経絡治療要綱(福島弘道著)
<解釈>
法則1:虚してるときは、その母を補う。
法則2:実しているときは、その子を瀉す。
法則3:補と瀉とではまず、補を先にして、正気を補い、然る後に、瀉すべきである。
法則4:その経のみが病んでいて、他経に関係していないときは、母子関係や相剋
関係を考えず、その経のみの補瀉を行えばよい。これを正経自病という。

<取穴例>
その1(正経自病):肺虚証の感冒による大腸経の邪実によって、咳嗽・発熱・咽喉痛・鼻水がでる。
補・・・太淵または経渠
瀉・・・合谷または遍歴または温溜

その2(肺虚肝実証):前例の症状が進み、脈象が肺虚―肝実―脾虚を現す。
補・・・太淵・太白または商丘

肝実への兪瀉・・・陽補・後谿
または肝実への補・・・太衝または中封と間使

大腸と胃の瀉・・大腸実には曲池、胃実には
大腸・胃経の?穴か絡穴


 難経解説(南京中医学編)
 <解釈>は経絡治療要綱と同じ
 <取穴例>
1, 子母補瀉 
1. 本経の五行穴による補瀉
(肺気虚の場合)・・・太淵
(肺気実の場合)・・・尺沢
2. 十二経の五?穴による補瀉
(肺気虚の場合)・・・脾兪または太白
(肺気実の場合)・・・腎兪または陰谷

2,不実不虚および本経治療 
不実不虚とは、本経の自病であり、他経から伝わってきたものではない。
その治療は、本経の虚実の状況に基随手補瀉法を使用する。

※ 母を補い、子を写す治療法の応用に際しては疾病の具体的状況に
応じて決定する。69難は、相生法則と母子の虚実を結合させたひとつの治療方法を把握しているにすぎない。

補は自経の母穴と母経の自穴 

瀉は自経の子穴と子経の自穴の

法則から選穴すると
肺経の補 肺経の瀉
脾経の補 脾経の瀉
腎経の補 腎経の瀉
肝経の補 肝経の瀉
心経、心包経の補 心経、心包経の瀉

陰経の五行穴
陰経名 五行 井木 兪土 経金 合水
手太陰肺経 少商 魚際 太淵 経渠 尺沢
手少陰心経 少衝 少府 神門 霊道 少海
手厥陰心包経 相火 中衝 労宮 太陵 間使 曲沢
足太陰脾経 隠白 太都 太白 商丘 陰陵泉
足少陰腎経 湧泉 然谷 太谿 復溜 陰谷
足厥陰肝経 太敦 行間 太衝 中封 曲泉

 意釈八十一難経
小曽戸 丈夫, 浜田 善利
単行本 (1974/04) 築地書館

虚はその母を補します。虚邪による場合は母に当たるものの正気を補せということです。
実はその子を瀉します。実邪による場合は子に当たるものの邪気を瀉せということです。
 もし補と瀉の両方を行わなければならないような場合には先に補を行って、後で瀉を行わなければなりません。
 実ならず虚ならずんば経をもってこれをとれというのは、この場合は精神的あるいは肉体的な過労のために臓がやられた時または正邪におかされた時ですから、その臓そのものの経脈または輸穴を取穴せよということです。これで経をもってこれをとれといってあるのです。

  杉山三部書には六十九難を取り上げた所が発見できませんでした。
補瀉や五行穴・については記されていますが、母子云々は見あたらないようです。