伝統食や世界の風土料理と栄養学との矛盾
現在でもエスキモーの人達は,ほとんど野菜を食べずに生活しています。それでも充分健康だからです。そしてその食事はバランスが取れているのです。肉を食べたら野菜も食べる事がバランスではありません。自分達が生れ育ち生活している風土から得られた物が,最も好ましい食事なのです。
人間の食べ物
動物には肉食獣と草食獣が居ます。では人間の分類はどうかと言うと,穀類を中心とした雑食性です。猫や犬,鼠そしてカラスなど人間の近くに居る生き物は大部分が雑食性です。猫や犬,カラスなどは肉食を中心とした雑食性ですが,鼠は人間に食べ物が近いため医学の向上として,実験動物に使われる事が多い様です。
三大栄養素と言う言葉があります。
三大栄養素のほかにビタミン,ミネラル,繊維質を取るとか,バランスと癌予防のために一日30品目取る,肥満や成人病(生活習慣病)予防の為に油や糖分を控えてカロリーを制限する、これらの事をきちんと計側しながら毎日続けて行く事は大変困難な事です。
ところが世界に目を向けてみると,
乳製品や肉だけで昔から健康に生活している地域があります。“一物全体食”という考え方で,その地域で取れた物をなるべく丸ごと食べるという物です。
ここに風土料理と栄養学との矛盾があります。
肉を食べたから野菜を食べるというバランスではなく,アザラシを丸ごと一頭食べるというバランスなのです。日本でしたら白米より玄米,大根の葉や葱の青い部分も食べていました。又“母乳が出ない時は餅や鯉を食べろ”と言われ栄養学的ではありませんが経験的に正しいとされています。その地域のその風土によって生きて来たその民族専用の風習が有ります。
科学という枠には収まりきらない永い経験による英知。
合成ビタミンを薬で取ったり,無理なカロリー制限をするのではなく,本来のその民族のあり方にまで通ずる郷土の伝統食と昔ながらの知恵に、目を向けていきたいと思います。