2004.4.05(月曜日)
『電照栽培』
カトレヤの営利栽培は電照による開花コントロールで成り立って
いる。昼間を16時間日長にする方法は光中断による深夜電照でも
夕方から点灯する初夜電照、または早朝点灯を組み合わせた16時
間明期でも効果に変わりがない。40ワットでも60ワットでも照明
範囲が適正なら有効。日割り、時間割りのセットは電照菊の技術が
応用される。成功の秘訣は、カトレヤの芽がスタートした時点の明
期時間を認識すること。短日なら花芽分化を促進する条件が常にあ
り、長日なら花芽分化はしないという原則を忘れないで栽培管理に
あたる。4月になったから長日期、夏だから放任栽培で大丈夫と考
えると失敗する。反応の敏感な秋咲き系品種は曇天の繰り返しが続
くと花芽を形成したあげく、高温期に促進して夏に開花する。春先
の油断が夏の価格を暴落させる原因のひとつになる。

2004.4.12(月曜日)
『シェード処理』
短日条件を人為的に作って花芽分化を誘発する方法で施設園芸全
般で広く普及している。カトレヤの場合、春咲き系品種を秋まで
抑制する技術になる。秋咲き系品種より品質が優れ、花もちが良
いフィニ−系を使用する。3月初旬までは去年の夏から電照抑制
していた株を消灯するだけで開花を遅らせることができ、8月初
旬が最終開花になる。それ以降、9〜10月にフィニ−を開花させ
るには『シェード処理』をする。カトレヤの株に直接シルバーポ
リを被せる方法とハウス全体を暗くする方法がある。夕方5時から
翌朝9時まで暗期にするのが一般的。『シェード処理』中は室温を
25度以上にすると蒸れて蕾みが腐ることがある。ベタ掛けの場合
は問題ないが部屋全体を暗くする場合は冷房が必要になる。期間
は最低30日から40日は必要。長過ぎると理論的には日照不足にな
り生育障害をおこす。事実、開花期は遅れる。

2004.4.19(月曜日)
『積算日照時間』
夏日を記録するようになり外部遮光に切り替える季節になった。
花の質を上げるために『葉焼け』を勲章と考えるくらい強光線で
カトレヤを栽培する。遮光率の高いハウスや、屋根の汚れで暗い
ハウスのカトレヤは葉色の緑が濃く、株も素直でみずみずしく、
まさに温室育ちと言える。光りを強く栽培するハウスの葉色は黄
色い、株は荒れて見えるが力強さを感じる。肥満と筋肉質の例え
がわかりやすい。光線不足で栽培した場合、開花輪数の減少、秀
品化率の低下など生育不良の結果があらわれる。積算日照時間は
温度と共に花芽分化の誘導と花芽の発達を規定する。気候の変化
に実践的に対応して開花コント−ルの実を上げる。冬と違い寒暖
の差、晴天曇天の変化が大きい季節なので細かい管理に気を配る
ことが夏から秋の開花を安定させる。日射センサーに頼る場合は
ワイヤートラブルに気をつける。手動で遮光カーテンの開閉をす
るのも方法。遮光ネットは固定しないほうが良い。

2004.4.26(月曜日)
『栄養生長』
春の芽吹きは植物としての共通なリズムだが開花コントロールの
影響で芽吹きの時期は移動する。独自のサイクルになると春咲き
系が秋咲き系と同じ生育サイクルに変化したようになる。栄養生
長と同時に花芽分化が進行していく夏咲き系のパターンに陥ると
コントロールは失敗する。栄養生長期間を一定に保つ環境を作る
技術が核心をなしている。花芽誘導の条件は常にあり、カトレヤ
は誘惑に弱い性質をもっている。春から初夏と晩夏から初秋が外
的要因による花芽分化の起点となる。内的要因である植物体自身
の栄養状態が案外落とし穴になりやすい。根の傷みによる株の衰
弱がある場合は生殖生長がすべてに優先しておこる。栄養生長が
順調におこなわれることを前提に開花計画は成立する。栽培がう
まくできないと開花コントロールは成功しない。植え替えのたび
に株が増えるようだと栽培技術も高いといえる。