09-05/17 古典の科学性と臨床応用 加藤秀郎
〜経絡各論編〜
経絡呼称の分解
例えば、《手の太陰肺経》は「手」の「太陰」「肺」「経」と言う言葉から構成されています。

まず「手」とは、腕にあるという意味です。もっとも古い経絡呼称の一つにBC186年(前漢初期)に埋葬された馬王堆漢墓から出土した医書の中の「足臂十一脈灸経」には
「臂泰陽温」「臂少陽温」「臂陽明温」「臂泰陰温」「臂少陰温」
「足少陽温」「足泰陰温」「足陽明温」「足泰陽温」「足少陰温」「足炳陰温」
とあり「臂(ひ)」とは「腕」という意味。「〜温」とあるが、これは灸の施術箇所を意味したらしい。
臂=腕=手は、5つ。足は、6つ。これは干支の五運六気でいう、天=5、地=6に対応しており腕は天を足は地を意味しています。
では腕が天、足が地とはどういうことなのか?
馬王堆漢墓の出土医書のもう一つに「陰陽十一脈灸経」があって、その中の経絡呼称は
「肩脈」「耳脈」「歯脈」「臂鉅陰脈」「臂少陰脈」
「鉅陽脈」「少陽脈」「陽明脈」「泰陰脈」「少陰脈」「 厥陰脈」
とあります。「〜脈」とあって、より複雑な診察、理論、施術を通しての使用が伺えます。
この呼称の特徴は「足」ということわりがない事と、手の陽経に相当する名称は「肩」「耳」「歯」と限定されています。
陽経の呼称の限定は、そのままそれぞれの施術箇所を示しているのか?
なぜ「肩」「耳」「歯」と限定したのか?仮に当時の要求として肩こりや歯痛への対応が必須だったとして、もうひとつが「耳」というのは漠然としてるのではないか。
経絡呼称の変成

霊枢経脈篇の経脈

陰陽十一脈灸経

足臂十一脈灸経

肺手太陰之脈

臂鉅陰脈

臂泰陰温

大腸手陽明之脈

歯脈

臂陽明温

胃足陽明之脈

陽明脈

足陽明温

脾足太陰之脈

泰陰脈

足泰陰温

心手少陰之脈

臂少陰脈

臂少陰温

小腸手太陽之脈

肩脈

臂泰陽温

膀胱足太陽之脈

鉅陽脈

足泰陽温

腎足少陰之脈

少陰脈

足少陰温
心主手厥陰心包絡之脈

三焦手少陽之脈

耳脈

臂少陽温

胆足少陽之脈

少陽脈

足少陽温

肝足厥陰之脈

厥陰脈

足炳陰温
この漠然とした「耳脈」が霊枢に至ってやっぱり漠然とした存在の「手の少陽三焦経」へと変成します。
もしかしたら「肩」「耳」「歯」にはシャーマン時代からの医療的神秘性があり、この名残の種が十一脈灸経と五臓六腑を連結させる一大展開の基に成っているのかもしれません。
このシャーマン時代(=呪術医療)の名残を基に考えた場合、古代アニマズムでは大自然の大いなるものと交流する時に、両腕を天に挙げてアンテナのようにしていたそうです。これが腕が天との感応を示し腕=天との祖形となり、大地を踏みしめる足は、踏みしめる力=体力=大地の恵みの恩恵を表す事から足=地の祖形が起きたのではないかと考えています。

「太陰」などの三陰三陽が意味するものを霊枢『経脈編』でみると、

手太陰氣絶, 則皮毛焦, 太陰者, 行氣温於皮毛者也, 故氣不栄則皮毛焦, 皮毛焦則津液去皮節, 津液去皮節者, 則爪枯毛折, 毛折者, 則毛先死, 丙篤丁死, 火勝金也.
手の太陰の気が絶すれば、則ち皮毛が焦(しょう;やつれる)す。太陰は、気が行きて皮毛に於いて温めるなり。 故に気に不栄するは則ち皮毛が焦(しょう;やつれる)す。皮毛が焦(しょう;やつれる)す、則ち津液が皮節に去る。津液が皮節に去るとは、則ち爪は枯れ毛は折れる。毛が折れるとは則ち毛が先に死す。丙(ひのえ)篤(とく:いくところまでいったさま)して丁(ひのと)死すは、火勝金なり。
手少陰氣絶, 則脈不通, 脈不通則血不流, 血不流則髦色不澤, 故其面黒如漆柴者, 血先死, 壬篤癸死, 水勝火也.
手の少陰の気が絶すれば、則ち脈は不通す。脈の不通とは則ち血の不流。血の不流とは則ち髦色の不澤(光沢のない様)。故に其の面は黒く漆柴の如くは、血が先に死す。壬(みずのえ)篤(とく:いくところまでいったさま)して癸(みずのと)死す。水勝火なり。
足太陰氣絶者, 則脈不栄肌肉, 脣(=唇)舌者, 肌肉之本也, 脈不栄則肌肉軟, 肌肉軟則舌萎人中滿, 人中滿則脣(=唇)反, 脣(=唇)反者, 肉先死, 甲篤乙死, 木勝土也.
足太陰の気が絶すれば、則ち脈が肌肉を栄さず。脣(=唇)(しんぜつ;唇と舌)は、肌肉の本なり。脈の不栄は則ち肌肉を軟し、肌肉を軟す則ち舌は萎(な;しおれる)え人中が満ちる。人中が満ちるとは則ち唇が反る。唇が反るとは肉が先に死す。甲(きのえ)篤(とく:いくところまでいったさま)して乙(きのと)死す。木勝土なり。
足少陰氣絶, 則骨枯, 少陰者, 冬脈也, 伏行而濡骨髓者也, 故骨不濡, 則肉不能著也, 骨肉不相親則肉軟卻(=却), 肉軟卻(=却), 故齒長而垢, 髮無澤, 髮無澤者, 骨先死, 戊篤己死, 土勝水也.
足少陰の気が絶すれば、則ち骨が枯れる。少陰者は冬脈なり。伏して行き而(そうして)骨髓は濡(じゅ:潤う)されるなり。故に骨が不濡するは則ち肉と著(ちょ=着;出あってくっつく)するは不能なり。骨肉が相親まなければ則ち肉は軟して卻(きゃく=却;しりぞく)す。 肉が軟して卻(きゃく=却;しりぞく)せば、故に歯が長じて而(すなわち)(こう;あかのたまったもの)し、髮は無澤して髮が無澤するは、骨が先に死す。戊(つちのえ)篤(とく:いくところまでいったさま)して己(つちのと)死す。土勝水なり。
足厥陰氣絶, 則筋絶, 厥陰者, 肝脈也, 肝者, 筋之合也, 筋者, 聚於(=于)陰氣, 而脈絡於(=于)舌本也, 故脈弗栄則筋急, 筋急則引舌與卵, 故脣(=唇)青舌卷卵縮, 則筋先死, 庚篤辛死, 金勝木也.
足厥陰の気が絶すれば、則ち筋が絶す。厥陰は肝脈なり。肝は筋の合なり。筋は陰気に於いて聚(しゅう;ひと所にあつまる)し, 而(そうして)舌の本に於いて脈は絡すなり。故に脈が弗(ふつ;打ち消しをあらわす)栄えねば則ち筋は急す。筋が急する則ち舌と卵(=睾丸)を引す。故に唇は青く舌は巻き卵は縮む。則ち筋が先に死す。庚(かのえ)篤(とく:いくところまでいったさま)して辛(かのと)死す。金勝木なり。
五陰氣絶, 則目系轉, 轉則目運, 目運者, 為志先死, 志先死. 則遠一日半死矣.
五陰の気が絶すれば、則ち目の系(けい;つながり)が轉(てん=転)する。 轉(てん=転)するとは則ち目の運(うん;ぐるぐるまわる)。目の運は志を先に死すを為す。志を先に死すは、則ち遠くても一日半にて死す。
六陽氣絶, 則陰與陽相離, 離則そう理發泄, 絶汗乃出, 故旦占夕死, 夕占旦死.
六陽の気が絶すれば、則ち陰と陽が相て離れる。離れるは則ち(そう)理の発泄(はっせつ;パッと出てしまう事)し、絶すれば汗が出る。故に旦(たん;日の出時期)を占(せん=選;選んで決める。この場合は発症)して夕に死すか、夕を占して旦に死す。
この内容は、難経の二十四難に受け継がれている。
二十四難曰.
手足三陰三陽氣已絶.何以爲候.可知其吉凶不.
手足の三陰三陽の気が已(すで)に絶す。何を以って爲(とく;病の重さ)の候や其の吉凶を知るは可か不か。
然.足少陰氣絶.即骨枯.少陰者.冬脉也.伏行而温於骨髓.故骨髓不温.即肉不著骨.骨肉不相親.即肉濡而却.肉濡而却.故齒長而枯.髮無潤澤者.骨先死.戊日篤.己日死.
然るに足の少陰の気が絶すれば即ち骨が枯れる。少陰は冬の脈なり。伏して行き而(そうして)骨髓を於いて温める。故に骨髓が不温。即ち肉が骨に不著(着かない)す。骨肉が相親せず。即ち肉は濡(じゅ=濡れ)し而(そうして)(きゃく;しりぞく)す。肉は濡(じゅ=濡れ)し而(そうして)(きゃく;しりぞく)す、故に歯は長(伸び)く而(そうして)枯れる。髮の潤澤無きは骨が先に死す。戊(つちのえ)の日に篤(病が重くなり)し、己(つちのと)の日に死す。
足太陰氣絶.則脉不榮其口脣.口脣者.肌肉之本也.脉不榮.則肌肉不滑澤.肌肉不滑澤.則肉滿.肉滿則脣反.脣反則肉先死.甲日篤.乙日死.

足の太陰の気が絶すれば則ち脈は其の口脣を榮さず。口脣は肌肉の本なり。脈の不榮は則ち肌肉の不滑澤(光沢や滑らか)。肌肉の不滑澤、則ち肉が満す(異様な浮腫)。肉の滿する則ち脣が反す。脣の反り則ち肉が先に死す。甲(きのえ)の日に篤(病が重くなり)し、乙(きのと)の日に死す。
足厥陰氣絶.即筋縮引卵與舌.厥陰者.肝脉也.肝者.筋之合也.筋者.聚於陰器.而絡於舌本.故脉不營.則筋縮急.筋縮急.即引卵與舌.故舌卷卵縮.此筋先死.庚日篤.辛日死.
足の厥陰の気が絶すれば即ち筋が縮み卵(睾丸)と舌を引く。厥陰は肝脈なり。肝は筋の合なり。筋は陰器に於いて聚(しゅう=集)す。而(そうして)舌の本に於いて絡す。故に脈は不營、則ち筋は急に縮す。筋が急に縮すと、即ち卵(睾丸)と舌を引く。故に舌は巻かれ卵(睾丸)は縮す。此れ筋が先に死す。庚(かのえ)の日に篤(病が重くなり)し、辛(かのと)の日に死す。
手太陰氣絶.即皮毛焦.太陰者.肺也.行氣温於皮毛者也.氣弗榮.則皮毛焦.皮毛焦.則津液去.津液去.即皮節傷.皮節傷則皮枯毛折.毛折者.則毛先死.丙日篤.丁日死.

手の太陰の気が絶すれば即ち皮毛は焦(焦げる)す。太陰は肺なり。気が行きて皮毛に於いては温むなり。気の榮が弗(ふつ;およばない)すれば、則ち皮毛は焦す。皮毛が焦す、則ち津液が去る。津液が去るは即ち皮節を傷す。皮節を傷す則ち皮は枯れ毛は折れる。毛が折れるとは則ち毛が先に死す。丙(ひのえ)の日に篤(病が重くなり)し、丁(ひのと)の日に死す。
手少陰氣絶.則脉不通.少陰者.心脉也.心者.脉之合也.脉不通.則血不流.血不流則色澤去.故面黒如梨.此血先死.壬日篤.癸日死.

手の少陰の気が絶すれば則ち脈は通じず。少陰は心脈なり。心は脈の合なり。脈の不通、則ち血が流れず。血の不流は則ち色澤が去る。故に面は黒く梨(れい;利+黒=黄黒=精彩のないくすんだ黒)の如く。此れ血が先に死す。壬(みずのえ)の日に篤(病が重くなり)し、癸(みずのと)の日に死す。
三陰氣倶絶者.則目眩轉.目瞑.目瞑者.爲失志.失志者.則志先死.死即目瞑也.

三陰の気が倶(とも=共)に絶すれば則ち目が眩み転び目瞑(もくめい;目が閉じる)す。目瞑は失志を爲す。失志は則ち志は先に死す。死は即ち目瞑なり。
六陽氣倶絶者.則陰與陽相離.陰陽相離.則(そう)理泄.絶汗乃出.大如貫珠.轉出不流.即氣先死.旦占夕死.夕占旦死.

六陽の気が倶(とも=共)に絶すれば則ち陰と陽の相離。陰陽の相離、則ち(そう)理の泄。絶すれば汗が乃(すなわち)出て大きさ貫珠(かんしゅ;宝玉をひもでつないだもの)の如く。転がり出ずるが流れず。即ち気が先に死す。旦(たん;日の出時期)を占(せん=選;選んで決める。この場合は発症)して夕に死すか、夕を占して旦に死す。
手-太陰の働きは「皮毛を温む」とあり、皮毛は寒冷触圧のセンサーで、温むとはその円滑な活動を言います。
手-少陰の働きは「脈の合」とあり、脈は栄衛経絡を含む血のルートで合とは調和された生理活動を言います。
足-太陰の働きは「口唇肌肉の栄」とあり、これは飲食物からの滋養状態を言います。
足-少陰の働きは「骨髓を温める」とあり、身体の基本形成を言います。
足-厥陰の働きは「筋の合」とあり、身体の活動や意識から発動する動作で、その連携を合と言います。
六陽は体表活動全般を言います。
「手」は情報を
「足」は肉体生理を
示していると整理できます。
手-太陰は情報入力、足-太陰は飲食物を受け身体滋養。
手-少陰は内部活動の表現、足-少陰は基本身体の形成と維持。
足-厥陰は身体の外的活動。

三陰三陽に五臓の連結
素問の『血氣形志篇第二十四』では、
第一章
夫人之常數,
太陽常多血少氣,少陽常少血多氣,
陽明常多氣多血,少陰常少血多氣,
厥陰常多血少氣,太陰常多氣少血,
此天之常數.
足太陽與少陰為表裏,足少陽與厥陰為表裏,足陽明與太陰為表裏,
是為足陰陽也.
手太陽與少陰為表裏,手少陽與心主為表裏,手陽明與太陰為表裏,
是為手之陰陽也.
気が多い
グループ
血が多い
グループ

多氣少血

少血多氣
太陰
多氣多血
少陰
太陽
多血少氣
少陽
厥陰
血が悪く
気を出す
気が悪く
血を出す
第四章
刺陽明出血氣,
刺太陽出血惡氣,
刺少陽出氣惡血,
刺太陰出氣惡血,
刺少陰出氣惡血,
刺厥陰出血惡氣也.

第二章は
兪穴の位置のため省略

第三章
形樂志苦, 病生於脈, 治之以灸刺. 形樂志樂, 病生於肉, 治之以鍼石. 形苦志樂, 病生於筋, 治之以熨引. 形苦志苦, 病生於咽喉, 治之以百藥.
形數驚恐, 經絡不通, 病生於不仁, 治之以按摩醪藥. 是謂五形志也.
(けい;外にあって状態が見えるもの)が楽をし志(し;内にあって状態が見え無いもの)は苦しむと病は脈に於いて生れ、
灸刺を以って之を治す。
形が楽し志も楽すると病は肉に於いて生れ鍼石を以って之を治す。
形が苦して志が楽すと病は筋に於いて生れ熨(=押す)(ストレッチや運動療法)を以って之を治す。
形が苦して志も苦すと病は咽喉に於いて生れ百藥を以って之を治す。
形の驚恐(きょうきょう)が數(さく;しばしば)せば経絡は不通す。病は不仁(対人不和)に於いて生れ
按摩醪(ろう=醸造)藥を以って之を治す。是れに謂う五形志なり。

調經論篇第六十二
第七章
黄帝曰: 夫子言虚実者有十, 生於五藏五藏五脈耳. 夫十二經脈, 皆生其病, 今夫子獨言五藏, 夫十二經脈者, 皆絡三百六十五節, 節有病, 必被經脈, 經脈之病, 皆有虚実, 何以合之.
黄帝曰く夫子(ふし;教えを請う第二者)が言う虚実には十有る, 五藏(虚)と五藏(実)に於いて五脈を生ずる。その十二経脈は皆が其の病を生ずるを今、夫子は五藏の単独と言う。その十二経脈は皆、絡に三百六十五節、節に病が有れば必ず経脈を被(ひ;及ぶ)す。経脈の病は皆、虚実が有る。何を以って合すか。
岐伯曰: 五藏者, 故得六府與為表裏, 經絡支節, 各生虚実, 其病所居, 隨而調之. 病在脈, 調之血. 病在血, 調之絡. 病在氣調之衛. 病在肉, 調之分肉. 病在筋, 調之筋. 病在骨, 調之骨. 燔鍼劫刺其下, 及與急者. 病在骨, (火+卒)鍼藥熨. 病不知所痛, 兩(足+喬)為上. 身形有痛, 九候莫病, 則繆刺之. 痛在於左而右脈病者, 巨刺之. 必謹察其九候, 鍼道備矣.

岐伯曰く五藏は故に六府と表裏を為し経絡支節が得て、各に虚実を生じ其の病の所居は調に隨す。病が脈に在れば調は血に、病が血に在れば調は絡に、病が気に在れば調は衛に、病が肉に在れば調は分肉に。病が筋に在れば調は筋に、病が骨に在れば調は骨に。及び共に急たるは 燔鍼(はんしん;焼き鍼)にて其の下を劫刺して病が骨に在るは、(火+卒)鍼(そっしん;また違ったタイプの焼き鍼)や藥熨(やくい;熱い湿布)する。病の痛む所が知らざれば、両(足+喬)の上を為す。身形に痛み有りて九候に病が莫(ばく;見あたらない)すれば、則ち繆刺(びゅうし)を之う。左に於いて痛が在り而(そうして)右の脈を病むは巨刺を之う。必ず其の九候を謹察(きんさつ;きちんと診察する)すれば鍼道は備(び;=万全)である。

太陰、少陰、少陽は気が多く
厥陰、太陽は血が多い。
また「情報」と「肉体」を
黄帝内経では
《志=情報、形=肉体》と、なる。
志が苦せば手、苦しなければ足。
少陰
太陰
厥陰
肺?
素問の「調經論篇」では、
すでに十二経脈の形をとっている。
そして五臓六腑が表裏となって、
十二経のそれぞれに合わさり虚実となる。

素問では十二経脈を定義しながらも、五臓六腑との配当は控えている。
しかし霊枢の「経脈編」で‘経’を‘脈’としながらも連結される。これは手足の三陰三陽の性質に五臓が準拠した形をとっている。それは内にある五臓の働きが体表化した時の働きを三陰三陽とした、と考える事もできる。そのため三陰三陽を表す際には生理現象の表現を意味する‘脈’や‘気’を用い、五臓の時には生理活動の連携を意味する‘経’を用いる。
難経二十三難では経絡の長さが書かれているとされるが、実際には手足の三陰三陽脈と奇経の度数(長さ)で、それを全てふまえて「十二経脈の長短の数」と締め括る。
二十五難では五臓六腑との連結の話のため、十二経としている。
実は古典には
「手の太陰肺経」という言葉は出てこないのである。

難経の経絡の記載 〜二十三難曰〜
手足三陰三陽.脉之度數.可暁以不.
手足の三陰三陽脉の之の度数(起点と長さ)、可暁(ぎょう=悟る)か以(それよりも)不か。
然.手三陽之脉.從手至頭.長五尺.五六合三丈.手三陰之脉.從手至胸中.長三尺五寸.三六一丈八尺.五六三尺.合二丈一尺.足三陽之脉.從足至頭.長八尺.六八四丈八尺.足三陰之脉.從足至胸.長六尺五寸.六六三丈六尺.五六三尺.合三丈九尺.人兩足(足+喬)脉.從足至目.長七尺五寸.二七一丈四尺.二五一尺.合一丈五尺.督脉.任脉.各長四尺五寸.二四八尺.二五一尺.合九尺.凡脉長一十六丈二尺.此所謂十二經脉長短之數也.
然るに手三陽の脈は手を從(じゅう;からという起点をあらわす。場所にも時間にも用いる)し頭に至る。
長さは(一つが)五尺.五×六(三陽×左右)で合すると三丈。
手三陰の脈は手を從し胸中に至る。長さ三尺五寸。三×六で一丈八尺.五×六で三尺.合わせて二丈一尺。
足三陽の脈は足を從し頭に至る。長さは八尺。六×八で四丈八尺.
足三陰の脈は足を從し胸に至る。長さは六尺五寸。六×六で三丈六尺.五×六で三尺.合わせて三丈九尺。
人両足(足+喬;きょう)脈は足を從し目に至る。長さ七尺五寸。二(左右)×七で一丈四尺。二×五で一尺.合わせて一丈五尺。
督脈と任脈は各長さ四尺五寸。二×四で八尺。二×五で一尺。合わせて九尺。凡(ぼん;全体的には)脈の長さ一十六丈二尺。
此の所に謂う十二経脈の長短の数なり。
〜二十五難曰〜
有十二經.五藏六府十一耳.其一經者.何等經也.
十二経が有りて五藏六府は十一のみ。其の一経とは何の等(とう=類;たぐい)の経か。
然.一經者.手少陰與心主別脉也.心主與三焦爲表裏.倶有名而無形.故言經有十二也.

然るに一経は手の少陰と心の主る別の脈なり。心主と三焦で表裏を爲す。倶に名は有りて而(そうして)無形。故に言う経は十二有るなり。
〜二十六難曰〜
經有十二.絡有十五.餘三絡者.是何等絡也.
経に十二有り絡に十五に有る。余りの三絡は是れ何の等(とう=類;たぐい)の絡か。
然.有陽絡.有陰絡.有脾之大絡.陽絡者.陽(足+喬;きょう)之絡也.陰絡者.陰(足+喬;きょう)絡也.故絡有十五焉.
然るに陽絡が有りて、陰絡が有り、脾の大絡が有る。陽絡は陽(足+喬;きょう)の絡なり。陰絡は陰(足+喬;きょう)の絡なり。故に絡は十五有るとす。
実は我々が手の太陰肺経や足の厥陰肝経と呼んでいるものは手太陰の脈であり足厥陰の脈と言える。
脈とは生理活動を総称したものの現れであるため、栄衛も経絡も含まれる。
霊枢経脈編ので流注は、肺手太陰之脈として奥に肺の作用を起きながら、生理活動の全体を示すために三陰三陽の脈の名前で通している。その流注を難経二十四難の記載と繋げると、
《皮毛-肌肉-脈-骨髄-脈-筋》と、体表から体の奥へと入り、また体表へ浮上している。
経絡は体表を這う二次元イメージであるが、実は上下があって三次元である。
流注であるが、まずは手の太陰肺経である。なぜこの位置なのか?
情報入力の様子が反映されるから。情報入力は前方からが基本である。
形のない情報は‘志’であるため、それは形のない‘天’との感応する手が中心となる。
手の陽明大腸経と足の陽明胃経は、
肺経から多気を受け継いだ大腸経は、体幹へと体表情報を持ち帰り接種した飲食の留まりの調節へと関与する。そのため多血化する。
その情報を受け継ぐのが胃経で、飲食の留まり具合で空腹感を調節する。多気多血のままエネルギー消費の大きい足へと向かう。動作の大きい前方を行く。
足の太陰脾経は、
多気多血から滋養消費し、消費の様子を体幹へと届け滋養をコントロールする。
手の少陰心経は、
滋養具合と身体具合の適切な供給をするため外界からの影響の少ない後側位を通る。
手の太陽小腸経と足の太陽膀胱経は、
心経から滋養と身体の様子を多気として小腸経は受け取り、さらに季節との関連などの情報を含めて体幹へと戻り、より緻密に食物や水分の分離をはかり膀胱経へとつなぐ。
膀胱経は体表面積が広く筋肉による体温生産の活発な背面を通る。小腸経から受け取った情報からこの静止状態でも消費の激しい箇所を滋養するため多血となる。
足の少陰腎経は、
膀胱経の消費を軸に、滋養のストックや疲労、衰えの様子を体幹へと送る。
手の厥陰心包経は、
腕を滋養し力の入る屈曲側を通る。また心経のサポートとしての手に体内情報を送る。
手の少陽三焦経と足の少陽胆経は、
三焦経は季節、状況、必要動作などの情報を持って体幹へと戻り、その水分の配当を五臓へと伝え、さらに全身の連係動作の適切さを胆に求め、筋肉などの消費状態を知るため体幹脇を通って足へと向かう。
足の厥陰肝経は、
胆経からの情報の引継により足の筋肉を中心に身体運動や体熱生産をするが、これらを受け持つため多気多血化する。それによって滋養消費を率先し、全身筋肉の様子を含めて体幹へと戻す。疲労や消費もしくは休息などの身体状況を基に肺経へと繋げ、また新たな外部情報と共に飲食の摂取や身体内の水分配当などをフレキシブルに決定していく。
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