難経の脈診 No.2(二難〜五難)

2004/05/16 難経の脈診 No.2  相原 黄蟹

二難

尺寸 = 天地の空間陰陽・水火(上下)と生体の対応
尺分割寸・寸分割尺 = 陰主陽従・陽主陰従相対性二面性            
魚際・尺(尺沢) = 栄火穴・合水穴 = 空間陰陽の広がり(エリア)と対応
一寸九分 = 九星一白水星・九紫火星 諸現象の原初因子   
一難において天地自然との不可分な呼吸循環関係を論じた直後、 まず、天地の空間(上下)陰陽と生体の関係から論じている。
陰陽理論の相対性・二面性の要点を踏まえ、 生命活動も陰始原現象・陽始原現象があることも述べている。
標準モデルは、一寸九分内に水火の現象が表現される。

三難

大過・不及 = 時間(左右)陰陽の盛衰変化と生命活動変化が対応

時間の陰陽対照表
時空区分
部位 関前 関後
名称
長さ 9分 1尺
属性
脈位
大過
↑ 先進・旺盛 膨張・収縮
↓ 先進・衰微 収縮・縮小
不及
↓ 遅滞 未成熟・微弱
↑ 遅滞・旺盛 膨張・拡大
溢 外関内格 覆 内関外格

二難で規定された一寸九分内に時間の経過と共に陰陽現象の盛衰(大過・不及)が表現される。
自然界との連続性が絶たれ陰陽の交流が途絶隔離される覆溢(乗)と生命の維持は不可能となる。


溢為外関内格此陰乗=
陰の引力の喪失により陽(浮)は制御不能で放散
覆為内関外格此陽乗= 
陽の斥力の喪失により陰(沈)は制御不能で凝集

四難

一難で天地の大循環と人の小循環が呼吸を交いして相関する事を論じ、
二難で空間の陰陽が、尺寸の生体と対応することを論じ、
三難でその尺寸の場に時間の陰陽が大過不及と言う象徴変化に対応することを論じ、
この四難では、それら時空の陰陽の作用に対して生体が、
何処で、どのように感受し・反応するか?その法則性を論じている。

時空の陰陽と呼吸と蔵脈
左 陽 右 陰
浮・陽・呼出 心 大散   肺 短渋
中・呼吸の間    
沈・陰・吸入
牢而長
 
按之濡挙指来実
「一陰一陽一陰二陽一陰三陽有一陽一陰一陽二陰一陽三陰」は、
時空の陰陽象徴
変化を浮沈・長短・滑渋の陰陽の三要素(気形質)別に
六段階に分割した理論。
これら時空の推移に従い遺漏無く生体活動が行われれば天寿を全うし、
逆らえば 病を得て寿命を縮めることになる。
六脈の構成要素
空間・形体・位置 時間・気・能力 現象・性質
陰陽象徴変化と構成要素の推移
内容 陰の形体が陽の変動 無形の陽が陰の変動
陰陽 一陰一陽 一陰二陽 一陰三陽 一陽一陰 一陽二陰 一陽三陰
脈状 沈而滑 沈滑而長
浮滑而
長時一沈
浮而渋 長而沈渋
沈渋而
短時一浮
時期 早春 盛春 盛夏 初秋 晩秋 厳冬
自然 地中にて始動
発芽発根
日光栄養を吸収
生長拡大
生命力旺盛
開花準備
開花受粉
落花結実
実熟豊満
以外抑制
硬殻で守護
地中冬眠
生理 神令を受けて
先天の精が始動
種々の経験を通じ
後天の精充実
自身の生理を完成
時代継承準備完了
結婚妊娠出産
子育て
子供の独立
仕事のまとめ
孫のお守り
余生を安楽に

五難

人体組織は、五層構造であり、
天地と人(臓)の気の交流(呼吸)の状態を表現する
ディスプレーとなる。
人体組織の層構造
外 表 層  →  内 深 層
3 6 9 12 按之至骨挙指来疾
組織 皮毛 血脈 肌肉
上 部  ↓  下 部