H21-4月 古医書における治療体系 澤田 和一

「黄帝内経」は「素問」と「霊枢」で構成されている。前漢の時代に編纂され一旦は散逸したが、762年、唐の時代に王冰(おうひょう)の表した素問と霊枢が伝えられている。

素問  根源に関する問答を意味し、生理、病理、診断、治療、養生法などを論じている。
素問は、古くはBC202年の前漢時代ころから編纂され始めたと考えられている。
霊枢  主として鍼医学の基本となる人体の組織や機能、および鍼の具体的な運用法について述べている。
難経  著者不詳。隋代以降、著者を秦越人扁鵲(しんえつじんへんじゃく)としている。後漢中期ごろに編纂されたものと考えられる。

国家の統一とともに編纂された素問には、多様な学派の学説が収められている。
その中で、臓腑経絡学説を唱え九針を用いた学派が霊枢を編纂した。難経は、トータル的治療法則を掲げた針治療の専門書である。

霊枢 九鍼十二原第一
余欲勿使被毒藥.無用?石.欲以微鍼.通其經脉.調其血氣.營其逆順出入之會.
令可傳於後世.
必明爲之法.令終而不滅.久而不絶.易用難忘.
爲之經紀.異其章.別其表裏.爲之終始.令各有形.先立鍼經.願聞其情.

霊枢  9しん 12げんへん  だい1
よ どくやくを こうむらしむることなく、へんせきをもちいること なからしめんと ほっし、びしんをもって そのけいみゃくを つうじ、そのけつきをととのえ、そのぎゃくじゅん しゅつにゅうの えを いとなましめんとほっす。こうせいにつたうべく、かならずこれ、なすほうをあきらかにせしめ、おわりてめっせず、ひさしくしてたえざらしめん。もちいやすくわすれがたく、これがけいきなし。そのしょうをことし、そのひょうりをわかち、これがしゅうしなし。おのおのをして かたちあらしめん、さきにしんきょうをたてん。ねがわくわ そのじょうをきかん。
 

素問 異法方宜論篇第十二.
故東方之域.天地之所始生也 其治宜?石.故?石者.亦從東方來.
西方者.金玉之域.沙石之處.天地之所收引也.其治宜毒藥.故毒藥者.亦從西方來.
北方者.天地所閉藏之域也.其治宜灸?.故灸?者.亦從北方來.
南方者.天地所長養.陽之所盛處也.其治宜微鍼.故九鍼者.亦從南方來.
中央者.其地平以濕.天地所以生萬物也衆.其治宜導引按?.故導引按?者.亦從中央出也.

素問 いほう ほうぎろんへん  だい12
ゆえにとうほうのいき、てんちのはじめてしょうずるところなり。。。
そのち へんせきによろし。ゆえにへんせきなるものわ、またとうほうよりきたる。
せいほうなるものわ、きんぎょくのいき、させきのところ、てんちのしゅういんするところなり。。。
そのち どくやくによろし。ゆえにどくやくなるものわ、またせいほうよりきたる。 
ほっぽうなるものわ、てんちのへいぞうするところのいきなり。。。
そのち きゅうぜつによろし。ゆえに きゅうぜつなるものわ、またほっぽうよりきたる。
 
なんぽうなるものわ、てんちのちょうようするところ、ようのさかんにおるところなり。。。
そのち びしんによろし。ゆえに9しんなるものわ、またなんぽうよりきたる。
 ちゅうおうなるものわ、そのちたいらにして もってしつ、てんちのばんぶつをしょうずること おおきゆえんなり。。。そのち どういん・あんきょうによろし。
ゆえに どういん・あんきょうなるものわ、またちゅうおうよりいづるなり。

素問 八正神明論篇第二十六.
昭然獨明.若風吹雲.故曰神.三部九候爲之原.九鍼之論不必存也.

素問 8せい しんめいろんへん だい26
まさにくらきがごときも、しょうぜんとしてひとり あきらかなること、かぜのくもを ふくがごとし、ゆえにしんという。 3ぶ9こうこれがげんとなす。9しんのろんわ、かならずしもぞんせざるなり。

素問 離合眞邪論篇第二十七.
黄帝問曰.
余聞九鍼九篇.夫子乃因而九之.九九八十一篇.余盡通其意矣.
經言氣之盛衰.左右傾移.以上調下.以左調右.有餘不足.補寫於榮輸.余知之矣.

素問 りごう しんじゃろんへん だい27
こうてい といていわく、 よ 9しん9へんをきけり。ふし、すなわちよりてこれを9にし、9、9 81ぺん。  よ ことごとく、そのいにつうぜり。けいにいう、きのせいすい、さゆうのけいいわ、かみをもってしもをととのえ、ひだりをもってみぎをととのう。 ゆうよ ふそくわ、えいゆにほしゃす、と。よ これをしれり。

素問  三部九候論篇第二十.
黄帝問曰.
余聞九鍼於夫子.衆多愽大.不可勝數.
余願聞要道.以屬子孫.傳之後世.著之骨髓.藏之肝肺.歃血而受.不敢妄泄.
素問 3ぶ9こうろんへん だい20
こうていといていわく、よ 9しんをふしにきく。しゅうたはくだいにして、あげてかぞうべからず。よ ねがわくわ ようどうをきき、もってしそんにしょくし、これをこうせいにつたえ、これをこつずいにあらわし、これをかんはいにぞうし、けつをすすりてうけ、あえてみだりにもらさじ。 

治療と治療法則
○○治療とは、特定の部位の異常や症状を所定の経または経穴を用いて治療する方法である。
治療法則とは、生体内のバランスのくずれを調えることにより、症状の改善を図る方法である。

経穴による治療
1.阿是穴
2.四総穴  鍼灸聚英
3.八会穴 難経四十五難
4.経筋  霊枢経筋編
5.経別  霊枢邪気臓腑病形編
6.十五絡  霊枢経脈編
7.奇経八脈 難経二十七難 二十八難 二十九難
8.十二原穴 難経六十六難 霊枢九鍼十二原篇
9.?穴
10.絡穴
11.募兪穴 難経六十七難
12.五行穴 難経六十八難 七十四難

治療法則
パーツ的治療法則
経脈篇 邪気臓腑病形編

トータル的治療法則
難経六十九難、七十難、七十一難、七十五難、七十六難、七十九難

1. 八法  汗法、吐法、下法、和法、清法、温法、消法、補法
2. 正治と反治
3. 標本

H21.5月 澤田 和一

(素問)
天 5 三部九候脈診 天邪地邪 八風 四時之勝
多学派の集合
瀉血 食事、鍼、灸、漢薬

(霊枢)
地 6 人迎気口 外邪内傷 臓腑経絡学説
九鍼一二原派
九鍼による補瀉

(難経)
人 3 寸口脈診 五邪 三焦論
寸口脈診派
調気 五行穴の鍼治療

霊枢 経脈篇第十
爲此諸病.盛則寫之.虚則補之.熱則疾之.寒則留之.陷下則灸之.不盛不虚.以經取之.
このしょびょうをおさむるに、さかんなるわ すなわちこれをしゃし、きょするわ すなわちこれをおぎない、ねつするわ すなわちこれをとくし、ひゆるわ すなわちこれをとどめ、かんげするわ すなわちこれにきゅうし、さかんならずきょならざるわ、けいをもってこれをとる。

素問 陰陽應象大論篇第五 
故邪風之至.疾如風雨.故善治者治皮毛.其次治肌膚.其次治筋脉.其次治六府.
其次治五藏.治五藏者.半死半生也.故天之邪氣感.則害人五藏.水穀之寒熱感.
則害於六府.地之濕氣感.
則害皮肉筋脉.
ゆえに じゃふうのいたるわ、ときことふううのごとし。ゆえに よくじするものわ ひもうをなおす。そのつぎわ きふをなおし、そのつぎわ きんみゃくをなおし、そのつぎわ 6ぷをなおし、そのつぎわ 5ぞうをなおす。5ぞうをじするものわ、はんしはんしょうなり。
ゆえに てんのじゃきわ、かんずれば すなわちひとの5ぞうをがいし、すいこくのかんねつわ、かんずれば すなわち6ぷをがいし、ちのしっけわ、かんずれば すなわちひにくきんみゃくをがいす。

故善用鍼者.從陰引陽.從陽引陰.以右治左.以左治右.以我知彼.以表知裏.
以觀過與不及之理.
見微得過.用之不殆.
ゆえに よくはりをもちうるものわ、いんよりようをひき、ようよりいんをひき、みぎをもってひだりをなおし、ひだりをもってみぎをなおし、われをもってかれをしり、ひょうをもってりをしり、もって かとふきゅうの りとをみ、びをみてかをえれば、これをもちいてあやうからず。

(難経)
難経一難から二一難までは外因病を脈診で分析する(素問系)
四九難から六十難は内因病を脈と五役で分析する(霊枢系)

難経 四十九難
然.憂愁思慮則傷心.形寒飮冷則傷肺.恚怒氣逆.上而不下.則傷肝.飮食勞倦.
則傷脾.久坐濕地.強力入水.則傷腎.是正經之自病也.是正經之自病也.
然.其色當赤.何以言之.肝主色.自入爲青.入心爲赤.入脾爲黄.入肺爲白.
入腎爲黒.
肝爲心邪.故知當赤色也.其病身熱.脇下滿痛.其脉浮大而弦.

霊枢 邪氣藏府病形第四 
邪之中人也.無有常.中于陰則溜于府.中于陽則溜于經
じゃのひとにあたるや、つねあることなし。いんにあたれば すなわちふにながれ、ようにあたれば すなわちけいにながる。

中人也.方乘虚時.及新用力.若飮食汗出.?理開而中于邪.中于面則下陽明.中于項則下太陽※.中于頬則下少陽.其中于膺背兩脇※.亦中其經.
ひとにあたるや、まさに きょのときにじょうじ、およびあらたにちからをもちい、もしくわ いんしょくして、あせいで そうりひらきて、じゃにあたる。めんにあたれば、すなわちようめいをくだる。うなじにあたれば、すなわちたいようをくだる。ほおにあたれば、すなわちしょうようをくだる。そのようはい りょうわきにあたるも、またそのけいにあたる。

岐伯荅曰.
中于陰者.常從臂充始.夫臂與充.其陰皮薄.其肉?澤.故倶受于風.獨傷其陰.
黄帝曰.此故傷其藏乎.
岐伯荅曰.
身之中于風也.不必動藏.故邪入于陰經.則其藏氣實.邪氣入而不能客.故還之於府.
故中陽則溜于經.中陰則溜于府
きはくこたえていわく、
いんにあたるものわ、つねにひ こうよりはじむ。それひとこうとわ、そのいんぴうすく、そのにくどうたくたり。ゆえにともにふうをうくるも、ひとりそのいんをやぶる。こうていいわく、このゆえに そのぞうをやぶるか。
きはくこたえていわく、みのふうにあたるや、かならずしも ぞうにうごかず。
ゆえに じゃいんけいにいるも、すなわちそのぞうきじつなれば、じゃきいるもきゃくするあたわず、ゆえにこれを ふにかえす。ゆえに ようにあたれば すなわちけいにながれ、いんにあたれば すなわちふにながる。

愁憂恐懼.則傷心.形寒寒飮.則傷肺.以其兩寒相感.中外皆傷.故氣逆而上行.
有所墮墜.惡血留内.若有所大怒.氣上而不下.積于脇下.則傷肝.有所撃仆.
若醉入房.汗出當風.則傷脾.有所用力擧重.若入房過度.汗出浴水.則傷腎.
しゅうゆうきょうくすれば すなわちしんをやぶる。かたち かんにしてかんいんすれば すなわちはいをやぶり、そのりょうかん あいかんじ、ちゅうがい みなやぶらるるをもって、ゆえにきぎゃくしてじょうこうす  だついするところありて、あくけつうちにとどまり、もしおおいにおこるところありて、きのぼりてくだらず、きょうかにつもれば、すなわちかんをやぶる。げきふするところあり、もしようてぼうにいり、あせいでてかぜにあたれば、すなわちひをやぶる。ちからをもちいて おもきをあぐるところあり、もしぼうにいりて どをすぎ、あせいでてみずをあぶれば、すなわちじんを やぶる。

病之六變者.刺之奈何.
岐伯荅曰.諸急者.多寒.緩者.多熱.大者.多氣少血.小者.血氣皆少.滑者.
陽氣盛.
微有熱.?者.多血少氣.微有寒.是故刺急者.深内而久留之.刺緩者.淺内而疾發鍼.
以去其熱.
刺大者.微寫其氣.無出其血.刺滑者.疾發鍼而淺内之.以寫其陽氣.而去其熱.
刺?者.必中其脉.隨其逆順而久留之.必先按而循之.已發鍼.疾按其?.無令其血出.以和其脉.諸小者.陰陽形氣倶不足.勿取以鍼.而調以甘藥也.
こうていいわく、やまいの6へんなるものわ、これをさすこといかん。
きはくこたえていわく、もろもろのきゅうなるものわ かんおおく、かんなるものわ ねつおおく、だいなるものわ きおおくしてけつすくなく、しょうなるものわ けつきみなすくなく、かつなるものわ ようきさかんにして、かすかにねつあり、しょくなるものわ きおおくして けつすくなく、かすかにかんあり。
これのゆえにきゅうをさすものわ、ふかくいれてひさしくこれをとどむ。かんをさすものわ、あさくいれてとくはりをはっし、もってそのねつをさる。
だいをさすものわ、かすかにそのきをしゃし、そのけつをいだすなかれ。かつをさすものわ、とくはりをはっしてあさく これをいれ、もってそのようきをしゃして、そのねつをさる。しょくをさすものわ、かならずそのみゃくにあたりて、そのぎゃくじゅんにしたがいて、ひさしくこれをとどめ、かならずさきにあんじてこれにしたがい、すでにはりをはっすれば、とく そのゆうをあんじ、そのけつをしていでしむるなく、もってそのみゃくをわす。もろもろのしょうなるものわ、いんようけいきともにたらず、とるにはりをもってすることなく、ととのうるにかんやくをもってするなり。

素問 經脉別論篇第二十一

  
H21.6月 澤田 和一

難経の特徴
難経医学は、素問・霊枢医学を経て独自の鍼の治療体系を構築した。

寸口脈診(六部定位脈診ではない)を中心とした病体の分析。
生体反応による病因論と外因内因への展開。
三焦論(宗榮衛)に基づく本治法の治療法則。
上下・左右・内外を調える標治法。

誤治 「實實虚虚・損不足而益有餘」八十一難 十二難
八十一難
是病非謂寸口脉也.謂病自有虚實也.假令肝實而肺虚.肝者木也.肺者金也.
金木當更相平.當知金平木.
假令肺實而肝虚微少氣.用鍼不補其肝.而反重實其肺.故曰實實虚虚.損不足而益有餘.
此者中工之所害也.
これやまいにして、すんこうのみゃくをいうにあらざるなり、やまいにみずからきょじつあるをいうなり。
たとえばかんじっしてはいきょす。かんわもくなり、はいわきんなり、きんもくまさにこもごもあいたいらぐべし、まさにきんのもくをたいらぐることをしるべし。
たとえばはいじっして かんきょし、びしょうのき り。はりをもちいてそのかんをほさず、しかしてかえってかさねてそのはいをじっす。ゆえにじつをじっしきょをきょし、ふそくをそんじてゆうよをえきすという。
これちゅうこうのがいするところなり。

十二難
五藏脉已絶於内者.腎肝氣已絶於内也.而醫反補其心肺.五藏脉已絶於外者.
其心肺脉已絶於外也.而醫反補其腎肝.陽絶補陰.陰絶補陽.是謂實實虚虚.損
不足益有餘.
如此死者.醫殺之耳.
5ぞうのみゃくすでにうちにたゆとわ、じんかんのき、すでにうちにたゆるなり。
しかるにいかえってそのしんはいをおぎなう。
5ぞうのみゃくすでにそとにたゆとわ、そのしんはいのみゃくすでにそとにたゆるなり。しかるにいかえってそのじんかんをおぎなう。
ようたえていんをおぎない、いんたえてようをおぎなう、これじつをじっしきょをきょし、ふそくをそんしゆうよをえきすという。このごとくしてしするものわ、いこれをころすのみ。

治療法 六十八難 七十四難
六十八難
井主心下滿.?主身熱.兪主體重節痛.經主喘?寒熱.合主逆氣而泄.此五藏六府.
其井?兪經合所主病也
せいわ しんかまんをつかさどり、けい(えい)わしんねつをつかさどり、ゆわたいじゅうせっつうをつかさどり、けいわぜんがいかんねつをつかさどり、ごうわぎゃっきしてせっするをつかさどる、これ5ぞう6ぷの せい・けい(えい)・ゆ・けい・ごうのつかさどるところのやまいなり。

七十四難
春刺井者.邪在肝.夏刺?者.邪在心.季夏刺兪者.邪在脾.秋刺經者.邪在肺.
冬刺合者.邪在腎.
はるせいをさすわ、じゃ、かんにあり、なつけい((えい))をさすわ、じゃ、しんにあり、きかゆをさすわ、じゃ ひにあり、あきけいをさすわ、じゃ、はいにあり、ふゆごうをさすわ、じゃ、じんにあり。

五藏一病.輒有五也.假令肝病.色青者肝也.?臭者肝也.喜酸者肝也.喜呼者肝也.喜泣者肝也.
其病衆多.不可盡言也.
5ぞうの1びょうに、すなわち5あるなり、たとえばかんびょうわ、いろあおきものわかんなり、そうしゅうわかんなり、さんをこのむものわかんなり、よばわることをこのむものわ かんなり、きゅう(なみだ)をこのむものわかんなり、そのやまいしゅうたにして、ことごとくいうべからざるなり。

本治法の治療法則 六十九難 七十五難
六十九難
虚者補其母.實者瀉其子.當先補之.然後瀉之.不實不虚.以經取之者.是正經自生病.不中他邪也.
きょするものわ そのははをおぎない、じっするものわ そのこをしゃす、まさにまずこれをおぎない、しかるのちにこれをしゃす。
じっせずきょせざればけいをもって これをとるとわ、これせいけいみずからやまいをしょうじ、たじゃにあたらざればなり、まさにみずからそのけいをとるべし

七十五難
東方木也.西方金也.木欲實.金當平之.火欲實.水當平之.土欲實.木當平之.
金欲實.火當平之.水欲實.土當平之.
東方肝也.則知肝實.西方肺也.則知肺虚.瀉南方火.補北方水.
南方火.火者木之子也.北方水.水者木之母也.水勝火.子能令母實.母能令子虚.
故瀉火補水.欲令金不得平木也.
とうほうわもくなり、せいほうわきんなり。もくじっせんとほっせば、きん まさにこれをたいらぐべし、か じっせんとほっせば、すい まさにこれをたいらぐべし、ど じっせんとほっせば、もくまさにこれをたいらぐべし、きんじっせんとほっせば、か まさにこれをたいらぐべし、すい じっせんとほっせば、ど まさにこれをたいらぐべし。
とうほうわかんなり、すなわちかんじつをしる、せいほうわはいなり、すなわちはいきょをしる。なんぽうのかをしゃし、ほっぽうのすいをおぎなう。なんぽうわか、かわ、もくのこなり、ほっぽうわ すい、すいわもくのははなり、すいわ かにかつ、こよくははをしてじっせしめ、はは よくこをしてきょせしむ、ゆえに かをしゃし すいをおぎない、きんをして もくをたいらぐることをえざらしめんと ほっするなり。
標治法の治療法則 七十難 七十二難 七十六難
七十難
春夏者.陽氣在上.人氣亦在上.故當淺取之.秋冬者.陽氣在下.人氣亦在下.
故當深取之.
はる・なつわ、ようきうえにあり、ひとのきもまたうえにあり、ゆえに まさにあさくこれをとるべし、あき・ふゆわ、ようきしたにあり、ひとのきもまた したにあり、ゆえに まさにふかくこれをとるべし。

春夏温.必致一陰者.初下鍼.沈之至腎肝之部.得氣引持之陰也.
秋冬寒.必致一陽者.初内鍼.淺而浮之.至心肺之部.得氣推内之陽也.
是謂春夏必致一陰.秋冬必致一陽.
はる・なつわおん、かならず1いんにいたるとわ、はじめてはりをくだすに、こ
れをしずめて じんかんのぶにいたり、きをえてひいてこれをいんにじするなり、あき・ふゆわ かん、かならず1ようにいたるとわ、はじめてはりをいるるに、あさくしてこれをうかべ しんはいのぶにいたり、きをえておして これをようにいるるなり。
これ はる・なつわかならず1いんにいたり、あき・ふゆわかならず1ようにいたるをいうなり。

七十二難
所謂迎隨者.知榮衞之流行.經脉之往來也.隨其逆順而取之.故曰迎隨.
調氣之方.必在陰陽者.知其内外表裏.隨其陰陽而調之.故曰.調氣之方.必在陰陽.
いわゆるげいずいとわ、えい・えのりゅうこう、けいみゃくのおうらいをしるなり。そのぎゃくじゅんにしたがいてこれをとる、ゆえにげいずいという。
きをととのうるのほうわ、かならずいんようにありとわ、そのないがい・ひょうりをしりて、そのいんようにしたがいてこれをととのう、ゆえに、ちょうきのほうわ、かならずいんようにありという。

七十六難
當補之時.從衞取氣.當瀉之時.從榮置氣.
其陽氣不足.陰氣有餘.當先補其陽.而後瀉其陰.陰氣不足.陽氣有餘.當先補其陰.
而後瀉其陽.榮衞通行.此其要也.
まさにおぎなうべきのときわ、えよりきをとり、まさにしゃするべきのときわ、えいよりきをおく。
そのようきたらずして、いんきあまりあるわ、まさにまず そのようをおぎないて、しかるのちにそのいんをしゃすべし。いんきたらずして、ようきあまりあるわ、まさにまずそのいんをおぎないて、しかるのちにそのようをしゃすべし。えい・えをしてつうこうせしむ。これそのかなめなり。