古典研究 「難経の脈診(一難〜二十一難)

2004/04/18 相原黄蟹

難経における脈論の位置付け・・・
難経では、脈論から始まる。
黄帝内経では、自然観から始まる。
故に、脈論を展開しながら背景にある自然観をも共論していると考察。

一難の概括・・・

以後展開される医学理論の基本コンセプトを提示。
 1.脈動(寸口) = 天地人の変化
生理・病理に関わらず生命現象の全ては、脈動、つまり脈状の変化として表現される。
 2..生命活動 = 天地自然 → 吸 → 人 → 呼 → 天地自然 → 吸 → 人 → 呼 → 天地自然 と言う循環
生命活動は、天地自然と人の相互間で行われる呼吸、つまり気の交換によって維持される。
 3.天地の循環周期 = 人の循環周期
天地自然の現象変化の循環周期と人の生命活動変化の循環周期は、同調する。

用語解説・・・

12経(脈) = 生命活動の全て(12分野に分けられている)
五臓 = 天気との交流(五行←→七神)
六腑 = 地気との交流(三陰三陽 = 五味)
死生 = 時間論(形質の変化で表現 ・ 左右)
吉凶 = 空間論(現象変化の方向性 ・ 上下)
脈之大会 = 生命活動の全て
手太陰 = 気を統括(諸現象の源・システム管理)
呼吸 = 気(生命活動に必要な天地人の気・気形質)の出入(陰陽の生命反応)
脈行三寸 = 全ての生命活動の細小一単位。一気(仮称)が行われたこと
呼吸定息脈行六寸 = 生命活動の陰陽2気が行われたこと(1息)基本単位
一日一夜 = 1日は、時間の陰陽の基本単位
凡一万三千五百息 = 1日の生命活動の完遂数
脈行五十度周於身 = 1日の生命活動は、50単位で構成する(13,500×6/1,620=50)
漏水下百刻 = 1日の天の時間定数(1刻は、14分24秒)1度は、2刻=陰陽()大過・不朽)
栄衛 = 生命活動の基本二大要素(衛=各活動の実行・栄=後方支援)
行陽二十五度 =日中の活動に代表される陽性の一日の生命活動に25単位必要
行陰亦二十五度 =夜間の活動に代表される陰性の一日の生命活動に25単位必要
終始 = 天の百刻と人の五十度の循環周期は同調する(基本単位)

質疑応答・・・

Q:50や25と言う数字の根拠は如何に?
A:色々考えられるが、経験則か数自体に意味を持たせる慣習によるものか。

Q:関連してここで言う陰陽とは、陰経陽経という解釈があるが、やはりそれは誤りとするか??
A:そのように限定すると矛盾が生じるので採用しない。