ダイエットの話パート2

 前回(2006年9月号)は私自身の体験談ということで、実は結構な反響でした。しかし、私と同じようにやって体重が減ったという声は残念ながらあまり聞きません。これはまあ、ある程度予想はしていたものの、医師としてはいささか責任を感じないでもありません。そこで、何回かに分けてダイエット法について書きたいと思います。まずは簡単なQ&Aです。

  1. 運動でやせられませんか?

     昨今は「何とかキャンプ」のような、消費カロリー増やし型のダイエットが流行ですね(もっとも、もうピークは過ぎたかな?)。しかし、平素運動習慣のない人がすぐに始められる程度の運動では、消費カロリーは高が知れています。ですから、ダイエット効果については、私は否定的です。ただし、運動それ自体は良い習慣ですから、適度な運動は心がけるべきでしょう。

  2. やせ薬ってないですか?

     ありません。後述のように体重を減らせる薬はいくらでもありますが、その結果、健康をも損ねてしまいます。これでは何のためのダイエットかわかりません。

     ちなみに、献血や排泄でも一時的に体重は減ります。そこで、やせ薬と称して下剤や利尿剤を勧める詐欺まがいもいるので、ご注意あれ。より悪質なのになると、基礎代謝を上げるために、カテコラアミン製剤や甲状腺ホルモン製剤を勧めたりするようです。こうなると命にかかわります(実際に個人輸入のやせ薬で死亡事故も出ています)。極めつけは覚醒剤です。覚醒剤売り込みの常套句は、ダイエットに効果ありです。繰り返しますが、やせ薬なんぞありません。素性のわからない薬には、絶対手を出さないでください。

  3. ××ダイエットについてどう思いますか?

     機関紙のコラムということで、特定のダイエット方法についてのコメントは控えています。しかし、診察室では相談に乗れると思います。ただ、私自身すべてのダイエット法について知り得ているわけではありません。あらかじめお断りしておきます。

     基本的に、特定の食品でやせる系のダイエットは、まずインチキと見るべきでしょう。「あるあるの納豆」が好例ですね。また、上述の理由から、やせ薬系もペケです。

  4. お腹を引っ込めるにはどうしたらいいですか、足を細くするにはどうしたらいいですか、、などなど

     私は医師ですから、美容のためと称するダイエットには興味がないし、それについてアドバイスするのは無意味だと思っています。そもそも、過度の痩身が美しいとも思いません。ですから、「何も申し上げることはございません」

  5. ずばりオススメのダイエット方法は?

     食習慣の見直しです。しかし、具体的にどうすべきかは、そう簡単ではありません。食習慣は個々人で恐ろしく違うので、単に何を食え/食うなといったアドバイスは無意味です。食品についての基礎知識を習得し、自身の食習慣を把握した上で、ダイエット戦略を練る必要があります。その際、ダイエットのために一時的に特別な何かをするというのではなく、「適正体重が維持できるような生活習慣を身につける」というスタンスで取り組んでください。


「くらしと医療」2007年11月号


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