ついにパソコン事務機文具業界にも黒船が来た。
まだ接岸しているわけではないが、姿が見えてきた。
全米1位のオフイスデポと広島のダイイチが合弁で会社を作り
来春から出店しはじめる。まず2店、2-3年で50店。

1986年に米国と日本で誕生した新業態オフイススーパーストアは米では
急激な成長を果たした。最初に創業した西海岸のオフイスクラブを
合併した東海岸のオフイスデポがコースト トゥ コーストの全米ネットを
始めに完成しトップに立ち500店を超えている。
2番手がステープルズで300店の展開している。
3番がオフイスマックスで200店を数える。

オフイスデポは仏の大手ハイパーストア”カフー”が主要株主で
カナダ、メキシコ、ドイツ、タイにも進出し既に飽和感のある米の
枠を超えて展開している。日本進出に当たってはパソコン市場を考え
ダイイチとの提携を選んだ。
オフイスマックスはKマートが大株主であったがスポーツオーソリティ
と共に売りに出している。スポーツオーソリティはジャスコが日本で
展開する事になっているが、最終的にはどこと組むであろうか?
オフイスデポにふられたジャスコや伊藤忠とやるのか?あるいは米の
ディベロッパーと共に出店してくるのだろうか?いずれにせよ近々
オフイスマックスも進出するのは確実である。
ステープルズはトイザラスと同じ資本系統であるから藤田田と組んで
来るかもしれない。ステープルズは英国への出店が成功を収めているので
日本での成功も疑いなしとしているであろう。

米国で大躍進を遂げたオフイススーパーストアはたった10年で2、000店
体制を築いてしまった。人口10万人に1店が適正とされているから
もう成長のためには海外市場しか残っていない。
本家の仏国に展開されないのは不思議であるが、全世界を覆って行く事は
十分可能性がある。

日本では高崎のアサヒ商会が1986年に先鞭をつけたが多店化には
至っていない。1993年三井物産のトップアンドホーメックスも真似をして
追随したが既に閉店した。類似したコンセプトの店は今までにに全国で20店
ほど出来ているがいずれも本格的に多店化するには至っていない。
日米にオフイス文化の差があるから好調には売れないとの説もあるが
日本勢にはまだ打開策は見つかっていない。

米国での成功の要因は店のコンセプトにある。
郊外に3000u程の駐車場付きの店舗を単独あるいはパワーセンター内に
つくり、長時間営業をし、オフイスで必要とする全ての商品・サービスを揃え、
安い価格で、現金持ち帰りにした事が支持を得た。
近隣の中小企業と、弁護士・医師など専門サービス業、在宅勤務者という
SOHO(Small Office Home Office)を狙い撃ち
した品揃えが武器となった。この層は専門納品業者からは小さすぎて相手に
されず、とかいって食品スーパー・ドラッグストアでは手に余る。
在来型文具小売店でもものたらないという層をうまく集客して成功した。
事務用の文具、事務機、パソコン,家具、コピーサービスを低価格で
提供し在来小売店をまたたくまに駆逐した。

日本でのオフイスデポの展開の鍵はパソコンにあった。他の商品は
米国あるいは欧州仕様でそのまま日本で使えるが、パソコンだけは日本語の
使える日本仕様の物でなければならない。米国直輸入では使い物に
ならない。そこでパソコンとインターネットに強いダイイチが提携先と
して選ばれた。これで日本のオフイスを攻略する体制が整うわけだ。

事務機文具業界に大きな衝撃を与えるだけでなく、事務所向け家電製品
食品、雑貨、清掃用品、ギフトにも大きな影響を与える。

更に次の進出業態も待ち構えている。安閑とする間も全く無くなる。
日本でもいよいよ本格的な競争が始まる。適者生存。不適社必滅。