105_E 01 生活活動強度IIIの30歳の男性の1日摂取目標量として適切なのはどれか。 a 鉄 1mg b 脂質 150g c 糖質 100g d 蛋白質 70g e 力ルシウム 200mg 02 医療法に規定されているのはどれか。 a 保健指導 b 診療録の記載 c 処方せんの交付 d 異状死体の届出 e 診療所開設の届出 03 被用者保険でないのはどれか。 a 船員保険 b 共済組合 c 国民健康保険 d 組合管掌健康保険 e 全国健康保険協会管掌健康保険 04 労働者災害補償保険<労災保険>について誤っているのはどれか。 a 通勤災害は対象となる。 b 業務上災害は対象となる。 c 人間ドックは対象となる。 d 遺族は給付対象である。 e パー卜職員は給付対象である。 05 収縮が呼気に関与する筋はどれか。 a 横隔膜 b 前斜角筋 c 内肋間筋 d 肋骨挙筋 e 胸鎖乳突筋 06 門脈に流入しない静脈はどれか。 a 脾静脈 b 左胃静脈 c 内腸骨静脈 d 上腸間膜静脈 e 下腸間膜静脈 07 正常卵巣から分泌されないホルモンはどれか。 a アクチビン b インヒビン c エストロゲン d プロゲステロン e 卵胞刺激ホルモン 08 胎児循環で正しいのはどれか。 a 臍帯静脈は2本ある。 b 左右心室は卵円孔で交通している。 c Arantius静脈管は下大静脈に流入する。 d 臍帯動脈血は臍帯静脈血よりも酸素分圧が高い。 e 左心室から拍出された血流の大部分は動脈管を通る。 09 中毒と症状の組合せで誤っているのはどれか。 a 急性アルコール中毒-意識障害 b 局所麻酔薬中毒-全身けいれん c 急性睡眠薬中毒-頻呼吸 d 硫化水素中毒-結膜充血 e 有機リン中毒-発汗 10 法的な脳死判定基準に含まれないのはどれか。 a 深昏睡 b 平坦脳波 c 瞳孔固定 d 腱反射の消失 e 自発呼吸の消先 11 医療安全支援センタ一の業務として正しいのはどれか。 a 医療事故について医師と患者間の利害の調整を行う。 b 患者またはその家族に対して医療安全についての研修を行う。 c 患者またはその家族からの医療に関する苦情・相談に応じる。 d 医師または医療関係者からの患者に関する苦情・相談に応じる。 e 医療機関のインシデント•アクシデントレポートを収集・解析する。 12 鼻出血の好発部位はどれか。 a 鼻中隔後部 b 鼻中隔上部 c 鼻中隔前下部 d 下鼻甲介前端部 e 下鼻甲介後端部 13 徹照法が診断に有用なのはどれか。 a 老視 b 緑内障 c 白内障 d 糖尿病網膜症 e 高血圧網膜症 14 居住環境を守る観点から建築材料に法定基準があるのはどれか。 a アセトン b 塩化ビニル c エチルアルコール d ホルムアルデヒド e シアン化ナトリウム 15 陣痛が有効と判断できるのはどれか。 a 内診所見の進行 b 陣痛周期が5分以内 c 血性粘液性帯下の出現 d 子宮収縮ごとの疼痛の訴え e 陣痛発作持続時間が1分以上 16 正常新生児において自発的な動きのなかで観察できる反射はどれか。 a 背反射 b 歩行反射 c 足底把握反射 d パラシュート反射 e 非対称性緊張性頸反射 17 臨床材料のGram染色標本(別冊No.1①〜⑤)を別に示す。 MRSAの可能性があるのはどれか。 a ① b ② c ③ d ④ e ⑤ 別冊No.1①〜⑤ 18 健康日本21で重視されているのはどれか。 a 二次予防 b 薬物乱用防止 c ハイリスクアプローチ d 全国一律のアプローチ e 健康課題ごとの目標設定 19 閉経後骨粗鬆症における身長の低下に関連するのはどれか。 a 頭頂骨 b 椎骨 c 大腿骨 d 脛骨 e 踵骨 20 介護保険について正しいのはどれか。 a 被保険者は65歳以上である。 b 主治医意見書には要介護度を記入する。 c 認知機能の障害は介護保険の対象となる。 d ADLが自立していても独居であれば利用できる。 e 地域包括支援センターは二次医療圏ごとに設置される。 21 肥厚性瘢痕と比べたときのケロイドの特徴はどれか。 a 潮紅 b 瘙痒 c 疼痛 d 隆起 e 拡大傾向 22ある疾患に関する検査結果を表に示す。 (単位:人) 疾患 有 無 陽性 80 20 検査 陰性 10 90 正しいのはどれか。 a 感度は0.80である。 b 特異度は0.82である。 c 偽陽性率は0.90である。 d 陽性適中度は0.89である。 e 陰性適中度は0.10である。 23 意識障害の直接の原因とならないのはどれか。 a 高カリウム血症 b 高ナトリウム血症 c 低ナトリウム血症 d 高カルシウム血症 e 低カルシウム血症 24妊娠中の超音波写真(別冊No.2①〜⑤)を別に示す。 児頭大横径の計測断面を示しているのはどれか。 a ① b ② c ③ d ④ e ⑤ 別冊 No.2①〜⑤ 25 MRSA敗血症に対してバンコマイシンで治療を開始した。治療5日目に解熱したが腎機能障害が出現した。 バンコマイシンの血中薬物モニタリングで予想されるのはどれか。 a 濃度時間曲線下面積減少 b 蛋白結合率低下 c トラフ値上昇 d ピーク値低下 e 半減期短縮 26 色素斑を擦過した際、擦過部に線状の膨疹を生じ周囲に発赤がみられた。このときの写真(別冊No.3)を別に示す。 陽性を示したのはどれか。 a Auspitz 現象 b Darier 徴候 c Köbner 現象 d Leser-Trélat 徴候 e Nikolsky 現象 27 膝関節と手関節とに炎症所見が強い関節リウマチ患者に対するリハビリテーションで適切なのはどれか。 a 速歩訓練 b 短下肢装具の使用 c 関節保護手技の指導 d 床からの立ち上がり訓練 e 他動的手閨節可動域訓練 28 顔面の写真(別冊No.4)を別に示す。 この疾患で異常値となるのはどれか。 a 成長ホルモン b 抗利尿ホルモン c 黄体形成ホルモン d 甲状腺刺激ホルモン e 副腎皮質剌激ホルモン 別冊 No.4 29 65歳以上の高齢者の主な死因別死亡率の推移の図を示す。 矢印で示す死因の減少と最も関係する治療薬はどれか。 a 降圧薬 b 抗菌薬 c 抗腫瘍薬 d 糖尿病治療薬 e 脂質異常症治療薬 30 占拠性病変による脳ヘルニアの前額断面模式図を示す。ただし、●は占拠性病変、矢印は圧迫の方向を示す。 病初期に動眼神経麻痺をきたすのはどれか。 31 我が国の近年の人口動態・人口構成について正しいのはどれか。 a 総人口は増加している。 b 平均世帯人員数は減少傾向にある。 c 年少人口が老年人口を上回っている。 d 老年人口割合は10%台で推移している。 e 人口ピラミッドはひようたん型である。 32 人畜<人獣>共通感染症はどれか。2つ選べ。 a ロ蹄疫 b 天然痘 c 狂犬病 d ブルセラ症 e レジオネラ肺炎 33 定期予防接種の対象疾病はどれか。2つ選べ。 a 水痘 b 風疹 c 百日咳 d B型肝炎 e 流行性耳下腺炎 34 肝予備能を示す指標はどれか。2つ選べ。 a ALP b ALT c アルブミン d グロブリン e 総ビリルビン 35 死体の眼臉結膜に溢血点が強く発現する死因はどれか。2つ選べ。 a 溺水 b 絞頸 c 脳動脈瘤破裂 d 急性心筋梗塞 e 胸腹部圧迫による窒息 36 経膣分娩で児娩出後に癒着胎盤が疑われる徴候はどれか。2つ選べ。 a 臍帯が下降する。 b 出血量が増加する。 c 産婦が便意を訴える。 d 子宮底に与えた振動が臍帯に響く。 e 恥骨結合上部の圧迫で臍帯が上昇する。 37 全層角膜移植の臓器提供者になり得るのはどれか。2つ選べ。 a 腎癌 b C型肝炎 c 死因不明 d 急性心不全 e Creutzfeldt-Jakob 病 38 成乳と比較した初乳の特徴はどれか。3つ選べ。 a 熱量が高い。 b 乳糖を多く含む。 c 胎便の排泄を促す。 d 蛋白質を多く含む。 e 免疫物質を多く含む。 39 眼窩を形成するのはどれか。3つ選べ。 a 頬骨 b 鼻骨 c 下顎骨 d 蝶形骨 e 口蓋骨 40 32歳の1回経産婦。妊娠37週。発熱と呼吸器症状とを主訴に来院した。1日前から全身倦怠感を自覚していた。前夜就寝前には、体温は36.8℃であった。本日朝、全身倦怠感の増悪とともに、咳と熱感とを自覚した。3歳の長女がインフルエンザと診断されている。意識は清明。体温38.4℃。脈拍92/分、整。血圧102/68mmHg。インフルエンザウイルス迅速抗原検査でA型陽性であった。 対応として適切なのはどれか。 a 入院隔離 b 緊急帝王切開 c 抗インフルエンザ薬投与 d インフルエンザワクチン接種 e 非ステロイド性抗炎症薬投与 41 生後2日の新生児。在胎31週、1,650gで出生した。Apgarスコア8点(1分)、9点(5分)。20〜25秒間の無呼吸発作が数回みられ、発作時の心拍数は92〜100/分であり、チアノ一ゼを認める。非発作時に明らかな異常を認めない。脳波に異常を認めない。血糖52mg/dL、血清電解質に異常を認めない。 発作の病態として考えられるのはどれか。 a 低血糖 b けいれん c 気道狭窄 d 低酸素症 e 呼吸中枢の未熟性 42 59歳の男性。白血球増多の精査のために来院した。特に症状はなかったが、健康診断で白血球増多を指摘された。発熱や体重の変化はない。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識は清明。身長168cm、体重74kg。体温36.6℃。脈拍72/分、整。血圧134/78mmHg。表在リンパ節を触知しない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm触知する。脾を触知しない。血液所見:赤血球468万、Hb13.8g/dL、Ht43%、白血球20,600、血小板28万。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.5 A、B)に示す細胞が白血球の50%を占めた。 次に行う検査はどれか。 a CMV抗体 b EBNA抗体 c HIV抗体 d HTLV-1抗体 e VCA-IgG 抗体 別冊 No.5 A、B 43 59歳の女性。水様下痢を主訴に来院した。生来便秘気味で下剤を使用することがあった。2年前に膿瘍形成を伴う急性虫垂炎のため約20cmの終末回腸を含む回肓部切除術を受け、それ以来下痢となっている。排便は4〜10回/日であり、夜間に便意のため目が覚めることもある。自宅近くの診療所での下部消化管内視鏡検查で異常を認めず、止痢薬、抗コリン薬、消化管運動調節薬およびプロバイオティクスも無効であるため来院した。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧112/70mmHg。腸雑音の亢進を認めるが、腹部に圧痛はない。糞便検査で外観は水様、脂肪(-)、寄生虫卵(-)。便細菌検査では病原性細菌(-)。血液所見:赤血球434万、Hb13.2g/dL、白血球6,100、血小板18万。血液生化学所見:アルブミン4.2g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、AST25IU/L、 ALT38IU/L、Na 139mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 105mEq/L、CRP O.1mg/dL。 この患者の下痢に最も関与していると考えられるのはどれか。 a 鉄 b 脂肪 c 胆汁酸 d 腸内細菌 e ビタミンB12 44 65歳の男性。1時間前からの胸内苦悶を主訴に来院した。10年前から脂質異常症を指摘され内服治療中である。意識は清明。呼吸数20/分。脈拍60/分、整。血圧108/72mmHg。12誘導心電図でII、III、aVf誘導でST上昇を認めた。直ちに緊急冠動脈造影を行ったところ、右冠動脈に99%の狭窄を認めたため、経皮的冠動脈インタ一ペンションを施行した。再灌流直後に脈拍が120/分に上昇しショック状態となり、意識レベルが低下した。 この患者に発生した可能性が高いのはどれか。 a 脳梗塞 b 乳頭筋断裂 c 心室中隔穿孔 d 肺血栓塞栓症 e 心タンボナ一デ 45 22歳の女性。無月経と右下腹部痛とを主訴に来院した。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧88/60mmHg。妊娠反応陽性。経膣超音波検査で子宮内腔に胎囊はみられず、右付属器周辺に22mmの腫瘤陰影を認める。 この病態の原因となった可能性の高い性感染症はどれか。 a 細菌性膣症 b 膣カンジダ症 c 性器へルベス d クラミジア感染症 e 尖圭コンジロ一マ 46 61歳の男性。3週前からの左股関節部痛を主訴に来院した。疼痛は安静時にも あるが歩行で増悪し、2、3歩しか歩けない。左股関節エックス線写真(別冊No.6)を別に示す。 次に行うべき検查として適切なのはどれか。 a 骨密度測定 b 股関節造影 c 股関節鏡検査 d 全身骨シンチグラフィ e MRスぺク卜ロスコピー 別冊 No.6 47 28歳の女性。妊娠38週で分娩した。妊娠20週に破水し、その後の超音波検査で羊膜腔がほとんど認められていなかった。 児に認められる可能性が高いのはどれか。 a 内反足 b 腎囊胞 c 脳梁欠損 d 肺分画症 e 動脈管開存症 48 70歳の男性。離島に居住している。晴天の朝、自宅近くで農作業中に突然の強い胸痛と呼吸困難とを自覚し、島内にある無床診療所を受診した。胸痛は2時間持続している。5年前から高血圧症と脂質異常症のために通院している。意識は清明。表情は苦悶様。心電図で完全房室ブロックとII、III、aVf誘導のST上昇とを認める。島内にはこの診療所以外に医療施設はない。 対応として適切でないのはどれか。 a 家族に連絡する。 b 三次救急医療機関に連絡する。 c 地域包括支援セン夕一に連絡する。 d ヘリコプター搬送を要請する。 e 診療情報提供書を作成する。 49 28歳の女性。全身倦怠感の増強を主訴に来院した。1週前に自宅近くの診療所で妊娠と診断された。5日前から悪心と嘔吐とが出現し、自宅で経過をみていたが改善せず、食事摂取が困難になった。超音波検査で子宮内に胎囊と心拍動を有する胎芽とを認める。血液所見:赤血球430万、Hb14.8g/dL、Ht46%、白血球12,100、血小板32万。輸液を行うこととした。 輸液に加えるべきものはどれか。 a ビタミンB1 b ビタミンB2 c ビタミンB6 d ビタミンB12 e ビタミンC 50 5歳の男児。出生時からある色素斑を心配した母親に伴われて来院した。体幹と四肢とに多数の褐色斑を認める。母親を診察したところ同様の褐色斑があり、母指頭大までの軟らかい皮膚腫瘤を多数認める。亡くなった母方の祖父にも同様の褐色斑と腫瘤とがあったという。 この患者の家系図と考えられるのはどれか。 51 47歳の女性。下痢と体重減少とを主訴に来院した。Crohn病に対して6年前までに計3回の小腸部分切除術が施行され、約90cmの空腸と20cmの終末回腸が残存していた。カテーテルによる発熱を繰り返し、右鎖骨下静脈の血栓性狭窄も起こしたため、4年前から中心静脈栄養は行っていなかった。経腸栄養にて排便回数が5〜6回/日程度に落ち着いてきたため、約2年前に本人の希望で経口食に変更した。薬物はメサラジンのみを内服していた。2週前から下痢が10回/日以上となり、体重も2週間で約3kg減少したため来院した。意識は清明。身長156cm、体重34kg。体温37.2℃。脈拍72/分、整。血圧90/52mmHg。腹部に圧痛を認めない。腸雑音は亢進している。血液所見:赤血球323万、Hb11.4g/dL、Ht34%、白血球5,200、血小板17万。血液生化学所見:アルブミン3.2g/dL、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、AST26IU/L、ALT38IU/L、ALP863IU/L(基準115〜359)、Na 138mEq/L、K 3.2mEq/L、Cl 108mEq/L、Ca 8.0mg/dL。CRP 0.6mg/dL。腹部造影CTで残存小腸の軽度拡張と回盲部近傍の小腸壁肥厚とを認める。本人は外来での治療を希望している。 まず行う栄養管理として適切なのはどれか。 a 普通食の経口摂取 b 乳製品を含む流動食の経口摂取 c 成分栄養剤による経腸栄養 d 末梢静脈栄養 e 中心静脈栄養 52 30歳の初産婦。妊娠34週に子宮内胎児発育遅延のため入院した。児頭の発育は保たれている。妊娠36週に施行したノンストレステストはnonreactiveである。 次に行うべき検査として適切なのはどれか。 a 羊水中L/S比 b 胎児心機能検査 c 胎児血液ガス分析 d 母体血中hCG測定 e BPS(biophysical profile score) 53 2か月の乳児。自宅の高さ40cmのソファ一から転落したことを主訴に、両親に伴われて救急外来を受診した。在胎38週、2,850gで出生した。体重3,890g、体温36.2℃。呼吸数40/分。心拍数140/分、整。後頭部に皮下血腫がみられ、左大腿外側に小円形の熱傷瘢痕が3個みられる。 対応として適切でないのはどれか。 a 頭部CTを行う。 b 眼底検査を行う。 c 児童相談所へ連絡する。 d 両親の態度・言動を観察する。 e 再診予約をした上で帰宅させる。 54 63歳の女性。左眼の視力低下を主訴に来院した。2か月前から眼痛があった。視力は右1.0(矯正不能)、左0.2(矯正不能)。眼圧は右16mmHg、左38mmHg。左眼の充血を認める。左眼に隅角の新生血管と著明な虹彩ルべオーシスとを認める。 左眼の眼圧上昇の原因となり得るのはどれか。 a 翼状片 b 視神経炎 c 動眼神経麻痺 d 網膜中心静脈閉塞症 e 角膜ジストロフィー 55 70歳の女性。歩行障害を主訴に来院した。半年前にくも膜下出血を発症し、開頭手術を受けた。軽度の右下肢麻痺のために2か月間のリハビリテーションを受け、症状を残さず自宅に退院していた。3か月前から、徐々に動きが鈍くなり、家でじっとしていることが多くなった。歩行は緩慢であり、尿失禁も時々みられるようになった。神経学的所見で見当識障害や短期記憶障害がみられ、Mini-Mental State Examinationは15点(30点満点)である。四肢の運動麻痺や筋強剛を認めないが、歩行は小刻みで緩慢である。 最も考えられるのはどれか。 a Parkinson 柄 b 反応性うつ病 c 正常圧水頭症 d 血管性認知症 e Alzheimer型認知症 56 65歳の男性。健康診断のために来院した。半年前から労作時に息苦しさを感じ るようになったが、加齢によるものと思いそのままにしていた。3年前の健康診断で胸部エックス線写真に経過観察が必要な陰影を指摘されたが、今回まで受診しなかった。喫煙は30本/日を40年間。20歳から55歳まで工場でボイラーの点検保守を行っていた。家族歴に特記すべきことはない。身長170crn、体重64kg。体温36.4℃。呼吸数16/分。脈拍64/分、整。血圧122/78mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。肺機能検査所見:%VC 78%、FEV1.0% 75%。今回の胸部エックス線写真(別冊No.7)を別に示す。 この病態の原因に関連し、注意すべき疾患はどれか。2つ選べ。 a 過敏性肺炎 b 珪肺症 c 肺癌 d 胸膜中皮腫 e 胸腺腫瘍 別冊 No.7 57 30歳の男性。精神科病棟に入院中である。数年前から家に引きこもりがちの生活を送っていた。2か月前に幻覚妄想状態を示したため入院となったが、薬物療法で改善した。最近は落ち着いているものの、表情は乏しく、ほとんど一日中臥昧している。他人との交流はほとんどみられない。 この患者のリハビリテーションの課題として適切なのはどれか。2つ選べ。 a 服薬の自己管理 b 否定的感情の修正 c 無意識的葛藤の評価 d あるがままの受け入れ e コミュニケーション技能の習得 58 84歳の女性。1か月前から食事中に時々むせるようになり、心配した娘に伴われて来院した。5年前に発症した脳塞栓症によって左片麻痛と構語障害の後遺症があり、入浴するときや車椅子を押してもらって自宅近くを散歩するとき以外、ほぼ終日ベッド上で生活している。坐位保持は可能で食欲はあるが、移動、食事、排泄、入浴、着替え及び整容には介助が必要である。7年前に夫と死別し、現在は娘夫婦と同居している。 現時点の対応として適切なのはどれか。3つ選べ。 a 胃瘻を造設する。 b 食事形態を工夫する。 c 嚥下機能を評価する。 d 全身状態を評価する。 e 絶食とし点滴治療を行う。 59 48歳の女性。性器出血を主訴に来院した。5年前から性交時に性器出血を認め、1年前から下腹部痛と腰痛とを自覚している。子宮頸部に径7cmで易出血性の腫瘤を認めた。子宮頸癌IIIb期と診断され、手術療法は適応外と判断された。体温37.2℃。血液所見:赤血球285万、Hb7.0g/dL、Ht23%、網赤血球1.0%、白血球9,500、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.5g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、AST30IU/L、ALT22IU/L。CRP2.4mg/dL。 治療として適切なのはどれか。3つ選べ。 a 輸血 b 30Gyの腔内照射 c 70Gyの外部照射 d アルブミンの投与 e シスプラチンの投与 次の文を読み、60〜62の問いに答えよ。 38歳の女性。強い息苦しさのため搬入された。 現病歴:3か月前から歩行時に両下肢の疲労感を自覚していたが、休息にて改善していた。2か月前から家事をする際に、両上肢の疲労感を感じ、特にフライパンを持つのに苦労するようになった。これらの症状は朝に比して夕方に強い傾向があった。1か月前からは両側の眼瞼下垂を自覚するようになった。1週前から風邪気味であったが、昨日から動くと息苦しいと訴えていた。今朝、息苦しさが強くなったため救急車を要請した。 既往歴:25歳時に急性虫垂炎で手術。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:意識レベルはJCS II-20。身長156cm、体重51kg。体温37.8℃。呼吸数32/分。脈拍104/分、整。血圧174/66mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度93%。両側の眼瞼下垂を認める。眼球運動はほぼ正常であるが、複視がある。四肢筋力は全体に軽度低下(4/5)している。腱反射は正常。感覚系に異常を認めない。 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球463万、Hb13.2g/dL、Ht40%、白血球9,800(分葉核好中球55%、好酸球6%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球33%)、血小板28万。血液生化学所見:血糖85mg/dL、HbA1c 5.2%(基準4.3〜5,8)、総蛋白7.5g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、尿酸7.2mg/dL、総コレステロ一ル183mg/dL、トリグリセリド120mg/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST12IU/L、ALT7IU/L、LD183IU/L(基準176〜353)、ALP288IU/L(基準115〜359)、Na 141mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl102mEq/L。CRP9.8mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.32、PaC02 59Torr、Pa02 74Torr、HCO3- 29mEq/L。 60 直ちに行うべき処置はどれか。 a 気管挿管 b 降圧薬投与 c 抗菌薬投与 d 呼吸促進薬投与 e 血管拡張薬投与 61 病態の把握に必要な試験に用いるのはどれか。 a ドパミン b エルゴタミン c アセチルコリン d エドロホニウム e ノルアドレナリン 62 この疾患で投与すべきでないのはどれか。 a 免疫抑制薬 b ガンマグロプリン c 副腎皮質ステロイド d 抗コリンエステラーゼ薬 e アミノグリコシド系抗菌薬 次の文を読み、63〜65の問いに答えよ。 58歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。 現病歴:2年6か月前から転倒しやすくなったため、自宅近くの診療所を受診し、右下肢の筋力低下を指摘された。上肢の筋力低下も出現し、2年前に総合病院の神経内科で筋萎縮性側索硬化症の診断を受けた。介護保険サービスを利用しながら在宅療養していたが、半年前から球麻痺症状が出現し、徐々に発声量が低下した。2、3日前から微熱と鼻汁とがあり、喀痰の量が増加し、喀痰排出が困難となって、呼吸困難が出現した。 既往歴:特記すべきことはない。 生活歴:管理職であったが、発症後退職した。専業主婦の妻との2人暮らし。子どもは2人いるが、それぞれ独立している。 現症:意識は清明。身長172cm、体重54kg。体温37.2℃。脈拍72/分、整。血圧112/78mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度88%。咽頭に軽度発赤を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸郭の動きは不良である。腹部所見に異常を認めない。直腸指診で前立腺に肥大を認めない。構音障害は強いが、かろうじて単語レベルでのコミュニケーションが可能である。下肢の筋萎縮が著しく、筋力低下のため歩行困難で常時車椅子を使用している。排泄、入浴は全介助である。上肢の筋力は著しく低下し、食事は全介助で、水分摂取にはとろみを要する。 検査所見:血液所見:赤血球386万、Hb11.4g/dL、Ht38%、白血球9,200、血小板24万。血液生化学所見:血糖96 mg/dL、総蛋白6.Og/dL、アルブミン3.2g/dL、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、AST 38IU/L、ALT 30IU/L、LD204IU/L(基準176〜353)、Na 136mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 1.0mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.38、PaCO2 5OTorr、Pa02 55Torr、HCO3- 30mEq/L。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。 その後の経過:頻回の暗痰吸引でSp02は93%まで改善し、その後解熱し呼吸困難も消失した。本人と家族は在宅療養の継続を強く希望しており、その準備のためのカンファレンスを開催することになった。 63 カンファレンスへの参加が必要ないのは誰か。 a 訪問看護師 b 成年後見人 c 神経内科医 d ケアマネジャー e 在宅診療の担当医 64 退院前に家族に実施方法を指導すべきことはどれか。3つ選べ。 b 喀痰吸引 c 口腔ケア d 筋力増強訓練 e 食事形態の工夫 65 今後の意思決定を支援するために本人と家族とに説明を行った。 説明内容として正しいのはどれか。 a 呼吸困難は緩和ケアの对象外である。 b 胃瘻造設後は経ロ摂取が不可能である。 c 家族がリビングウィルを変更することができる。 d 人工呼吸器装着の事前意思決定は変更することができない。 e 自分の意思を伝えることがさらに困難になってくる可能性がある。 次の文を読み、66〜68の問いに答えよ。 73歳の男性。腹痛を主訴に来院した。 現病歴:1週間便が出ていない。2日前に腹痛を自覚したが我慢していた。昨日から尿が出ていない。今朝、家族に伴われて受診した。 既往歴:60歳から高血圧症で内服治療中。昨年の人間ドックで便潜血反応陽性のため、精査が必要といわれたが、受診しなかった。 現症:意識レベルはJCS I-1。身長160cm、体重60kg。体温38.5℃。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧72/42mmHg。表情は苦悶様で、腹部全体に痛みを訴えている。心音に異常を認めない。腹部は膨隆し、板状硬であり、反跳痛を認める。腸雑音を聴取しない。皮膚は温かい。 検査所見:血液所見:赤血球350万、Hb9.0g/d/、Ht27%、白血球15,000(好中球83%、好酸球1%、好塩基球1%、単球リンパ球13%)、血小板5.2万。血液生化学所見:血糖90mg/dL、HbA1c 5.0%(基準4.3〜5,8)、総蛋白6.0g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸 5.0mg/dL、Na 145mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 100mEq/L。免疫学所見:CRP 10.0mg/dL、CEA 20ng/mL(基準5以下)。 66 急性腹症と診断して、開腹手術が予定された。 術前にまず行う治療として適切なのはどれか。2つ選べ。 a ドパミン持続静注 b 5%ブドウ糖液輸液 c 乳酸リンゲル液輸液 d アドレナリン持続静注 e ニトログリセリン持続静注 67 最も適切な麻酔法はどれか。 a 伝達麻酔 b 全身麻酔 c 硬膜外麻酔 d 全身麻酔と硬膜外麻酔の併用 e 脊髄クモ膜下麻酔<脊椎麻酔> 68手術翌日、呼吸困難を訴えた。体温36.5℃。呼吸数24/分。脈拍100/分、整。血圧118/80mmHg。FIO2 0.5で経皮的動脈血酸素飽和度90%。両側肺野で吸気時のcoarse cracklesと呼気時のwheezesとを聴取する。心エコ一検査で明らかな異常を認めない。胸部エックス線写真(別冊No.8)を別に示す。 病態として最も考えられるのはどれか。 a 肺膿瘍 b 肺塞栓症 c 気管支喘息 d うっ血性心不全 e 急性呼吸促迫症候群 別冊 No.8 69 血小板が増加するのはどれか。 a 肝硬変 b 血友病 c 真性多血症 d 多発性骨髄腫 e Glanzmann 病 f 巨赤芽球性貧血 g 急性骨髄性白血病 h 播種性血管内凝固 i 溶血性尿毒症症候群