食品交換表のつかいかた その1

 時々待合室で耳にする会話です。
Aさん「昨日、おいしい柿をもらってねえ。1個ぐらいなら大丈夫だよねえ。」
Bさん「Aさん、柿を食べたら、その分ご飯を減らさなけりゃダメだよ。茶碗半分にすればいいよ。」
 さて、Aさんはどうすべきでしょうか? 実は、ここが食品交換の核心で、かつ、非常に誤解の多いところなのです。

 食品交換表は、正しくは「糖尿病食事療法のための食品交換表」という、日本糖尿病学会編集の書籍です。糖尿病治療の必須アイテムですね。
 食品交換表では、食品を大きく8種類に分類します。表1(穀物)、表2(くだもの)、表3(魚・肉・大豆)、表4(牛乳など)、表5(油脂)、表6(野菜)、調味料、嗜好食品です。そして、食品80キロカロリーを一単位とし、各食品の一単位が表別に記載されています。同じ表の中の食品同士は互いに交換可能です。これにより、ご飯2単位をパン2単位に、マグロ赤身1単位を豚もも肉1単位に、、といった操作が可能になり、献立のバリエーションを増やすことができるのです。

 前述のAさんの場合、柿1個もご飯茶碗半分も1単位です。ここまではいいのですが、柿は表2、ご飯は表1の食品なので、両者は交換できません。通常の糖尿病の食事療法ではくだものを1日1単位とれますから、正解は「柿を食べるのならば1個にし、その日は他には果物を取らないようにする」です。

 糖尿病治療の基本は食事です。そして、糖尿病食はバランス栄養食です。食品交換表は頑張ってみる価値がありますよ。



この文章は「くらしと医療」ホッとタイムの未発表原稿です。いまのところ掲載の予定はありません。

未公開原稿のIndexにもどる
雑文あれこれのIndexにもどる
Dr.ハッシーのホームページ[新館]にもどる
Dr.ハッシーのホームページ[本館]にもどる