ビートは、さらに抑制していて三月から咲かせる。遅らせるほど花質は良く
なるが、花飛びのリスクもある。生育サイクルも狂いやすく、植え替え後の
作落ちもある。良いものは安くは作れない。てんでんこの規格で、秀品の
基準がないカトレヤ業界の欠点がブランド力を落としている。個々の生産
者のブランドが定着して、組織力は無力となっている。花き流通業界の経
営難を生産構造の変革に求めても、生産者の体力は消耗している。販売
戦略を主導できる指導者の育成が急務と思える。
2017.1.14 (土曜日)
『 一月後半の開花状況 』
多い開花量が続く。メリクロンしたドラムビートの初花が咲いてきた。変異
はなく正常な花で安心した。株が素直でオリジナルに近い姿を維持して
いる。実生から選抜したオリジナル個体もメリクロン変異はなく初花を確認
できた。フィニーの実生から選抜した個体も苗になっている。10年前の目
標を達成した。蘭が好きでたまらない気持ちが育種を進めるエネルギーで
あり、仕事を楽しくする。いずれ、利益がついてくる時代もくるだろう。
2017.1.1 (日曜日)
『 一月前半の開花状況 』
順調な開花が継続する。抑制処理したエベレットを主軸にパメラフィニー、
ストラスフェアが咲き、一月の開花量は安定している。白カトも増えてくる。
映画「ゴッドファーザー」を見たら、結婚式に白赤のカトレヤをコサージに、
葬儀には白カトレヤとラベンダー色をふんだんに飾っていた。洋蘭需要の
変遷をテレビドラマや歌番組の再放送で見ることもある。今はカトレヤがあ
りふれた花となり葬儀需要も胡蝶蘭に変わっている。この先の消費動向を
見極めることは難しく、生産者間の我慢比べが続いている。コストをかけ品
質にこだわる生産者ほど苦しい経営展開となっている。息子が先導し、カト
レヤ専作からパフィオペディラムの導入による、二本柱の経営も軌道に乗
りつつある。長い道のりは続くが自分の感性を信じて交配を続けてほし
い。実生の魅力が洋蘭をあきらめない原動力であり、将来の洋蘭業界の
再生へ結びつくと信じている。