105_A 01 E型肝炎ウイルスについて正しいのはどれか。 a 母子感染する。 b 肝硬変の原因となる。 c 劇症肝炎の原因となる。 d 熱処理で不活化しない。 e B型肝炎ウイルスとの重複感染が多い。 02 I歳6か月児健康診查でみられる皮膚疾患で最も頻度が高いのはどれか。 a アトピー性皮膚炎 b イチゴ状血管腫 c サ一モンパッチ d 尋常性魚麟癬 e 伝染性軟属腫 03 過敏性腸症候群の症状はどれか。 a 発熱 b 浮腫 c 血便 d 食後腹痛 e 体重減少 04 腎血管性高血圧症について正しいのはどれか。 a 左右賢静脈レニン活性比が診断に有用である。 b 高齢者では線維筋性異形成が原因として最も多い。 c 全高血圧患者の約30 %を占める。 d 高力リウム血症を合併する。 e 薬物治療が第1選択である。 05 呼吸器感染症と原因菌の組合せで誤っているのはどれか。 a 肺膿瘍-黄色ブドウ球菌 b 院内肺炎-マイコプラズマ c 誤嚥性肺炎-嫌気性菌 d 重症市中肺炎-レジオネラ菌 e人工呼吸器関連肺炎-緑膿菌 06 原発開放隅角緑内障で病初期からみられるのはどれか。 a 眼痛 b 視力低下 c 角膜浮腫 d 虹彩萎縮 e 傍中心暗点 07 生命予後が最も不良なのはどれか。 a 18 trisomy b 21 trisomy c 猫鳴き症候群 d Klinefelter 症候群 e Prader-Willi 症候群 08 妊婦で循環血液量が減少するのはどれか。 a 前置胎盤 b 切迫早産 c 妊娠糖尿病 d 重症妊娠悪阻 e 血液型不適合妊娠 09 延髄背外側梗塞で病巣と反対側にみられるのはどれか。 a 軟口蓋の麻庫 b Babinski 徴候 c Horner 症候群 d 小脳性運動失調 e 頸部以下の温痛覚障害 10 肺癌の臨症病期の決定に関係しない検査はどれか。 a FDG-PET b 腫瘍マ一力一 c 気管支鏡検査 d 頭部造影MRI e 胸腹部造影CT 11 肺癌の縦隔リンパ節転移によって起こる症候はどれか。 a 血胸 b 頻脈 c 散瞳 d 胸やけ e 顔面浮腫 12 エストロゲンの欠乏が原因でみられる症状はどれか。2つ選べ a 便秘 b 多汗 c めまい d のぼせ e 性器出血 13 急性副腎不全時に血中で低下するのはどれか。2つ選べ。 a ブドウ糖 b 尿酸 c ナトリウム d カリウム e カルシウム 14 多発性内分泌腫瘍1型にみられるのはどれか。2つ選べ。 a 先端巨大症 b 掲色細胞腫 c 甲状腺髄様癌 d 副甲状腺機能低下症 e Zollinger-Ellison 症候群 15 胸部エックス線写真で結節影を認める疾患はどれか。2つ選べ。 a 肺クリプトコックス症 b 癌性リンパ管症 c 肺血栓塞栓症 d 肺動静脈瘻 e 肺胞蛋白症 16 Cushing 病でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。 a 白血球増多がみられる。 b 血中コルチゾ一ルの日内変動が消失する。 c CRH試験で血中コルチゾールの低下を認める。 d 131I-MIBGシンチグラムで両側副腎の集積像を認める。 e 高用量デキサメタゾン投与によって血中コルチゾール分泌が抑制されない。 17 呼吸困難をきたすのはどれか。2つ選べ。 a 声帯結節 b 喉頭肉芽腫 c 咽喉頭異常感症 d 急性声門下喉頭炎 e 両側反回神経麻庫 18 疾患と術後早期に起こり得る合併症の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ a 食道癌-骨盤内膿瘍 b 食道アカラシア-嗄声 c 胃癌-膵炎 d 上行結腸癌-排尿障害 e 直腸癌-射精障害 19 特発性肺線維症でみられるのはどれか。3つ選べ。 a 残気量増加 b 拡散能上昇 c A-aDO2 開大 d 血清KL-6上昇 e fine crackles 聴取 20 動眼神経麻疼でみられる症候はどれか。3つ選べ。 a 散瞳 b 眼球陥凹 c 眼瞼下垂 d 眼球運動障害 e 角膜知覚鋪麻 21 69歳の男性。意識障害のため搬入された。1年前から高血糖を指摘されていたが特に何もしなかった。1週前から風邪気妹であったが、2、3日前から咳と微熱とを認め、前日から食事摂取が不良となった。意識レベルはJCS II-30。身長172cm,体重72kg。呼吸数16/分。脈拍88/分、整。血圧104/88mmHg。舌の乾燥を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(―)、糖3+、ケトン体(―)。血液生化学所見:血糖760mg/dL HbA1c 7,8%(基準4,3〜5.8)。抗GAD抗体陰性。 この患者の予想される検査結果に最も近いのはどれか。 a 尿比重1.010 b Hb 11.5g/d/ c 尿素窒素46mg/dL d 動脈血pH 7.15 e PaCO2 30Torr 22 55歳の男性。腹部不快感を主訴に来院した。2か月前から右下腹部の不快感を間欠的に自覚していた。腹部の視診と聴診とに異常を認めない。右下腹部に、腹筋の緊張時には触知しないが、弛緩時には5 X 4cm大の腫瘤を触知する。腫瘤は弾性硬で圧痛はなく、拍動を認めない。 最も考えられるのはどれか。 a 腸重積症 b 上行結腸癌 c 腹部大動脈瘤 d 腹壁デスモイド e 腹壁瘢痕ヘルニア 23 35歳の男性。反応が鈍く奇妙な姿勢をとることを心配した会社の上司に伴われて来院した。半年前から上司に「誰もいないのに職場の同僚からの悪口が聞こえてくる」と訴えていた。昨日から「会社に殺される」、「考えていることが会社に筒抜けになるなどと独り言をつぶやいていたかと思うと、黙り込んで開眼したまま無反応になったという。診察時に右手を挙上させるとそのままの姿勢をいつまでも保持する。 最も考えられる診断はどれか。 a うつ病 b 適応障害 c 緊張病症候群 d 広汎性発達障害 e Korsakoff 症候群 24 60歳の男性。左手関節の背屈ができなくなったことを主訴に来院した。3日前、飲酒後に居間の肘掛け付き椅子で朝まで眠っていたという。目が覚めてから左手関節の背屈ができず、左母指と左示指との背側にしびれ感があることを自覚した。2日間様子をみていたが、回復しないため受診した。 障害された可能性が高い神経はどれか。 a 腋窩神経 b 筋皮神経 c 橈骨神経 d 正中神経 e 尺骨神経 25 56歳の男性。皮膚の角化性紅斑を主訴に来院した。2年前から手指の関節と手関節とに痛みと腫脹とがあり治療を受けていた。最近、手指の爪に変形が生じ、頭部、四肢関節部および臍部に境界明瞭な角化性紅斑が生じてきた。リウマトイド因子陰性。手指と腹部の写真(別冊No.1A)と紅斑部の生検組織のH-E染色標本(別冊No.1B)とを別に示す。 最も考えられるのはどれか。 a 成人Still病 b 乾癬性関節炎 c 梅毒性関節炎 d 悪性関節リウマチ e 全身性エリテマトーデス 別冊 No.1 A、B 26 32歳の女性。健康診断の腹部超音波検査で肝右葉背面の腫瘤性病変を指摘され来院した。既往歴に特記すべきことはない。身長159cm、体重57kg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球426万、Hb13.1g/dL、Ht 39%、白血球 7400、血小板 18万。血液生化学所見:血糖 98mg/dL、総蛋白7.9g/dL、アルブミン4.4g/dL、尿素室素9mg/dL、総コレステロール125mg/dL、総ピリルビン 0.8mg/dL、AST 12IU/L、ALT 15IU/L、ALP 250 IU/L(基準115〜 359)。免疫学所見:AFP 5ng/mL(基準20以下)、CEA 1.4ng/mL(基準5以下)、CA19-9 22 U/mL(基準37以下)。腹部ダイナミックCTの動脈相(別冊No.2A)と門脈相(別冊No.2B)とを別に示す。 最も考えられる疾患はどれか。 a 肝囊胞 b 肝細胞癌 c 肝血管腫 d 肝内胆管癌 _ e 転移性肝癌 別冊 No.2 A、B 27 51歳の女性。難聴と耳漏とを主訴に来院した。25年前から時々耳漏があった。5年前から徐々に難聴が増悪し、耳漏を繰り返すようになった。側頭骨エックス線写真で乳突洞の発育は抑制されているが、骨破壊は認めない。右耳の鼓膜写真(別冊No.3A)とオージオグラム(別冊No.3B)とを別に示す。 適切な治療はどれか。 a 鼓室形成術 b 中耳根治術 c アブミ骨手術 d 試験的鼓室開放術 e 人工内耳植え込み術 別冊 No.3 A、B 28 61歳の女性。労作時の息切れを主訴に来院した。1年前から呼吸困難を自覚するようになり、この2か月で徐々に症状が増悪するようになった。最近6か月で3kgの体重増加を認めた。意識は清明。身長154cm、体重52kg。呼吸数18/分。脈拍84/分、整。血圧132/74mmHg。心尖部で3 / 6度の全収縮期雑音とIII音とを聴取する。呼吸音に異常を認めない。下腿に軽度の浮腫を認める。Holter心電図で明らかな異常を認めない。心エコ一図(別冊No.4A、B)とカラードプラ心エコ一図(別冊No. 4C)とを別に示す。 最も考えられるのはどれか。 a .左房粘液腫 b 僧帽弁狭窄症 c 心室中隔欠損症 d 大動脈弁狭窄症 e 僧帽弁逸脱症候群 別冊 No.4 A、B、C 29 68歳の女性。頸部腫瘤を主訴に来院した。この半年で6kgの体重減少を認めた。身長155cm、体重45kg。体温37.6て。頸部と腋窩とに直径2cmのリンパ節を数個触知する。腹部造影CTで腹部大動脈周囲にリンパ節の腫大がみられ、頸部リンパ節生検で悪性リンパ腫と診断された。 病期はどれか。 a II A b II B c III A d III B e IV A 30 5歳の男児。1時間前から数分間持続する全身の強直性間代性けいれんを3回繰り返したため搬入された。1年前から熱いものを食べたり激しく泣いたりしたときに右片麻痺あるいは左片麻痺を認めていた。片麻痺発作は10分程度で改善したが、このような発作は1か月に1回あったという。神経学的所見で両側の上下肢の軽度筋力低下、腱反射亢進およびBabinski徴候を認める。頭部単純MRIのT1強調像(別冊No.5)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。 a 上衣腫 b もやもや病 c 頭蓋咽頭腫 d 結核性髓膜炎 e 亜急性硬化全脳炎 別冊 No.5 31 70歳の男性。全身の瘙痒感と褐色尿とを主訴に来院した。1週前から尿の濃染を、3日前から皮膚瘙痒感を自覚していた。意識は清明。身長160cm、体重58kg。体温35.8で。脈拍72/分、整。皮膚は黄染、乾燥し、多数の掻爬痕を認める。眼球結膜に黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・牌を触知せず、圧痛を認めない。血液所見:赤血球454万、Hbl2.1g/dL、Ht36%、白血球5,500、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.4g/dL、総ピリルビン12.1mg/dL、直接ピリルビン8.3mg/dL、AST 233IU/L、ALT 354IU/L、LD 488lU/L(基準176〜353)、ALP 1,091IU/L(基準115〜359)、γ-GTP825 IU/L(基準8 〜50)、Nal41mEq/L、K4,2mEq/L、Cl107mEq/L、経皮経肝胆道ドレナ一ジチューブからの造影と内視鏡的逆行性胆管造影とを同時に行った胆管造影写真(内視鏡は抜去後)(別冊No.6)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。 a 胆囊癌 b 膵頭部癌 c 肝包虫症 d 総胆管結石 e 肝門部胆管癌 別冊 No.6 32 40歳の女性。頭痛と左眼痛とを主訴に来院した。3週前から複視があった。視力は右1.0(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。左眼の結膜浮腫、上強膜静脈の怒張および拍動性眼球突出を認める。左眼の内転障害と上下転障害とを認める。左眼窩外側縁で血管性雑音を聴取する。 考えられるのはどれか。 a 左眼窩内血管腫 b 左前頭葉血管芽腫 c 脳底動脈巨大動脈瘤 d 左側頭葉動静脈奇形 e 左内頸動脈海綿静脈洞瘻 33 45歳の女性。右視力低下と排尿障害とを主訴に来院した。3か月前にものがニ重に見えたが1週間で軽快した。1か月前から右眼險が閉じにくくなり、その後右顔面の感覚鈍麻に気付いた。5日前から排尿障害があり、昨日急に右視力が低下した。10年前から高血圧症の治療を受けている。意識は清明。視力は右0.1(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。眼底に異常を認めない。眼球運動は右眼の外転が不十分である。右顔面の痛覚低下を認める。両側上下肢の軽い運動麻痺があり、両側上下肢で腱反射が亢進し、Babinski徴候は両側陽性である。脳脊髄液検査で細胞数 6/mm3(全て単核球)(基準0〜2)、蛋白56mg/dL(基準15〜45)である。 直ちに行うべき治療はどれか。 a 高圧酸素療法 b シクロスポリン投与 c ステロイドパルス療法 d インターフェロン投与 e ガンマグロブリン大量静注 34 62歳の男性。持続する腰痛を主訴に来院した。3か月前、ゴルフの後に腰痛が出現した。自宅近くの診療所で薬物療法と理学療法とを受けたが腰痛は軽減せず、1か月前からは左下肢痛も加わった。身長165cm、体重55kg。体温36.9℃。下部腰椎に叩打痛と運動時痛とを認める。腰椎前後屈で左殿部から左大腿部への放散痛がある。歩行は可能。Lasègueテスト両側陰性。左L4、L5及びS1神経根領域に感覚鈍麻と軽度の筋力低下とを認める。血液所見:赤血球390万、Hb11.3g/dL、Ht36%、白血球7.600、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.5g/dL、ALP421 IU/L(基準115〜359)、Na 143mEq/L、K4.3mEq/L、Cl102mEq/L、Ca11.0mg/dL、P3.0mg/dL。CRP0.9mg/dL。初診時の腰椎エックス線写真(別冊No.7)を別に示す。 この患者の腰下肢痛の原因として最も考えられるのはどれか。 a 骨粗鬆症 b 変形性脊椎症 c 化膿性脊椎炎 d 椎間板ヘルニア e 転移性脊椎腫瘍 別冊 No.7 35 32歳の女性。暑がり、発汗過多、手指振戦および労作時の動悸を主訴に来院した。2週前から症状が出現したという。感冒様症状の先行はない。身長162cm、体重52kg。体温36.2℃。呼吸数28/分。脈拍104/分、整。血圧128/72mmHg、甲状腺はびまん性に腫大、弾性硬、表面に軽度凹凸を認め、圧痛を認めない。皮膚は湿潤し、手指に振戦を認める。血液生化学所見:総コレステロール105mg/dL、AST 20IU/L、ALT 26 IU/L、TSH 0.1μU/mL(基準0.2〜4.0)、FT4 3.2ng/dL(基準0.8〜2.2)。甲状腺シンチグラム(別冊No.8)を別に示す。 考えられるのはどれか。 a Basedow 病 b Plummer 病 c 無痛性甲状腺炎 d 甲状腺未分化癌 e 急性化膿性甲状腺炎 36 52歳の女性。眼精疲労を主訴に来院した。10年前から両眼の異物感があった。視力は右1.0(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。眼圧は右12mmHg、左Schirmer試験は右1mm、左1mm (基準10〜15)。フルオレセイン染色下での細隙灯顕微鏡検査にて角膜に点状の上皮欠損を認める。腺底に異常を認めない。 考えられるのはどれか。 a Reiter 症候群 b Sjögren 症候群 c Sturge-Weber 症候群 d von Recklinghausen 病 e Wilson 病 37 28歳の女性。食後の腹部膨満感を主訴に来院した。1か月前から2週間にわたり、南アジアを旅行した。帰国3日前から、1日2、3回の軟便と食後の腹部膨満感とが出現し、帰国後も10日以上持続したため受診した。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧120/70mmHg。腹部に圧痛を認めない。腸雑音は軽度亢進している。血液所見:赤血球390万、Hb11.2g/dL、Ht34%、白血球6.500、血小板32万。血液生化学所見:尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL;、AST31IU/L、ALT40IU/L、LD 203IU/L(基準176〜353)、ALP 344IU/L(基準115〜359)、Na140mEq/L、K4.0mEq/L、Cl101mEq/L。CRP0.4mg/dL。便の顕微鏡写真(別冊 No.9)を別に示す。 診断はどれか。 a 回虫症 b アメーバ赤痢 c 日本海裂頭条虫症 d ランブル鞭毛虫症 e カンピロバクタ一感染症 別冊 No.9 38 10歳の男児。自転車で走行中に自動車にはねられたため搬入された。意識レべルはJCS II-20。脈拍120/分、整。血圧86/42mmHg。血液所見:赤血球290万、Hb7.2g/dL、Ht27%、白血球11,200、血小板15万。酸素吸入と輸液とを開始後、腹部超音波検査を行い肝腎境界部に液体貯留を認めた。血圧が108/64mmHgに上昇した後に施行した腹腔動脈造影写真(別冊No.10)を別に示す。 対応として最も適切なのはどれか。 a 開腹手術 b 動脈塞栓術 c 血栓溶解療法 d 腹腔ドレナージ e 血管内ステント留置 別冊 No.10 39 82歳の男性。尿量の減少と全身倦怠感とを主訴に来院した。3年前に胃癌にて胃全摘術を受けたが、受診は2年前から中断している。意識は清明。体温36.7℃。血圧144/94mmHg。上腹部に手術痕を、両下肢に強い浮腫を認める。その他の身体診察所見に明らかな異常を認めない。血液所見:赤血球362万、Hb10.8g/dL、Ht28%。血液生化学所見:尿素窒素40mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST38IU/L、ALT42IU/L、Na132mEq/L、K5.6 mEq/L、Cl98mEq/L。腹部超音波検査で膀脱内に尿を認めない。胸部エックス線写真にて心胸郭比58%。腹部単純CT(別冊No.11)を別に示す。 まず行う処置として適切なのはどれか。 a 尿管ステント留置 b 膀胱穿刺 c 血液透析 d 腹膜透析 e 大量輸液 別冊 No.11 40 4か月の男児。健康診査で左股関節の開排制限を指摘され来院した。初診時の下肢の写真(別冊No.12)を別に示す。 対応として適切でないのはどれか。 a家族歴と成長歴とを聴取する。 b超音波検査を行う。 c徒手整復後にギプス固定を行う。 dリーメンビューゲル装具による治療を行う。 e将来、変形性関節症になる可能性を両親に説明する。 別冊 No.12 41 92歳の女性。左頰部の結節を主訴に来院した。5年前から同部に「赤い皮疹」があったが受診しなかった。主訴である結節は、この「赤い皮疹」が発生母地になっていると考えられた。左頰部の写真(別冊No.13A)と生検組織のH-E染色標本(別冊No.13B)とを別に示す。 「赤い皮疹」の診断名として考えられるのはどれか。 a 血管肉腫 b 菌状息肉症 c 光線角化症 d Merkel細胞癌 e 乳房外Paget病 別冊 No.13 A、B 42 78歳の男性。血痰を主訴に来院した。5か月前から咳嗽と喀痰とを自覚していたが、そのままにしていた。本日急に血痰を認めたため受診した。20年前に肺結核の既往がある。意識は清明。身長165cm、体重52kg。体温37.3℃。呼吸数18/分。脈拍92/分、整。血圧110/70mmHg。呼吸音は右上肺野で弱く、coarse cracklesを聴取する。喘鳴を認めない。血液所見:白血球11,000(桿状核好中球7%、分葉核好中球59%、好酸球1%、単球10%、リンパ球23%)。CRP1.8mg/dL、胸部エックス線写真(別冊No.14A)と胸部単純CT(別冊No.14B)とを別に示す。 治療薬として適切なのはどれか。 a 副腎皮質ステロイド b イトラコナゾ一ル c クリンダマイシン d 免疫グロブリン e ペニシリンG 別冊 No,14 A、 B 43 68歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。最近労作時の息切れを自覚するようになっていた。午前3時ころから息苦しくなり泡沫様の痰を喀出し、臥位をとれなくなったため救急外来を受診した。夏の暑さのため食欲はないが、麦茶を多飲している。尿量は保たれているという。60歳時に心筋梗塞の既往がある。意識は清明。呼吸数22/分。脈拍104/分、整。血圧116/76mmHg。頸静脈の怒張を認める。四肢末梢に冷感を認めない。両側肺野にcoarse cracklesを聴取する。心尖部にIII音を聴取する。右助骨弓下に肝を4cm触知する。経皮的動脈血酸素飽和度85%であったが、酸素吸入によってSp02は96%まで上昇した。 治療薬として最も適切なのはどれか。 a 去痰薬 b 利尿薬 c 鎮静薬 d 抗菌薬 e 血管拡張薬 44 1歳6か月の男児。1歳6か月児健康診査のため来院した。正常分晚で出生した。1か月時の健康診査で心雑音を指摘され経過観察されていた。呼吸困難とチアノ一ゼとを認めない。身長80cm、体重12.2kg。体温36.8で。呼吸数28/分。脈拍92/分、整。血圧94/60mmHg。胸骨左縁第2肋間を最強点とする4 / 6度の粗い収縮中期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。 最も考えられるのはどれか。 a 大動脈縮窄症 b 心房中隔欠損症 c 心室中隔欠損症 d 肺動脈弁狭嗜症 e 僧帽弁閉鎖不全症 45 75歳の女性。体重減少を主訴に来院した。4か月前から時々心窩部痛があり、体重が約10kg減少した。身長153cm、体重38kg。眼險結膜に貧血を認める。腹部は平坦、軟で、腫瘤を触知しない。血液所見:赤血球295万、Hb6.9g/dL、Ht26%。血液生化学所見:総蛋白6.Og/dL、アルブミン3.3g/dL、AST30IU/L、ALT32IU/L、LD326IU/L(基準176〜353)。CEA12ng/mL(基準5以下)。上部消 化管内視鏡検査を施行し、生検で印環細胞癌とHelicobacter pylori陽性と診断され た。上部消化管内視鏡写真(別冊No.15A)と腹部造影CTの冠状断像(別冊No.15B、C)とを別に示す。 対応として適切なのはどれか。 a 胃全摘術 b 試験開腹術 c 幽門側胃切除術 d 全身抗癌化学療法 e Helicobacter pylori 除菌治療 別冊 No.15 A、B、C 46 48歳の女性。健康検査の異常を主訴に来院した。2年前に健康診断で尿検査の異常を指摘されたが、受診しなかった。今年の健康診断でも同じ異常を指摘されたため精査目的で来院した。身長160cm、体重60kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧142/84mmHg。口蓋扁桃の腫大、発赤および白苔の付着を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。四肢に浮腫を認めない。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血3+、尿蛋白1.8g/日。血液所見:赤血球380万、Hb11.2g/dL、Ht34%、白血球6,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、IgG 1,560mg/dL(基準739〜1,649)、IgA 360mg/dL(基準107〜363)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、尿酸8.5mg/dL、Nal36mEq/L、K4.OmEq/L、Cl104mEq/L、免疫学所見:CRP 0.3mg/dL、抗核抗体陰性。腎生検のPAS染色標本(別冊No.16 A)、蛍光抗体IgA染色標本(別冊No.16 B)及びC3染色標本(別冊No.16 C)を別に示す。 この患者に対する治療方針として適切でないのはどれか。 a 蛋白制限 b 抗血小板薬投与 c ステロイドパルス療法 d 非ステロイド性抗炎症薬99%。目はうつろで眼周囲はくぼみ、呼吸は速く肩を上下させている。陥没呼吸を認めない。会話は可能である。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆しているが、肝・牌を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖4+、ケトン体4+。血液所見:赤血球471万、Hb13.8g/dL、Ht43%、白血球11,200、血小板16万。血液生化学所見:血糖664mg/dL、総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.2g/dL、尿素窒素8.1mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、AST22IU/L、ALT18IU/L、LD437IU/L(基準335〜666)、 Na126mEq/L、K3.9mEq/L、Cl99mEq/L。CRP0.1mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.13、PaCO2 25Torr、Pa02 102Torr、HCO3— 8mEq/L。 まず投与するのはどれか。 a 抗菌薬 b 生理食塩液 c バソプレシン d 20%ブドウ糖液 e 重炭酸ナトリウム 49 45歳の女性。胸痛と呼吸困難とを主訴に来院した。農作業中に重いものを一気に持ち上げたところ左肩から背部にかけて痛みを自覚し、その後呼吸困難が出現した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温36.6℃。呼吸数27/分。脈拍116/分、整。血圧106/66mmHg。心音は減弱している。左肺野で呼吸音は消失している。胸部エックス線写真(別冊No.17)を別に示す。 まず行うべき処置はどれか。 a ドパミン投与 b 持続的陽圧換気 c 胸腔ドレナ一ジ d プレドニゾロン投与 e アミノフィリン投与 別冊 No.17 50 78歳の女性。繰り返す失神を主訴に来院した。自宅近くの診療所で発作性心房細動の治療中であり、最近、抗不整脈薬を増量した。意識は清明。脈拍56/分。血圧138/78mmHg。心音に異常を認めない。症状出現時のHolter心電図(別冊 No.18)を別に示す。 現時点で行う処置として適切なのはどれか。2つ選べ。 a ジギタリス投与 b 抗不整脈薬の中止 c 一時的ペーシング d 植え込み型除細動器移植術 e 永久型ペースメーカー移植術 別冊 No.18 51 56歳の男性。発熱と膿性痰とを主訴に来院した。3日前から38℃台の発熱と膿性痰とを認めている。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。胸部エックス線写真にて右下肺野に浸潤影を認める。喀痰のGram染色で好中球と菌体とを多数認める。 考えられる起炎菌はどれか。2つ選べ。 a Chlamydophila(Chlamydia) pneumoniae b Haemophilus influenzae c Klebsiella pneumoniae d Mycoplasma pneumoniae e Streptococcus pneumoniae 52 4歳の男児。頻回のげっぷを主訴に来院した。半年前から次第にげっぷの回数が増えてきた。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。24時間下部食道pHモニタリングの結果(別冊No.19)を別に示す。 この疾患に対する有効な治療法はどれか。2つ選べ。 a 手術 b 食後臥位 C 鎮痙薬投与 d カウンセリング e 酸分泌抑制薬投与 別冊 No.19 53 38歳の男性。1か月前からの腹部膨満感と全身倦怠感とを主訴に来院した。3年前に慢性骨髄性白血病と診断され通院治療を受けていた。しばしば治療を中断し、前回の受診は半年前である。半年で体重が5kg減少した。身長168cm、体重53kg。体温36.8℃。眼瞼結膜に貧血を認める。腹部は軽度膨隆し、右肋骨弓下に肝を6cm、左助骨弓下に脾を10cm触知する。血液所見:赤血球280万、Hb8.2g/dL、Ht30%、白血球98,000(捍状核好中球5%、分葉核好中球25%、好塩基球4%、好酸球1%、単球3%、リンパ球18%、芽球44%)、血小板11万。骨髄に芽球を45%認める。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 20)を別に示す。 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。 a 抗癌化学療法 b 分化誘導療法 c 免疫抑制療法 d サイトカイン療法 e 同種造血幹細胞移植 別冊 No.20 54 3か月の乳児。激しい咳を主訴に来院した。2週前に咳が出現し、次第に強くなってきた。今朝からは激しく咳込んだ後に笛が鳴るような呼吸音がしている。保育所で同様の症状の児が複数いるという。呼吸数36/分。心拍数140/分、整。両眼臉は浮腫状。咽頭は軽度発赤しており、舌圧子を入れると晐込む。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、右肋骨弓下に肝を2cm触知する。脾を触知しない。血液所見:赤血球430万、Hb12.0g/dL、Ht36%、白血球21,000(捍状核好中球6%、分葉核好中球20%、単球2%、リンパ球72%)。 注意すべき合併症はどれか。2つ選べ。 a 脳症 b 髄膜炎 c 無呼吸発作 d 間質性肺炎 e 溶血性貧血 55 25歳の男性。排尿痛と膿性尿道分泌物とを主訴に来院した。1週前に性行為感染の機会があった。3日前から症状に気付き受診した。直腸指診で前立腺の腫大と圧痛とを認めない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血1+、沈渣に白血球 多数/1視野、赤血球20~30/I視野。 診断のために行う検査はどれか。2つ選べ。 a 尿培養 b 尿細胞診 c 尿道鏡検査 d 経直腸超音波検査 e 尿道分泌物Ciram染色 56 29歳の女性。不妊と月経不順とを主訴に来院した。身長152cm、体重65kg。内診で子宮は正常大である。経膣超音波検査で両側卵巣は軽度に腫大している。基礎体温は一相性で、黄体ホルモン剤投与で消退出血を認める。血中ホルモン所見:LH 12.4IU/mL(基準1.8~7.6)、FSH 7.2IU/mL(基準5.2~14.4)、テストステロン100ng/dL(基準30~90)、エストラジオール60pg/mL(基準25~75)。 まず行うべき対応で適切なのはどれか。2つ選べ。 a 減量指導 b クロミフェン投与 c GnRHアゴニスト投与 d 卵胞刺激ホルモン投与 e ドパミンアゴニスト投与 57 60歳の女性。右耳の耳鳴と難聴とを主訴に来院した。最近、電話の受話器を左手に持ち左耳で聞くことが多くなった。頭部MR1(別冊No. 21)を別に示す。 この患者にみられるのはどれか。3つ選べ。 a 歩行時によろめく。 b 右側の同名半盲を訴える。 c 右側の噴覚が低下している。 d 右側の顔面神経麻庫がみられる。 e 右側を注視すると大きな振幅の眼振がみられる。 別冊 No.21 58 52歳の男性。胸部圧迫感を主訴に来院した。1か月前から仰向けに寝ると前胸部に違和感を自覚していた。心音と呼吸音とに異常を認めない。初診時の胸部造影CT(別冊No.22)を別に示す。 診断に必要な検査項目はどれか。3つ選べ。 a可溶性IL-2受容体 b純毛性ゴナド卜ロピン C抗ミトコンドリア抗体 d抗サイログロブリン抗体 e抗アセチルコリン受容体抗体 別冊 No.22 59 35歳の男性。2週前からの悪寒、発熱および下痢を主訴に来院した。6か月前と2か月前とに発熱を伴う気管支炎を究症し、自宅近くの診療所にて抗菌薬投与を受け1週間程度で軽快した。体重が6か月で10kg減少した。8年前に海外渡航歴がある。意識は清明。身長168cm、体重50kg。皮膚、口唇および口腔粘膜は乾燥し、舌と口腔粘膜に白苔を広机に認める。腹部は平坦で、全体に軽度の圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。血液所見:赤血球560万、Hbl6.0g/dL、Ht48%、白血球12,200(好中球77%、好酸球5%、好塩基球1%、単球12%、リンパ球5%)、血小板34万。CRP12.3mg/dL 初期の対応として適切なのはどれか。3つ選べ。 a 輸液 b 抗菌薬投与 c 抗真菌薬投与 d 抗HIV薬投与 e 無菌室への入室 60 70歳の男性。急に右上下肢が動かなくなったため、発症から1時間後に搬入された。意識レベルはJCS I-2。全失語と右片麻痺とがみられる。脈拍88/分、不整。血圧152/94mmHg。既往歴に高血圧と心房細動とがある。頭部MRIの拡散強調像(別冊No.23 A)と頭部MRA(別冊No.23 B)とを別に示す。 診断はどれか。 a アテローム血栓性脳梗塞 b 出血性脳梗塞 c 心原性脳塞栓症 d 中大脳動脈解離 e 椎骨動脈解離 f 脳動脈瘤破裂 g 被鼓出血 h 皮質下出血 i もやもや病 別冊 No.23 A、B