2005.12.05(月曜日)
『ハウス、タイムスケジュール』
1日、京都から息子を呼び寄せて、ハウス建設への意思確認をし
カネコ種苗との見積もり打ち合わせに同席させた。エフクリーン
のハウスに決めて最終見積もりを依頼、来週うちに業者の選定を
して19日に営農センターで申し込み書の作成、25日申請の段
取りで来年3〜4月着工。今日、渡辺パイプの営業マンが来訪、
現地確認、仕様の説明。相見積もりの経緯にも好感をもてる対応。
時間的な制限があるので早急に見積もり金額を提示するよう依頼。
駆け引きなし、単純に安い方にお願いすると話した。資金の申込
書に鉛筆で下書きして準備を進めている。農協の窓口業務の担当
者は優秀で、親切。かつてのダーティーなイメージを払拭する機
会になれば、今後の付き合いにも変化がある。あす、高崎駅まで
息子を送っていく。今年は開花量が少なく、売り上げは激減、赤
字経営、先行きの不安は大きい。軽石コンポストへの変更、植え
痛み、最大のピンチ。それでも息子は跡をやると言う。P Oフイル
ム で安作りしようとした事を翻し、現在ある中で最高のハウスを
建てる。
2005.12.12(月曜日)
『冬本番』
昨日、今日の冷え込みは厳しく、ハウスの軒からツララが下がっ
た。重油の消費も激しく、今日、14000リッターの給油をし
た。ざっと概算して80万円くらい。第一次オイルショックの時
はリッター82円で配給式だった、それを思えば優しいもんだ。
負け惜しみと強がりで、この冬を乗り切るつもりだ。12月後半
はドラムビートの開花で量の回復が見込めそう。来年の開花量で
軽石コンポストの評価がでる。思ったより苦戦して、へこたれた
1年、でもあきらめない。多すぎる欠点を補う方策を考える。意
地をはらずにバークに切り替えれば、背中にそんな声も聴こえる。
無機コンポストの魅力に取り憑かれてしまい、迷宮の扉が開かな
い。心配ない、息子が鍵をもって帰ってくる、あっという間に親
父を乗り越えて、昔話にしてくれるだろう。今夜見る夢のシナリ
オだ。あす、母親が息子のいる京都へ行く、来春には卒業なので
部屋の整理を手伝うためだ、宅配でこちらに送れるものは手配し
てくる。
2005.12.19(月曜日)
『紫外線について考える』
今日、カネコ種苗のハウスに決め、近代化資金の申し込みをした。
今までの長い付き合いである地元代理店、ヨロズヤの社長の見識
が上回った結果だ。農協の営農センターも気持ちよく対応してく
れ、申し込み書の作成をした、審査結果は来年2月。エフクリー
ンのタイプ選びに迷っている。紫外線をカットするタイプもガラ
ス並みを基準に、より透すタイプ、遮るタイプがある。300ナ
ノメーターから380ナノメーターくらいの範囲で製品の差があ
るが、カトレヤの生育に適したものはどれか、20年前くらいは
紫外線を多く取り込むアクリル系が推奨されていて、ガラスは暗
過ぎるという考えもあった。特に色乗り、弁質の硬さを評価した
青山生花の場合、価格に反映した。マーケットの要求が様変わり
した現在でも質へのこだわりを捨てられない、経営理念である。
視点を栽培環境で考えた時、紫外線は悪者だ。内部設備の劣化は
激しくフイルムとワイヤーの交換時期は早い。害虫と病気の密度
は紫外線をカットしたほうが明らかに小さい。スリップスはカト
レヤの最大の敵、波長380ナノメーターくらいまで遮るUVソ
ーラー(PO系)が虫の害が一番少ない、シックスライトも同等、
次がポリカーボネート、ガラスの順で、紫外線を透すスーパソー
ラー(PO)は手に負えない密度、夏は毎晩、燻煙の騒ぎだ。生育
の視点では、鉢が乾く環境が適する。遮光でコントロールする日
照、日射量と別に、紫外線特有の効果があるのかどうか。地球上
の生命の誕生が海から始まったのは紫外線被爆をうけないことも
要因といわれ、進化の過程で抵抗酵素の獲得など環境適応しなが
ら植物としての形になったといわれる。カトレヤの場合、栽培に
適した波長の範囲を知る手だては、20年張り替えなし高級被服
材エフクリーンを、2連棟を2タイプで張り分けて自分で実験し
て見るしかない。改修が年次計画にのぼってきた3棟のポリカ屋
根を張り替える時の指標にもなる。
2005.12.26(月曜日)
『我慢の1年』
振り返れば、反省点の多い1年だった。無機系コンポストへの挑
戦は敗北の連続、肥料の加減で悩んだ。栄養生長の段階で苦しん
だ反面、花質の向上の点では学ぶ事があった。チッソを効かせる
木質系コンポストの栽培と違い、リン、カリを効かせる管理に重
点を置いた結果、「花もち」は良くなった。樹勢の回復があれば
花数も増えてくる、来年への希望だ。開花コントロールは腕を落
とさなかった、作落ちし、開花量が半減したから売り上げは落と
した。年末から回復して順調に咲いてきた、来年への希望が開け
る感じだ。洋蘭の仕事は気長な行程、失敗を挽回するにも時間が
必要。短期的には窮地に陥るが、良い物を生産すれば失地の奪回
は可能だ。あきらめない、経営も人生も前向きに考える。失敗は
自分を鍛え、初心に立ち返る機会を与えてくれた1年だった。