食品交換表のつかいかた その2

 前回に続いて、もう一つやってみましょう。これも、時々待合室で耳にする会話です。
Cさん「別に糖尿だって飲んでもいいんだよ。先生は、ビール1本、日本酒1合、ウイスキーシングル1杯なら、いいって言ってたよ。」
Dさん「おれはもうちょっと飲んでるけど、その分ご飯減らしているからな。Cさんもそうすりゃもっと飲めるよ。」
 さて、Dさんの言い分は通るでしょうか?答えは「否」です。

 前回も書いたように、食品交換表では、食品を大きく8種類に分類します。表1(穀物)、表2(くだもの)、表3(魚・肉・大豆)、表4(牛乳など)、表5(油脂)、表6(野菜)、調味料、嗜好食品ですね。そして、食品80キロカロリーが1単位で、同じ表の中の食品同士は互いに交換可能なのでした。

 問題は、アルコール飲料が表いくつに入るかです。残念ながら、アルコール飲料は嗜好食品になります。嗜好食品は他の食品と交換できません。食事療法の観点からは好ましくない食品で、とらずに済めばそれに越したことはない、食品です。

 ですから、よほどコントロールがいい人を除いて、食事療法中の人は禁酒が原則です。前述のCさんがむしろ特別で、Dさんのやり方はもってのほかですよ。

 応用として、「今日はケーキを食べたからその分ご飯を減らさなきゃ」も当然ダメです。ケーキは立派な嗜好食品です。ショートケーキはわずか25kgで1単位ですから、くれぐれも取り過ぎないよう願います。

 糖尿病食はバランス栄養食です。糖尿病の有無によらず、食品交換表は頑張ってみる価値がありますよ。



この文章は「くらしと医療」ホッとタイムの未発表原稿です。いまのところ掲載の予定はありません。

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