106_F 1 腰椎穿刺による脳脊髄液検査の適応とならないのはどれか。 a くも膜下出血の診断 b 脳出血での脳圧の評価 c 意識障害患者での鑑別診断 d 急性細菌性髄膜炎での起炎菌の同定 e 急性リンパ性白血病での髄膜浸潤の診断 2 身体診察について誤っているのはどれか。 a 腎臓の触診は膝屈曲位で行う。 b 腎臓は呼気終末時に触知しやすい。 c 前立腺の直腸指診は示指で行う。 d 陰囊内腫瘤を認めたら透光性を調べる。 e 尿管結石を疑ったら背部の叩打痛を確認する。 3 心音のⅢ音について正しいのはどれか。 a 低調な音である。 b 座位で増強する。 c 収縮期に聴取する。 d 大動脈弁領域で聴取しやすい。 e 小児で聴取すれば病的である。 4 認知症患者を介護する家族への助言として適切なのはどれか。 a 「介護は家族だけで行うべきです」 b 「介護者同士で悩みを打ち明け合うことも大切です」 c 「ご本人が気弱になったらしっかりと励ましてください」 d 「失敗を繰り返さないようにはっきりと指摘しましょう」 e 「近所から悪評が立たないようなるべく隠したほうが良いです」 5 胃体下部小彎の内視鏡写真(別冊No. 1)を別に示す。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 胃潰瘍 b 進行胃癌 c 萎縮性胃炎 d 胃ポリープ e 胃粘膜下腫瘍 別冊 No. 1 6 障害されると右方視の際に複視をきたすのはどれか。 a 右視神経 b 右三叉神経 c 右外転神経 d 左顔面神経 e 左副神経 7 死亡診断書で記載する必要がないのはどれか。 a 本籍 b 性別 c 生年月日 d 死因の種類 e 死亡したところ 8 肺腺癌について正しいのはどれか。 a 肺癌の他の組織型に比べてホルモン産生腫瘍が多い。 b 胸部エックス線写真の典型像は空洞形成である。 c 肺癌の組織型の中では最も頻度が高い。 d 喀痰細胞診で早期発見されやすい。 e 血清NSEが上昇する。 9 徒手筋力テストで、重力の影響を除いた肢位であれば全関節可動域を動かすことができる最小の段階はどれか。 a 5 b 4 c 3 d 2 e 1 10 身体診察所見と病態・疾患の組合せで正しいのはどれか。 a 声音振盪の増強反回神経麻痺 b 踵下ろし試験cheel-drop jarring testh陽性胸水貯留 c Barré 徴候陽性片麻痺 d Romberg試験陽性感音性難聴 e Weber試験陽性腹膜炎 11 上腕での血圧測定の手技で正しいのはどれか。 a 上腕は肩の高さに保つ。 b マンシェットの遠位端が肘窩に重なるように巻く。 c ゴム囊の中央部で上腕動脈を圧迫するように巻く。 d 患者が痛くないように減圧は素早く行う。 e Korotkoff音の消失する時点を収縮期血圧とする。 12 禁煙に失敗した気管支喘息患者への医師の助言として適切なのはどれか。 a 「家族の理解がないことは言い訳になりません」 b 「自己責任ですので好きにしてもらって結構です」 c 「禁煙できないのは、あなたにやる気がないからです」 d 「今回の失敗の経験は、次に禁煙するときに役立ちます」 e 「禁煙に対するあなたの取り組み方によって、喘息発作が減る訳ではありません」 13 我が国の脳死臓器移植について正しいのはどれか。 a 腎臓は臓器売買が認められている。 b 心停止前の臓器摘出は禁止されている。 c ドナーカードによる同意が必須である。 d 遺族には臓器摘出を拒否する権利がある。 e 本人意思が不明の場合は裁判所が判断する。 14 インフォームドコンセントについて正しいのはどれか。 a 3歳児から取得できる。 b 医師による病状説明を指す。 c 一度同意すると撤回できない。 d セカンドオピニオンと同義である。 e 目的は患者の人権を尊重することである。 15 輸液セットの写真(別冊No. 2)を別に示す。 各部の操作・機能の説明で正しいのはどれか。 a ①:キャップを外して静脈を穿刺する。 b ②:急速輸液の場合に圧迫を繰り返す。 c ③:輸液の流量を調節する。 d ④:薬剤を輸液ボトル内に注入する。 e ⑤:刺入後に翼状部分を取り除く。 別冊 No. 2 16 63 歳の男性。咳と発熱とを主訴に来院した。黄色の痰も伴っている。5年前にアルコール性肝硬変とアルコール依存症との診断を受け、3回の入院歴がある。1人暮らしである。体温38.2 ℃。SpO2 93 %(room air)。左の前胸部と背部下方とに coarse cracklesを聴取する。胸部エックス線写真で左下肺野に浸潤影を認める。肺炎と診断し、入院することになった。 これから収集する情報のうち、安全管理の観点から最も重要性が高いのはどれか。 a 職業歴 b 喫煙歴 c 家族歴 d 海外渡航歴 e 最終飲酒日時 17 48 歳の男性。閉じこもりがちの生活を心配した両親に伴われて来院した。25 歳時に統合失調症を発症して以来、外来通院で治療を続けてきた。病識はあるものの、長期間に渡って軽度の幻聴や関係妄想が残存し、15年前から就業していない。家庭では問題なく日常生活を送ることができている。服薬は遵守している。高齢の両親と3人で暮らしている。 現時点の対応として適切なのはどれか。 a 入院治療 b 抗うつ薬の処方 c 両親への心理教育 d デイケアへの通所 e グループホームへの入所 18 82 歳の男性。意識障害のため搬入された。家族からの情報では、ここ数日は頻繁に下痢をしていたという。意識レベルはJCSⅢ- 100。体温38.2 ℃。心拍数110/分、整。収縮期血圧78 mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 97 %(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。全身に発汗を認める。末梢静脈路を確保した。 現時点で使用する輸液製剤として適切なのはどれか。 a 脂肪乳剤 b 生理食塩液 c アミノ酸製剤 d 5%ブドウ糖液 e 高カロリー輸液製剤 19 40 歳の女性。多関節痛を主訴に来院した。5年前から両手関節と両側中手指節間関節とに疼痛と腫脹とを認めている。朝のこわばりは2時間持続する。赤沈70mm/1時間。免疫学所見:CRP 4.0 mg/dl。抗CCP抗体陽性。 この疾患の特徴でないのはどれか。 a 尺側偏位 b 蝶形紅斑 c ボタン穴変形 d スワンネック変形 e 肘関節伸側の皮下結節 20 70 歳の女性。1人暮らし。5日前からの発熱と下痢とを主訴に、往診の依頼があった。2年前に大腿骨頸部骨折を受傷して以来、自宅で寝たきりになっている。意識は清明。体温38.0 ℃。脈拍104/分、整。血圧86/50 mmHg。呼吸数24/分。 この患者で認める可能性が高いのはどれか。 a 黄疸 b 腹水 c 乏尿 d 甲状腺腫大 e 外頸静脈怒張 21 52 歳の男性。糖尿病治療目的で外来通院中である。体重を減量する必要性を本人も理解しているが、これまでの5回の受診で体重が漸増している。身長165 cm、体重82 kg。HbA1c 7.6 %(基準4.3〜5.8)。 医師の発言として適切なのはどれか。 a 「何度説明しても無駄ですね」 b 「減量では何がつらいですか」 c 「体重が増えて透析になっても知りませんよ」 d 「次回までに体重が減らないと私は責任が持てません」 e 「今回できなかった分も加えて次回までに減量しましょう」 22 32 歳の男性。頸髄損傷患者。手関節の背屈はできないが、肘関節の屈曲は可能である。頸椎MRIでは脊髄の連続性が絶たれている。 この患者で可能と考えられるのはどれか。 a 肩甲骨の挙上 b 肘関節の伸展 c 手関節の屈曲 d 手指の伸展 e 股関節の屈曲 23 81 歳の女性。路上でうずくまって動けなくなっているところを近隣住民に発見されて搬入された。皮膚に外傷を認めない。認知機能の低下、低栄養および脱水状態を認める。着衣は汚く、不潔な状況である。近隣住民によると、息子との2人暮らしであるが、近所付き合いはほとんどないという。息子とは連絡がとれない。 診療と並行して行うべき対応で適切なのはどれか。 a 介護保険施設への入所手続きを行う。 b 地域包括支援センターに連絡する。 c 医療安全支援センターに連絡する。 d 社会福祉事務所に連絡する。 e 医療保護入院させる。 24 32 歳の3回経妊2回経産婦。産褥8日。凝血塊を含んだ大量の性器出血を主訴に来院した。妊娠39 週5日で3,600 gの男児を経腟分娩し、3日前に退院した。体温36.2 ℃。脈拍92/分、整。血圧112/72 mmHg。腹部はやや膨隆しているが圧痛はない。子宮底は臍高で軟らかく触知する。子宮口は1.5 cm 開大している。腟鏡診で暗赤色の凝血塊を認める。尿所見:蛋白8安:、糖8安:。血液所見:赤血球350 万、Hb 8.8 g/dl、Ht 29 %、白血球8,000、血小板26万。CRP 0.2 mg/dl。 現時点の対応として適切なのはどれか。 a 腹腔鏡検査 b 抗菌薬の投与 c 子宮全摘出術 d 子宮動脈塞栓術 e 子宮収縮薬の投与 25 45 歳の男性。皮疹を主訴に来院した。2週前に両側の下腿の皮膚病変に気付いたが、疼痛や瘙痒感はなかった。1週前から皮膚病変が拡大してきたため受診した。両側の下腿から足背にかけて皮膚病変がみられる。病変は隆起しておらず、圧迫しても赤紫色が消退しない。下腿から足背にかけての写真(別冊No. 3)を別に示す。 この病変を特徴づける皮疹の種類はどれか。 a 丘疹 b 膨疹 c 紫斑 d 苔癬化 e 毛細血管拡張 別冊 No. 3 次の文を読み、26、27の問いに答えよ。 78 歳の男性。意識障害のため搬入された。 現病歴: 7日前から上腹部の鈍痛と38.3 ℃の発熱とがみられていた。6日前にかかりつけの診療所を受診し、解熱薬を処方された。5日前、症状が軽快したため、薬の内服を中止した。2日前から再び右上腹部痛を自覚し、37.6 ℃の発熱と全身ß怠感とがみられた。昨日から食欲低下と悪寒とを伴うようになったため、中断していた解熱薬の内服を再開した。昨日の時点で、尿の色が濃いことに気付いていた。本日、起床後に悪寒と悪心とが出現し、意識がもうろうとした状態となった。家族の問いかけに対してつじつまの合わない返答がみられたため、家族が救急車を要請した。 既往歴: 7年前から高血圧症に対しアンジオテンシン変換酵素阻害薬を内服中。 3年前に腹部超音波検査で3、4個の胆石を指摘された。 生活歴: 喫煙は15 本/日を58 年間。飲酒は日本酒2合/日を58 年間。 家族歴: 父親が脳出血で死亡。 現症: 意識レベルはJCSⅡ- 10。身長164 cm、体重59 kg。体温39.0℃。心拍数112/分、整。血圧82/58 mmHg。呼吸数24/分。SpO2 97 %(3L/分酸素投与下)。眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆し、軟で、肝・脾を触知しない。右季肋部を中心に圧痛を認める。 26 まず行うべき治療として適切なのはどれか。 a アトロピンの静注 b 新鮮凍結血漿の輸血 c 生理食塩液の急速静注 d アルブミン製剤の点滴静注 e 分岐鎖アミノ酸製剤の点滴静注 27 この患者の循環状態の重症度を評価するための検査で適切なのはどれか。 a 血糖測定 b 血液培養検査 c 動脈血乳酸値測定 d 血清アルブミン測定 e ヘパプラスチンテスト 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。 67 歳の男性。全身の衰弱を心配した家族に伴われて来院した。 現病歴: 3か月前から徐々に体重が減少し、2か月前から外出できなくなり、1週前からは家族の介助がないと立ち上がれなくなった。患者本人は受診を嫌がっていたが、2日前からはほとんど食事が摂れず、トイレまで歩くこともできなくなったため受診に同意した。 既往歴: 健康診断は受けていない。 生活歴: 喫煙は60 本/日を47年間。飲酒は日本酒1〜2合/日を47年間。 家族歴: 父親が高血圧症で、脳梗塞のため82 歳で死亡。 現症: 意識は清明。身長165 cm、体重42 kg。体温37.6 ℃。脈拍120/分、整。血圧96/62 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95 %8room air:。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。右の前胸部、背部および側胸部で呼吸音が減弱している。coarse cracklesを聴取しない。皮膚のツルゴールが低下している。下腿に浮腫を認めない。 検査所見: 血液所見:赤血球394 万、Hb 13.1 g/dl、Ht 40 %、白血球11,700(好中球85 %、好酸球1%、単球6%、リンパ球8%)、血小板50万。血液生化学所見:随時血糖181 mg/dl、HbA1c 6.5 %8基準4.3〜5.8:、総蛋白7.3 g/dl、アルブミン2.3 g/dl、尿素窒素28 mg/dl、クレアチニン0.6 mg/dl、尿酸3.8 mg/dl、総ビリルビン0.3 mg/dl、AST 47 IU/l、ALT 28 IU/l、LD 391 IU/l(基準176〜353)、ALP 435 IU/l(基準115〜359)、γ-GTP 44 IU/l(基準8〜50)、Na 133 mEq/l、K 5.0 mEq/l、Cl 93 mEq/l、Ca 9.6 mg/dl。CRP 24 mg/dl。胸部エックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。 別冊 No. 4 28 この患者の病態として考えにくいのはどれか。 a 脱水症 b 感染症 c 糖尿病 d 悪性腫瘍 e うっ血性心不全 29 次に行うべき検査はどれか。 a 胸部MRI b 胸部造影CT c 心臓カテーテル検査 d ガリウムシンチグラフィ e ポジトロンエミッション断層撮影cPETh 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。 63 歳の女性。「鼻血を止める方法を教えてください」と救急外来に電話があった。 現病歴: 本日19時から、自宅で特に誘因なく鼻出血が出現した。30分たっても止血しないため、救急外来に電話したという。 既往歴: 約10年前に高血圧症と診断され、自宅近くの診療所で降圧薬を処方されている。 30 自宅で実施可能な手当の説明として適切なのはどれか。 a 「仰向けで安静にしてください」 b 「おでこを氷囊で冷やしてください」 c 「首の後ろをトントンと軽く叩いてください」 d 「前かがみの姿勢で鼻を強くつまんでください」 e 「ティッシュペーパーを丸めて鼻の穴に詰めてください」 31 患者は20 時30 分頃来院した。助言に従い止血を試みたが、効果がみられなかったという。 生活歴: 特記すべきことはない。 家族歴: 父親が高血圧性脳出血のため76歳で死亡。 現症: 意識は清明。脈拍88/分、整。血圧166/80 mmHg。左鼻孔からの出血を認め、しばしば口腔内に溜まった血液を吐き出している。他の身体所見に異常を認めない。 救急外来担当医が耳鼻咽喉科医師に対応を要請している間に、座って待機していた患者が床にうずくまった。呼びかけに対する反応は明確でなく、顔面は蒼白で冷汗を認める。脈拍56/分、整。血圧104/72 mmHg。呼吸数16/分。胸部聴診で呼吸音に異常を認めない。 対応として適切なのはどれか。 a 気管挿管を行う。 b 緊急輸血を行う。 c 側臥位で安静とする。 d アドレナリンを静注する。 e カルシウム拮抗薬を舌下投与する。