106_I 01 慢性膵炎の成因のうち最も頻度が高いのはどれか。 a 肥満 b 胆石 c アルコール d Vater 乳頭炎 e 過敏性腸症候群 02 症候と原疾患の組合せで誤っているのはどれか。 a 十二指腸閉鎖症-Turner 症候群 b 心奇形-18 trisomy c 全前脳胞症-13 trisomy d 腟欠損-Mayer-Rokitansky-Küster 症候群 e 低身長-Down 症候群 03 児童虐待について正しいのはどれか。 a 虐待者は継母が最も多い。 b 虐待の相談件数は減少傾向にある。 c 虐待の通告は福祉事務所あるいは児童相談所に行う。 d 保護者が虐待者の場合は保護者の面会を制限できない。 e 保護者の要請がある場合は虐待の通告をしてはならない。 04 胸膜炎で認められる疼痛の特徴はどれか。 a 肩へ放散する。 b 側胸部に圧痛がある。 c 深呼吸をすると強くなる。 d 食事をするときに強くなる。 e 背部の疼痛は次第に下方へ移動する。 05 治療方針の決定のため、臓器の静脈サンプリング検査を行う必要がある内分泌疾患はどれか。 a 原発性アルドステロン症 b プロラクチノーマ c Plummer病 d Addison病 e クレチン症 06 関節リウマチで障害されにくいのはどれか。 a 手関節 b 肘関節 c 仙腸関節 d 膝関節 e 足関節 07 高齢女性の頭部MRIの造影T1強調像(別冊No. 1A)と病変のH-E染色標本(別冊No. 1B)とを別に示す。 考えられるのはどれか。 a 胚細胞腫 b 乏突起膠腫 c 神経膠芽腫 d 転移性脳腫瘍 e 悪性リンパ腫 別冊 No. 1 A、B 08 高血圧症の若年女性の右腎動脈造影写真(別冊No. 2)を別に示す。左腎動脈造影写真には異常を認めない。 この疾患に関する説明で正しいのはどれか。 a 高カリウム血症を認める。 b 粥状硬化症を原因として発症する。 c 治療として経皮経管血管形成術を行う。 d 成人の二次性高血圧症の原因疾患として最も多い。 e アンジオテンシン変換酵素阻害薬の投与は禁忌である。 別冊 No. 2 09 肛門部の写真(別冊No. 3)を別に示す。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 痔瘻 b 裂肛 c 痔核脱出 d 完全直腸脱 e 肛門周囲膿瘍 別冊 No. 3 10 十二指腸を閉塞するのはどれか。 a 薬物性腸炎 b 十二指腸憩室 c 好酸球性胃腸炎 d 上腸間膜動脈症候群 e 十二指腸粘膜下異所性膵 11 左→右シャントをきたすのはどれか。 a Ebstein 奇形 b Fallot 四徴症 c 動脈管開存症 d 左心低形成症候群 e 総肺静脈還流異常症 12 内耳道に限局した聴神経腫瘍による症状として考えにくいのはどれか。 a 耳鳴 b 難聴 c めまい d 顔面神経麻痺 e 顔面の感覚低下 13 ERG で律動様小波が減弱する眼疾患はどれか。 a 加齢白内障 b 糖尿病網膜症 c 角膜ヘルペス d 乾性角結膜炎 e 流行性角結膜炎 14 認知機能の動揺と抗精神病薬に対する感受性の亢進とを特徴とするのはどれか。 a 脳血管性認知症 b 前頭側頭型認知症 c Lewy小体型認知症 d Alzheimer 型認知症 e 特発性正常圧水頭症 15 金属中毒と健康障害の組合せで誤っているのはどれか。 a 鉛貧血 b 亜鉛金属熱 c ヒ素皮膚癌 d マンガン感作性皮膚炎 e カドミウム腎障害 16 インスリノーマでみられやすいのはどれか。 a 下痢 b 胆石症 c 意識障害 d 色素沈着 e 十二指腸潰瘍 17 甲状腺機能低下症で薬物治療を開始する前に行うべき検査はどれか。 a 脳波 b 心電図 c 頭部MRI d 腹部超音波 e 神経伝導速度 18 腰椎椎間板ヘルニアでL5 神経根が圧迫され、同側下肢の筋力低下がみられた。 障害されると考えられる動作はどれか。 a 股関節屈曲 b 股関節内転 c 膝関節伸展 d 足関節背屈 e 足関節底屈 19 外陰部の瘙痒感をきたしにくいのはどれか。 a 萎縮性腟炎 b 接触性皮膚炎 c 外陰ヘルペス d トリコモナス腟炎 e 外陰腟カンジダ症 20 鉄欠乏性貧血の検査所見として正しいのはどれか。 a 網赤血球増加 b 総鉄結合能低下 c 血清フェリチン低下 d 血清へプシジン上昇 e 赤血球浸透圧抵抗減弱 21 肝細胞癌の腹部造影CT(別冊No. 4A、B)を別に示す。 肝切除術を行う場合の術式として適切なのはどれか。 a 左外側区域切除 b 中央2区域切除 c 右3区域切除 d 左3区域切除 e 尾状葉切除 別冊 No. 4 A、B 22 胃GISTについて正しいのはどれか。 a 胃全摘術が第一選択である。 b 小腸GISTよりも頻度が低い。 c リンパ節に転移することが多い。 d 肉眼的には潰瘍浸潤型を呈することが多い。 e 免疫組織化学染色でKIT陽性が特徴的である。 23 急性大動脈解離で認められないのはどれか。 a 対麻痺 b 意識消失 c 尿量減少 d Raynaud現象 e 上肢血圧の左右差 24 耳鏡所見(別冊No. 5 ①〜⑤)を別に示す。 急性中耳炎の所見と考えられるのはどれか。 a ① b ② c ③ d ④ e ⑤ 別冊 No. 5 ①〜⑤ 25 入眠後2〜3時間で出現することが多いのはどれか。 a せん妄 b 悪夢障害 c 夢中遊行症 d ナルコレプシー e 睡眠覚醒スケジュール障害 26 我が国のたばこ対策に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。 a 禁煙補助薬は処方箋がなくても購入できる。 b ニコチン依存症の治療は保険診療の対象である。 c 未成年者の喫煙を禁止している法律は学校保健安全法である。 d 受動喫煙の防止に関する規定は、地域保健法に盛り込まれている。 e 我が国は「たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約」を批准していない。 27 身体依存、精神依存および耐性形成のすべてをきたすのはどれか。2つ選べ。 a 大麻 b コカイン c モルヒネ d アルコール e アンフェタミン類 28 糖尿病の合併症について正しいのはどれか。2つ選べ。 a 腎症の早期診断に尿中アルブミン測定が有用である。 b 増殖糖尿病網膜症は汎網膜光凝固の適応がある。 c 脳血管障害では症候性脳出血が多い。 d 心臓障害では拡張型心筋症が多い。 e 末梢神経障害はまれである。 29 青壮年期における細菌性髄膜炎の主要な原因菌はどれか。2つ選べ。 a 大腸菌 b 肺炎球菌 c 髄膜炎菌 d リステリア e インフルエンザ桿菌 30 胃全摘術後にきたしやすいのはどれか。2つ選べ。 a 胆石症 b ペラグラ c 高尿酸血症 d 門脈圧亢進症 e 巨赤芽球性貧血 31 末梢血で好酸球増多が特徴的なのはどれか。2つ選べ。 a アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 b びまん性汎細気管支炎 c Churg-Strauss 症候群 d アミロイドーシス e 肺胞蛋白症 32 社会不安障害について正しいのはどれか。2つ選べ。 a 注察妄想に発展する。 b 発汗とふるえとを伴う。 c パニック発作を認めない。 d 社会から疎外されていると考える。 e 他の人々から注視される状況を避ける。 33 法令でじん肺の合併症として認められている業務上疾病はどれか。2つ選べ。 a 肺気腫 b 過敏性肺炎 c 気管支喘息 d 原発性肺癌 e 結核性胸膜炎 34 アスピリン喘息の特徴はどれか。2つ選べ。 a 女性に多い。 b 季節性がある。 c IgEを介する。 d 鼻茸を合併しやすい。 e インドメタシンは発作の原因とならない。 35 Duchenne型筋ジストロフィーに合併するのはどれか。2つ選べ。 a 白内障 b 心筋症 c 糖尿病 d 性腺萎縮 e 脊柱変形 36 骨髄異形成症候群と再生不良性貧血とに共通してみられるのはどれか。2つ選べ。 a dry tap b 髄外造血 c 汎血球減少 d 芽球の増加 e 血清エリスロポエチン高値 37 気胸の合併に注意すべきなのはどれか。2つ選べ。 a 肺分画症 b 過敏性肺炎 c Marfan 症候群 d 肺リンパ脈管筋腫症 e アレルギー性肉芽腫性血管炎 38 ナルコレプシーの患者の訴えと考えられるのはどれか。2つ選べ。 a 「会議中に突然眠ってしまいます」 b 「足がむずむずしてよく眠れません」 c 「毎日明け方になるまで眠れません」 d 「寝入りばなに誰かに呼ばれる気がします」 e 「毎晩、眠れないのではないかと不安になります」 39 頭位分娩時に新生児が損傷を受けやすいのはどれか。2つ選べ。 a 三叉神経 b 腕神経叢 c 迷走神経 d 横隔神経 e 坐骨神経 40 68 歳の女性。粘膜部のびらんと全身の発疹とを主訴に来院した。5日前、風邪症状に対して市販の総合感冒薬を内服した。2日間内服を続けたところ、3日前から結膜充血と口腔内びらんとに加えて、顔面、体幹および四肢に紅斑とびらんとが出現した。初診時、全身の80 %に紅斑が見られ、こすると容易にびらんを形成した。顔面の写真(別冊No. 6A)と、背部の紅斑をこすって生じたびらんの写真(別冊No. 6B)とを別に示す。 診断として考えられるのはどれか。 a 中毒性表皮壊死剝離症 b 結節性紅斑 c 膿疱性乾癬 d 扁平苔癬 e 固定薬疹 別冊 No. 6 A、B 41 6歳の男児。昨日からの咽頭痛と39.0 ℃の発熱とを主訴に来院した。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。リンパ節の腫脹を認めない。皮疹を認めない。咽頭部の写真(別冊No. 7)を別に示す。 原因として考えられるのはどれか。 a 麻疹ウイルス b パルボウイルスB19 c コクサッキーウイルス d 単純ヘルペスウイルス e ヒトヘルペスウイルス6 別冊 No. 7 42 36歳の男性。発熱と全身倦怠感とを主訴に来院した。 週前に口蓋扁桃摘出術を受けた。3週前から悪寒戦慄を伴う37〜40℃の発熱があり、市販の総合感冒薬を内服しても解熱しなかったため受診した。息苦しさは自覚していない。脈拍100/分、整。血圧120/82 mmHg。心尖部に収縮期雑音を聴取する。両手掌に2mm大の小出血斑を認める。血液所見:赤血球310 万、Hb 11.2 g/dl、Ht 30 %、白血球15,800、血小板15 万。CRP 10 mg/dl。血液培養の結果はまだ分からない。心エコー図(別冊No. 8)を別に示す。 直ちに開始する治療として適切なのはどれか。 a 緊急手術 b 抗菌薬の投与 c 抗ウイルス薬の投与 d 免疫グロブリンの投与 e ステロイドパルス療法 別冊 No. 8 43 26 歳の女性。子宮頸がん検診のために来院したところ、外陰部の皮膚病変を認めた。病変は淡赤色で鶏冠状の小結節であり、会陰から肛門周囲の皮膚まで広がっている。痒みと痛みとを訴えていない。 この疾患の原因として考えられるのはどれか。 a アデノウイルス b 単純ヘルペスウイルス c サイトメガロウイルス d ヒト免疫不全ウイルス e ヒトパピローマウイルス 44 55 歳の男性。突然の右下腹部痛を主訴に来院した。今朝、右下腹部に、痛みを伴う膨隆があることに気付いた。体温36.8 ℃。恥骨結節の5cm右外側に径4cmの膨隆があり、圧痛を認める。陰囊に圧痛を認めない。右下肢の腫脹と発赤とを認めない。血液所見:赤血球435 万、Hb 16.1 g/dl、Ht 44 %、白血球8,400、血小板21 万。血液生化学所見:総ビリルビン0.6 mg/dl、LD 305 IU/l(基準176〜353)、アミラーゼ113 IU/l(基準37〜160)、CK 134 IU/l(基準30〜140)。CRP 0.2 mg/dl。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 精巣上体炎 b 大腿静脈血栓症 c 化膿性リンパ節炎 d 鼠径ヘルニア嵌頓 e 大腿ヘルニア嵌頓 45 68 歳の女性。皮膚の出血斑を主訴に来院した。打撲した記憶がないにもかかわらず、数か月前から両側の手背と前腕とに出血斑が見られることが気になっていたという。鼻出血と歯肉出血とを認めない。口腔粘膜に点状出血を認めない。両側の手背と前腕とに径3〜5cmの紫斑を3個認める。血液所見:赤血球468 万、Hb 13.9 g/dl、Ht 42 %、白血球6,300、血小板20万、PT 98 %(基準80〜120)、APTT 33 秒(基準対照32)。 対応として適切なのはどれか。 a 経過観察 b 骨髄穿刺 c 血清免疫電気泳動 d 血小板凝集能測定 e 凝固因子活性測定 46 45 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。20 歳から毎日飲酒するようになり、日本酒を1日合飲んでいた。その後、飲酒量は増えたものの仕事に支障をきたすことはなかった。35 歳時に職場の定期健康診断で肝機能障害を指摘され、産業医から内科受診と禁酒とを繰り返し勧められたが、受診せず飲酒を続けていた。2か月前に仕事上のトラブルがあり、飲酒量が急激に増加した。5日前からは、朝から飲酒し仕事に行かなくなった。3日前から全身倦怠感が強くなり、増悪してきたため受診した。外来で肝機能障害が認められ、入院することになった。入院後3日、「ここは火葬場で、周りの人間が自分を燃やそうとしている」と言い、興奮し始めた。発汗が著明である。粗大な手指振戦を認める。時々、穏やかに対応することもあるが、自分の居る場所が病院であることを理解できず困惑している様子である。 現時点の対応として適切なのはどれか。 a 身体拘束を行う。 b 抗酒薬を投与する。 c 三環系抗うつ薬を投与する。 d ビタミンを含む輸液を行う。 e 入院形態を措置入院に変更する。 47 37 歳の女性。挙児希望を主訴に来院した。最近の1年間で2回妊娠し、いずれも稽留流産と診断され、子宮内容除去術を受けた。現在は、流産や手術が怖いため避妊しているという。月経周期は28 日型、整。 対応として最も適切なのはどれか。 a 排卵誘発 b 骨盤部CT c 避妊の継続 d 精神的ケア e 夫の精液検査 48 3歳の男児。右腕が動かないことを心配した母親に伴われて来院した。母親がつないでいる児の右手を急に引っ張り上げた直後から、児は右上肢を下垂したまま動かさなくなったという。右手指の自動運動は可能である。歩行に異常を認めない。 障害されている部位として最も考えられるのはどれか。 a 頸椎 b 鎖骨 c 肩関節 d 肘関節 e 手関節 49 74 歳の女性。右変形性股関節症に対する人工股関節置換術後で入院中である。手術後2週目の歩行訓練中に突然、胸部の不快感を自覚した。意識レベルはJCS Ⅱ- 10。脈拍120/分、整。血圧150/80mmHg。呼吸数24/分。SpO2 89%(room air)。呼吸音に異常を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.50、PaCO2 32 Torr、PaO2 51 Torr、HCO3- 24 mEq/l。胸部エックス線写真に異常を認めない。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 狭心症 b 院内肺炎 c 急性心筋梗塞 d 肺血栓塞栓症 e 解離性大動脈瘤 50 78 歳の男性。突然の意識消失を繰り返すことを主訴に来院した。発作は約3か月前からみられ、頻度は2週に1回程度であるという。薬は服用していない。来院時、意識は清明。脈拍52/分、整。血圧116/68 mmHg。身体診察所見、胸部エックス線写真および12 誘導心電図に異常を認めない。携帯型心電図記録計による症状発現時の心電図(別冊No. 9)を別に示す。 治療として適切なのはどれか。 a β 遮断薬の投与 b 抗コリン薬の投与 c 植え込み型除細動器の留置 d 心臓ペースメーカーの留置 e カテーテルアブレーション 別冊 No. 9 51 32 歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。6か月前から、性交後の出血と月経時以外の出血とがあった。初経13歳。月経周期は28 日型、整。身長165 cm、体重54 kg。体温37.2 ℃。内診所見上、分泌物は血性で少量であり、子宮は前傾前屈で正常大である。両側付属器とDouglas窩とに異常を認めない。血液所見:赤血球305 万、Hb 10.7 g/dl、Ht 29 %、白血球8,800、血小板24万。酢酸加工後のコルポスコピィの写真(別冊No. 10)を別に示す。 次に行う検査として適切なのはどれか。 a 子宮鏡検査 b 子宮頸部組織診 c 血中CA125 測定 d 腟分泌物培養検査 e ヒトパピローマウイルス検査 別冊 No. 10 52 30 歳の男性。吐き気と下痢とを主訴に来院した。午後10時に焼肉とおにぎりとを食べた。午前1時から嘔吐し始め、水様下痢を伴うようになり次第に増悪したため午前3時ころ受診した。体温36.2 ℃。脈拍80/分、整。 原因菌として最も考えられるのはどれか。 a サルモネラ b 腸炎ビブリオ c 黄色ブドウ球菌 d 腸管出血性大腸菌 e カンピロバクター 53 45 歳の男性。皮疹を主訴に来院した。6か月前に右鼠径部の皮疹に気付いた。中心部が治癒しながら周辺に拡大し、痒みを伴うという。右鼠径部の写真(別冊No.11)を別に示す。 治療を開始するための迅速な検査法として最も有用なのはどれか。 a 培養法 b PCR 法 c 皮膚生検 d トリコフィチン反応 e 苛性カリ直接鏡検法 別冊 No. 11 54 61 歳の女性。嚥下困難を主訴に来院した。5日前から水を飲み込みにくい感じがあり、徐々に増悪してきた。嚥下困難の原因検索のため入院となった。血液検査、上部消化管内視鏡検査、頸部CT及び胸部CTに異常を認めなかった。入院後4日、患者は口を開けられないと訴えた。身体診察で胸鎖乳突筋の筋緊張亢進を認める。 考えられるのはどれか。 a 破傷風 b 多発性筋炎 c 重症筋無力症 d 多発性硬化症 e Guillain-Barré 症候群 55 1歳の男児。嘔吐と下痢とを主訴に来院した。昨日の夕方から嘔吐が始まり、午前10 時の受診までに5回嘔吐した。最後に嘔吐したのは午前3時であった。今朝、白っぽい下痢便が1回みられた。通っている保育園に同じ症状の子どもがいるという。意識は清明。体重10.2 kg(数日前と比較して0.2 kg減少)。体温37.8 ℃。脈拍92/分、整。呼吸数18/分。咽頭に発赤を認めない。口腔内の乾燥を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は亢進している。皮膚の緊張度はやや低下している。項部硬直を認めない。 対応として適切なのはどれか。 a 絶飲食にする。 b 抗菌薬を投与する。 c 入院して輸液を行う。 d 経口補液を指導する。 e 免疫グロブリンを投与する。 56 20 歳の男性。右眼を開けられないことを主訴に来院した。今朝、起床時に右の開瞼が困難であることに気付き、その後も改善しないため受診した。10 日前から、同居の弟の両眼に同様の症状がみられているという。体温36.2 ℃。流涙を認める。顔面の写真(別冊No. 12A、B)を別に示す。 この疾患でみられないのはどれか。 a 眼脂 b 偽膜形成 c 虹彩毛様体炎 d 点状表層角膜症 e 耳前リンパ節の圧痛 別冊 No. 12 A、B 57 30 歳の男性。2週前から続く発熱と両眼の霧視とを主訴に来院した。意識は清明。身長170 cm、体重54 kg。体温37.2℃。脈拍84/分、整。血圧144/72 mmHg。呼吸数16/分。咽頭に異常を認めない。両側の頸部と左腋窩とに無痛性のリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。細隙灯顕微鏡検査で両眼に虹彩炎を認める。眼底検査で両眼に真珠の首飾り状の硝子体混濁を認める。胸部エックス線写真(別冊No. 13)を別に示す。 診断に有用な血液検査項目はどれか。 a ALT b ALP c AFP d ACE e ACTH 別冊 No. 13 58 32 歳の女性。発熱と多関節痛とを主訴に来院した。3年前から光線過敏に気付いていた。1年前の冬にRaynaud現象が出現した。6か月前から時々、両側の手関節の関節痛を自覚していた。3か月前から多数の関節に腫脹と疼痛とがみられ、持続するようになったため受診した。体温38.6 ℃。脈拍92/分、整。血圧110/60mmHg。頸部に可動性のあるリンパ節腫脹を認める。両側の手関節、第2〜4指の近位指節間関節および中手指節間関節に腫脹と圧痛とを認める。赤沈50 mm/1時間。血液所見:赤血球310 万、Hb 11.0 g/dl、Ht 33 %、白血球3,300、血小板 10万。血液生化学所見:AST 35 IU/l、ALT 40 IU/l、LD 370 IU/l(基準176〜353)。CRP 1.5 mg/dl。 この疾患の診断に最も感度の高い検査はどれか。 a 抗核抗体 b 抗Sm 抗体 c 抗RNP抗体 d 抗dsDNA抗体 e 抗リン脂質抗体 59 50 歳の女性。人間ドックのマンモグラフィで異常を指摘されたため来院した。両側の乳房に腫瘤を触知しない。両側の腋窩リンパ節を触知しない。持参したマンモグラフィの病変部(別冊No. 14)を別に示す。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 乳癌 b 囊胞 c 乳腺症 d 線維腺腫 e 葉状腫瘍 別冊 No. 14 60 23 歳の女性。全身倦怠感を主訴に来院した。2週前から著明な口渇、多飲および多尿をきたした。数日前から全身倦怠感が出現し、改善しないため受診した。意識は清明。身長158 cm、体重45 kg。体温36.7 ℃。脈拍116/分、整。血圧92/64 mmHg。呼吸数28/分。SpO2 98 %(room air)。皮膚のツルゴールは低下している。尿ケトン体3+。血液生化学所見:随時血糖385 mg/dl、HbA1c 10.4 %(基準4.3〜5.8)、尿素窒素30 mg/dl、クレアチニン1.3 mg/dl、Na 133 mEq/l、K 4.9 mEq/l、Cl 96 mEq/l。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.26、PaCO2 16 Torr、PaO2 105 Torr、HCO3-7mEq/l。 現時点の対応として適切なのはどれか。 a 生理食塩液の輸液 b スルホニル尿素薬の投与 c 重炭酸ナトリウムの静注 d 遅効型インスリンの皮下注 e 速効型インスリンの大量急速静注 61 77 歳の男性。1年前から緩徐に進行する歩行困難と尿失禁とを主訴に来院した。軽度の開脚歩行である。その他の身体診察所見に異常を認めない。頭部MRIのT2強調冠状断像(別冊No. 15)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。 a Alzheimer 型認知症 b 脊髄小脳変性症 c 多発性脳梗塞 d 特発性正常圧水頭症 e Huntington 病 別冊 No. 15 62 3歳の女児。意識障害のため搬入された。なかなか泣きやまないことに怒った父親が、児の肩を持って何度も強く揺さぶったところ、ぐったりして意識がなくなったという。意識レベルはJCSⅢ- 200。 認められる可能性が最も高いのはどれか。 a 脳梗塞 b 水頭症 c 髄膜炎 d 脳内出血 e 硬膜下血腫 63 65 歳の男性。右手の脱力としびれとを主訴に来院した。1週前と昨日とに、これらの症状が現れ、約20分間持続したという。身体診察所見に異常を認めない。頭部MRI で明らかな異常を認めない。 この患者に対する説明として最も適切なのはどれか。 a 「特に心配はありません」 b 「自宅で安静にしていてください」 c 「すぐに原因の精査をしましょう」 d 「検査のため来週入院しましょう」 e 「1か月後にもう一度、頭部MRIを撮りましょう」 64 17 歳の女子。最終月経から7週間の無月経を主訴に来院した。陸上部の練習が厳しく、体重が3か月で6kg減少したという。初経12歳。月経周期は28 日型、整。身長156 cm、体重40 kg。腹部超音波検査で卵巣に異常を認めない。黄体ホルモンの投与によって消退出血を認めた。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 妊娠 b 早発閉経 c 視床下部性無月経 d 多囊胞性卵巣症候群 e Asherman症候群 65 67 歳の男性。3日前からの発熱と頻尿とを主訴に来院した。2年前から前立腺肥大症の診断でα1遮断薬を内服している。体温38.4 ℃。直腸指診で小鶏卵大の前立腺を触知し、圧痛を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球1〜3/1視野、白血球100以上/1視野。血液所見:赤血球460万、Hb 14.6 g/dl、Ht 41 %、白血球12,300、血小板23万。免疫学所見:CRP 6.2 mg/dl。PSA 12.6 ng/ml(基準4以下)。腹部超音波検査で推定前立腺体積36 ml、残尿量10 ml。 対応として適切なのはどれか。 a 経過観察 b 抗菌薬の投与 c 間欠自己導尿 d 抗コリン薬の投与 e 抗男性ホルモン薬の投与 66 61 歳の男性。腹痛を主訴に来院した。1年前に胃癌で胃全摘術を受け、3か月前まで補助化学療法を受けていた。1か月前から、間欠的な腹痛の頻度が徐々に多くなった。2週前からは少量の軟便が頻回に排泄されるようになり、1日10 回以上となったため来院した。経過中に嘔吐は認めていない。腹部全体に軽度の膨隆を認める。直腸指診で高度の狭窄を認める。骨盤部CTで直腸膀胱窩に腫瘤と少量の腹水とを認める。注腸造影写真(別冊No. 16)を別に示す。 対応として適切なのはどれか。 a 緩下薬の投与 b 人工肛門造設 c 内視鏡的粘膜切除術 d 経鼻イレウス管の挿入 e 直腸切断術 別冊 No. 16 67 22 歳の男性。オートバイに乗って40 km/時で走行中に、交差点で乗用車と衝突したため搬送中である。救急隊からの報告によると、意識は清明だが、衝突場所から10 m 離れた場所まで飛ばされており、右の側胸部から右上腹部にかけて強い疼痛を訴えているという。10 分後に到着予定である。 初期診療に必要でないのはどれか。 a 酸素 b MRI c 超音波診断装置 d 心電図モニター e エックス線撮影装置 68 23 歳の男性。吐血を主訴に来院した。昨夜、会社の歓迎会で日本酒を5合以上飲んだが、正確な飲酒量は記憶していない。本日、起床直後から胃液を嘔吐し、数回目の嘔吐内容が新鮮血であったため驚いて受診した。身体診察所見に異常を認めない。来院後にも少量の新鮮血を嘔吐したため、緊急上部消化管内視鏡検査を行った。食道の内視鏡写真(別冊No. 17)を別に示す。 治療として適切なのはどれか。 a クリッピング b 硬化療法 c 粘膜切除術 d ステント留置 e Hassab手術 別冊 No. 17 69 78 歳の男性。右腰痛と立ちくらみとを主訴に来院した。今朝、居間でテレビを見ていたときに突然、右腰部に激痛を感じた。しばらくして痛みは軽快したものの、立ちくらみが出現したために受診した。65歳時に高血圧を指摘されたが受診はしていない。意識は清明。身長168 cm、体重89 kg。体温36.2 ℃。脈拍96/分、整。血圧102/68 mmHg。呼吸数14/分。腹部に拍動性の腫瘤を触知する。尿所見:潜血(-)、白血球反応(-)。 次に行うべき検査として適切なのはどれか。 a 尿沈渣 b 腹部CT c 腰椎MRI d 静脈性腎盂造影 e 腹部エックス線撮影 70 7歳の男児。学校の健康診断で心雑音を指摘されたため来院した。チアノーゼを認めない。胸部聴診上、吸気時と呼気時とでⅡ音が分裂し、収縮期雑音を聴取する。 これらの所見の聴診に最も適した部位はどれか。 a 左鎖骨上窩 b 胸骨右縁第2肋間 c 胸骨左縁第2肋間 d 胸骨左縁第5肋間 e 左鎖骨中線上第5肋間 71 23 歳の男性。呼吸困難のため搬入された。自宅で咳込んだ直後に呼吸困難を自覚し、次第に増強してきたため家族が救急車を要請した。意識は清明。体温37.0℃。心拍数108/分、整。血圧136/80 mmHg。呼吸数28/分。SpO2 88 %(8L/分酸素投与下)。呼吸音は右の胸部では弱く、左の胸部では聴取しない。胸部エックス線写真(別冊No. 18)を別に示す。 現時点の対応として適切なのはどれか。 a 抗菌薬の投与 b 胸腔ドレナージ c 胸腔鏡下ブラ切除術 d 副腎皮質ステロイドの投与 e 人工呼吸器装着下の陽圧換気 別冊 No. 18 72 78 歳の女性。左耳の痛みと左顔面の動かしにくさとを主訴に来院した。今朝から左難聴、耳鳴および回転性めまいを自覚している。顔面の写真(別冊No. 19A)と口腔内の写真(別冊No. 19B)とを別に示す。 副腎皮質ステロイドと併用する治療薬として適切なのはどれか。 a ジドブジン b ミコナゾール c アシクロビル d ガンシクロビル e バンコマイシン塩酸塩 別冊 No. 19 A、B 73 62 歳の男性。脱毛を主訴に来院した。6か月前から頭頂部に痒みを自覚するようになったため、市販の副腎皮質ステロイド外用薬を塗布していた。2か月前から同部位に膿疱を生じ、脱毛も認めるようになったため受診した。膿疱の細菌培養は陰性である。頭部の写真(別冊No. 20)を別に示す。 診断として最も考えられるのはどれか。 a 丹毒 b 尋常性乾癬 c Celsus禿瘡 d 尋常性天疱瘡 e 伝染性膿痂疹 別冊 No. 20 74 72 歳の男性。血痰を主訴に来院した。2か月前から時々血痰が出ることに気付いていた。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴は20 本/日を52 年間。身長173 cm、体重70 kg。体温36.8 ℃。脈拍60/分、整。血圧128/64 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部エックス線写真(別冊No. 21A)、胸部造影CT(別冊No. 21B)および喀痰細胞診Papanicolaou染色標本(別冊No. 21C)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。 a 肺アスペルギルス症 b サルコイドーシス c 胸膜中皮腫 d 肺小細胞癌 e 胸腺腫 別冊 No. 21 A、B、C 75 45 歳の男性。大工。天井作業中に使用していたノミが落下して左眼を受傷したため搬入された。左前眼部の写真(別冊No. 22)を別に示す。 対応として適切なのはどれか。 a 絶対安静での経過観察 b 眼圧下降薬の点眼 c 副腎皮質ステロイドの点眼 d 強角膜縫合術 e 眼球摘出術 別冊 No. 22 76 生後0日の新生児。在胎32週3日、2,060 gで出生した。Apgarスコアは7点(1分)、8点(5分)であった。出生後4時間で無呼吸が出現した。心拍数136/分。呼吸数20/分。SpO2 97 %(room air)。体動は弱い。看護師によると、間欠的に手足を突っ張るような発作があるという。 まず行うべき検査はどれか。 a 脳波検査 b 頭部MRI c 頭部超音波検査 d 頭部単純エックス線撮影 e 胸部単純エックス線撮影 77 51 歳の女性。3日前に認められた少量の不正性器出血を主訴に来院した。約1年前から月経が不規則となり、のぼせと発汗とが頻繁になったという。体温36.6℃。脈拍92/分、整。血圧142/90 mmHg。内診所見上、子宮は正常大で可動性は良好である。卵巣を触知しない。子宮頸部と内膜の細胞診で異常を認めない。 状態を評価するために有用な血中ホルモンはどれか。2つ選べ。 a プロラクチン b プロゲステロン c テストステロン d 卵胞刺激ホルモン e エストラジオール 78 48 歳の男性。不眠を主訴に来院した。6か月前に自ら望んで転職し、当初は順調であったが、2か月前からは気分の落ち込みと作業能力の低下とを自覚していた。最近の1か月は転職したことを後悔して食事も摂れなくなり、不眠が次第に悪化してきたという。本日会社を早退し、自宅で遺書を用意していたところを妻に発見され受診した。 現時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。 a できるだけ早く休息をとらせる。 b 現在の職場を辞めるように勧める。 c 自殺を計画したことをとがめる。 d 自殺について触れないようにする。 e 治療が必要な病気であることを説明する。 79 75 歳の女性。2時間持続する激しい前胸部痛を主訴に来院した。意識は清明。脈拍88/分、整。血圧104/88 mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めなかった。心電図のV1〜V5誘導でST上昇を認めたため、緊急入院し、治療を行った。入院後3日、突然の呼吸困難を自覚した。脈拍104/分、整。血圧90/70 mmHg。呼吸数24/分。心音の聴取で、入院時に認めなかった全収縮期雑音を認める。 この時点の病態として考えられるのはどれか。2つ選べ。 a 心室瘤 b 乳頭筋断裂 c 収縮性心膜炎 d 心室中隔穿孔 e 心タンポナーデ 80 高尿酸血症患者の検査結果を示す。 尿所見:pH 5.5、クレアチニン80 mg/dl、尿酸34 mg/dl。 血液生化学所見:クレアチニン1.0 mg/dl、尿酸8.0 mg/dl。 尿酸排泄率を求めよ。 ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。