第105回F問題26 27

問題

次の文を読み、26、27の問いに答えよ。

4か月の乳児。体重増加不良と発達遅延の疑いとを主訴に来院した。

現病歴:生後数時間から心雑音が聴取され、7mmの欠損孔を有する心室中隔欠損症と診断された。生後2週から利尿薬を内服している。この1か月の体重の増加は約300gであった。

発育・発達歴:在胎38週2日、3,240gで出生。追視は可能、頸定は十分でない。

既往歴・家族歴:特記すべきことはない。

現症:体動は活発。身長64.2cm、体重4.8kg。体温37.1℃。呼吸数60/分。心拍数132/分、整。右肋骨弓下に肝を2.5cm触知する。 検査所見:胸部エックス線写真を示す。

第105回F問題別冊No.4

26 この児に認められる所見はどれか。

27 この児の胸部聴診所見で認められるのはどれか。


解説と解答

内科な私には、この問題はお手上げ。しかし、ちょっと調べれば、実のところそう難しい問題ではなかった。食わず嫌いはいけない。要は、ちょっと重めのVSDでは何が認められるか?という、知識を問う問題。きちんと勉強している人には造作ない、、、はず。

主訴は体重増加不良と発達障害疑い。呼吸困難とか喘鳴ではない。内科な私には、呼吸数60/分やら心拍数132/分やらが気になるが、体動が活発なので、治療自体はそれなりに上手くいっている(現在ひどい心不全があるわけではない)という評価になるのかな?

26。とすれば、左→右シャントのVSDでチアノーゼはなし。治療はうまくいっているのならば浮腫もなし。で、a d eの三択。この先はVSDの(そして小児科の)知識がないとよくわからん。正解は a だそうです。肺血流量の増えるVSDでは肺の抵抗が高くなるので陥没呼吸を認めるのだそうだ。

27。これは、「え?VSDって収縮期雑音じゃないの?」というにわかには厳しい。にわかでも、a はMS、c はPDAくらいはわかるのでこれらは除外。しかし、この先は正しい知識がないとダメ。VSDでは一般にU音は亢進し、シャントが増えれば肺血流ひいては左房への血流が増すので相対的なMSをきたし拡張期ランブルが聴かれるようになる。したがって、正解は e。

私はすっかり忘れていたが、この拡張期ランブルには「Carey-Coombs雑音」という名前がついていた。そういえば、Austin-Flint雑音(ARの時の拡張期ランブル)とかGraham-Steel雑音(肺高血圧の時の相対的PRによる拡張期ランブル)とかあったなぁ、、と懐かしくなった。国試では人の名前がついている奴は総じて狙われるんだった、、、う〜ん懐かしい。

ただし、人名モノは中途半端に覚えていると別のにわかが台頭するので注意。「え?VSDは基本収縮期だけど、Eisenmengerになると拡張期にGraham-Steelじゃなかったっけ?」 知識は力なり、しかし中途半端な知識は人を不幸にするのです。