エサのお話し

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酪農とは「牛を飼って牛乳を生産すること」です。
牛を健康な状態でたくさんの牛乳を搾るには、栄養のある質の良いエサを与えなければなりません。そのために粗飼料や濃厚飼料、ビタミン、etc...などを上手く組み合わせ飼料計算というのをやります。

私が飼っている牛は「ホルスタイン フリージア種」という品種の雌です。(ドイツのフリージア地方が原産地らしい)
生まれてから2年位で親牛になります(子供を産んで乳を出すようになります)
体重はだいたい500〜700kg位です。

健康な良い牛にするには
牛は反芻(はんすう)をする草食動物であります。動物は本来、固い繊維を消化することが出来ません。牛など反芻動物の胃の中には各種のバクテリアが棲んでいて繊維を分解してもらっています。
(繊維の長い飼料が胃の中で層を形成した状態をルーメンマットと言うんだそうです)
反芻は草などの繊維が第一胃の胃壁を刺激することによっておこるそうですが、これは繊維が持っている物理性で、長いとか、固いとか、粗い、によるものです。反芻によって口中にもどったエサ(食塊)は、アルカリ性の大量の唾液とともに再び胃にもどって、第一胃のpHを中性に保ち、バクテリアの活動を活発にさせます。そして、飼料の分解発酵が盛んに行われるようになります。また、ルーメンマットは同時に細かい飼料片をマットにからませて長時間胃中に滞留させ、バクテリアの分解を受けやすくする効果もあります。

>牛などの反芻動物は4つある胃のうち第一胃にはバクテリアが住み着いているらしい。そしてその中のpHは中性がいいらしい。

上手なルーメンマットの作り方は、「NDF要求量の75%は粗飼料で、粗飼料片の長さは1.25cm以上としてこのうち20%は2.5cm以上」がいいんだそうです。

飼料成分

乾物(DM)
乳牛の飼料には、高水分の生草やサイレージから低水分の乾草、植物性油粕、穀類などが使われます。飼料は水分と乾物に必ず分離できます。しかし、かんじんの栄養分は全て乾物の中に含まれています。したがって、どれだけ乾物料を食べたかによって、乳牛の健康や産乳活動の良し悪しを左右します。

タンパク質(CP)
タンパク質には第一胃で分解されるものと、分解されないものの二種類あります。
分解されるものを「分解性タンパク質(DIP)」といい、分解されないものを「非分解性タンパク質(UIP)」いわゆるバイパスタンパクのことを指します。
DIPはルーメンバクテリアによって発酵分解し、アンモニアになります。それを栄養源としてバクテリアはさらに増殖し、プロトゾア(原虫類)に食われて菌体タンパクとなって、第四胃で消化され小腸でアミノ酸として吸収されます。
UIPはバクテリアに分解されずに第四胃まで行き菌体タンパクと同様に消化されて、小腸で吸収されます。
CP要求量の60%はDIP(うちSIP30%)、40%はUIPが望ましいらしいです。高泌乳牛には、バイパスタンパクの補給が必要とのこと。
DIP、SIPが推奨値以上だとアンモニア中毒を起こしたり、タンパクが尿素となって体外に出てしまい損失となります。また、粗飼料を購入だけに頼っていると、DIP、SIPが不足すると思われます。そうなると、アシドーシス、乳脂率の低下などを起こします。

炭水化物(NSC---でんぷん、糖類など、NDF---リグニン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンなど)
炭水化物は第一胃で酢酸、プロピオン酸、酪酸、(揮発性脂肪酸=VFA)となりバクテリアの活動を助けながら、胃壁から血中へ吸収され牛に利用されるエネルギーとなります。NSCはエネルギーが高く、ルーメン内で急激に分解します。NDFは逆に低エネルギーでゆっくり分解します。NDF中のリグニンは消化されません、と今までは思われていましたが最近の研究では多少違った結果が出ているようです。
こちらも過剰給与は禁物です。NSCが過剰だと、pHが酸性に傾きバクテリアの活動が弱まり繊維の分解が不十分になり、アシドーシス、乳脂率の低下を招きます。またNDFが過剰だと、分解が遅くなりバクテリアの活動や菌体タンパク質の合成に必要なエネルギーが不足し、体調や乳量、乳質に悪影響を及ぼします。
好適な給与標準は、1(NSC):1(NDF)とし、それぞれ体重の1.1%が最適です。また、乳脂率を引き上げるには、NDFを1.3%まで、乳タンパク率が不十分の場合はNSCを1.3%まで増加させると良いようです。
泌乳初期〜中期のNSCの推奨値は35〜40%→乾物22〜23kg中に7.7〜8.8kg→650〜700kgの牛1.1〜1.3%に該当します。NDFの推奨値も25%以上とされています。

ADF=酸性デタージェント繊維(リグニン,セルロース)
飼料を酸性処理をして繊維成分を分離するとリグニン,セルロースが残ります。
不消化のリグニンが正確に含まれるので消化率の測定に役立ちます。

NDF=中性デタージェント繊維(リグニン,セルロース,ヘミセルロース)
飼料を中性洗剤で処理すると、リグニン,セルロース,ヘミセルロースの全繊維が残ります(前に述べたように第一胃の中は中性です)いわゆる総繊維ということです。飼料のガサを推定するのに都合の良い指標です。

RVI=粗飼料乾物の咀しゃく時間(採食+反芻)(分/kgDM)
米国ジョージア大学の研究グループが提案した指標です(学生さんが実際に測ったらしいです)。RVIが高くなる条件は、長大な物、NDF含量が高い物、採食量が少ない場合、です。

そんなわけで、下田牧場の飼料分析結果はこちらにあります。
エサの写真はこちら!

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