2011-1/16 大学院で学んだこと 渡邉 賢一 

壱 大学院で読んだ古典
1.『春秋繁露』
2.『易学啓蒙』

弐 現在研究していること
1.『漢書』律暦志
権与物鈞而生衡、衡運生規、規圜生矩、矩方生縄、縄直生準、準正則平衡而鈞権
矣。是為五則……
大陰者、北方……於時為冬……故為権也。
大陽者、南方……於時為夏……故為衡也。
少陰者、西方……於時為秋……故為矩也。
少陽者、東方……於時為春……故為規也。
中央者、陰陽之内、四方之中。経緯通達、乃能端直。於時為四季……故為縄也。
(権は物と鈞しくして衡を生じ、衡は運りて規を生じ、規は圜にして矩を生じ、
矩は方にして縄を生じ、縄は直にして準を生じ、準 正なれば、則ち衡を平らか
にして権を鈞しくす。是れを五則と為す……大陰は北方なり……時に於いて冬と
為る……故に権と為るなり。
 大陽は南方なり……時に於いて夏と為る……故に衡と為るなり。
 少陰は西方なり……時に於いて秋と為る……故に矩と為るなり。
 少陽は東方なり……時に於いて春と為る……故に規と為るなり。
 中央は陰陽の内、四方の中なり、経緯通達し、乃ち能く端直す。時に於いて四
季と為る……故に縄と為るなり。)

2.『淮南子』天文訓
東方木也……執規而治春……
南方火也……執衡而治夏……
中央土也……執縄而制四方……
西方金也……執矩而治秋……
北方水也……執権而治冬……
(東方は木なり……規を執りて春を治む……
 南方は火なり……衡を執りて夏を治む……
 中央は土なり……縄を執りて四方を制す……
 西方は金なり……矩を執りて秋を治む……
 北方は水なり……権を執りて冬を治む……)
3.『淮南子』時則訓
陰陽大制有六度。天為縄、地為準、春為規、夏為衡、秋為矩、冬為権。
(陰陽の大制に六度有り。天は縄と為り、地は準と為り、春は規と為り、夏は衡
と為り、秋は矩と為り、冬は権と為る。)

4.『墨子』法儀篇
百工為方以矩、為円以規、直以縄、正以縣、平以水。
(百工は方を為るに矩を以てし、円を為るに規を以てし、直には縄を以てし、正
には縣を以てし、平には水を以てす。)

5.『周礼』冬官考工記
匠人建国、水地以縣。置?以縣、?以景。為規、識日出之景、与日入之景。
(匠人 国を建つるに、地を水するに縣を以てす。?を置くに縣を以てし、?るに
景を以てす。規を為りて日の出の景と日の入りの景とを識る。)

(1)「地を水するに縣を以てす」に対する鄭玄の注
於四角立植、而縣以水、望其高下。高下既定、乃為位而平地。
(四角に於いて植を立てて、縣して以て水し、其の高下を望む。高下 既に定ま
りて、乃ち位を為して地を平らぐ。)

(2)「地を水するに縣を以てす」に対する賈公彦の疏
云於四角立植而縣者、植即柱也。於造城之処、四角立四柱而縣、謂於柱四畔縣縄
以正柱。柱正、然後去柱、遠以水平之法遥望、柱高下定、即知地之高下。然後平
高就下、地乃平也。
(四角に於いて植を立てて縣すると云うは、植は即ち柱なり。造城の処に於いて、
四角に四柱を立てて縣するは、柱の四畔に縄を縣けて以て柱を正すを謂う。柱
正しくして、然る後に柱を去りて遠く水平の法を以て遥望し、柱の高下 定まれ
ば、即ち地の高下を知る。然る後に高きを平らげ下きに就けば、地 乃ち平らか
なり。)

(3)「?を置くに縣を以てし、?るに景を以てす」に対する賈公彦の疏
云以縣者、欲取柱之景、先須柱正、欲須柱正、当以縄縣而垂之於柱之四角四中。
以八縄縣之、其縄皆附柱、則其柱正矣。然後?柱之景。故云?以景也。
(縣を以てすと云うは、柱の景を取らんと欲するに、先ず柱の正なるを須め、柱
の正なるを須めんと欲すれば、当に縄を以て縣して之を柱の四角四中に垂らすべ
し。八縄を以て之を縣し、其の縄 皆な柱に附けば、則ち其の柱 正し。然る後に
柱の景を?る。故に景を以て?ると云うなり。)

(4)「規を為りて日の出の景と日の入りの景とを識る」に対する鄭玄の注
日出日入之景、其端則東西正也。又為規以識之者、為其難審也。自日出而画其景
端、以至日入、既、則為規測景両端之?規之。規之交、乃審也。度両交之間、中
屈之以指?、則南北正。
(日の出 日の入りの景、其の端は則ち東西を正すなり。又た規を為りて以て之
を識るは、為めに其の難きを審らかにするなり。日の出よりして其の景の端を画
きて、以て日入に至り、既くれば、則ち規を為りて景の両端の?を測り之を規す。
規の交は乃ち審らかなり。両交の間を度り、之を中屈して以て?を指せば、則ち
南北 正し。)

(5)上記の鄭玄の注に対する賈公彦の疏
云日出日入之景其端則東西正也者……以縄測景之両端則東西正矣。
(日の出 日の入りの景、其の端は則ち東西を正すなりと云うは……縄を以て景
の両端を測れば則ち東西正し。)

云既則為規測景両端之?規之規交乃審也者、謂於中?、以縄取景之両端一?、則景
之遠近定。
(既くれば則ち規を為りて景の両端の?を測り之を規す、規の交は乃ち審らかな
りと云うは、中?に於いて縄を以て景の両端を取りて一たび?れば、則ち景の遠近
定むを謂う。)

6.『淮南子』天文訓
子午、卯酉為二縄、丑寅、辰巳、未申、戌亥為四鉤。
(子午、卯酉を二縄と為し、丑寅、辰巳、未申、戌亥を四鉤と為す。)

7.『墨子』経説下
挈、長重者下、短軽者上。上者愈得、下者愈亡。縄直権重相若則正矣。
(挈ぐとは、長くして重き者は下り、短くして軽き者は上がる。上がる者 愈い
よ得、下がる者は愈いよ亡う。縄直権重 相い若けば則ち正し。)

8.『淮南子』時則訓
縄之為度也、直而不争……与天合徳、与神合明……是故上帝以為物宗。
(縄の度為るや、直にして争ならず……天と徳を合し、神と明を合す……是の故
に上帝 以て物の宗と為す。)

準之為度也、平而不険、均而不阿、広大以容、寛裕以和……準平而不失、万物皆
平、民無険謀、怨悪不生。是故上帝以為物平。
(準の度為るや、平にして険ならず、均しくして阿らず、広大にして以て容れ、
寛裕にして以て和す……準 平らかにして失わざれば、万物 皆な平らかにして、
民に険謀無く、怨悪 生ぜず。是の故に上帝 以て物の平と為す。)

9.『管子』水地篇
夫水?弱以清、而好灑人之悪、仁也。視之黒、而白精也。量之不可使概、至満而
止、正也。唯無不流、至平而止、義也。人皆赴高、己独赴下、卑也。卑也者、道
之室、王者之器也。而水以為都居。準也者、五量之宗也。
(夫れ水は?弱として以て清く、而して好みて人の悪を灑ぐは、仁なり。之を視
るに黒くして、白きは精なればなり。之を量るに概を使う可からざるも、満つる
に至りて止むは、正なり。流れざるは無しと唯も、平らかなるに至りて止むは、
義なり。人 皆な高きに赴くに、己 独り下きに赴くは、卑なり。卑なる者は、道
の室にして、王者の器なり。而して水は以て都居と為す。準なる者は、五量の宗
なり。)

10.『管子』揆度篇
 権也、衡也、規也、矩也、准也。此謂正名五。
 (権なり、衡なり、規なり、矩なり、准なり。此を正名五と謂う。)

11.『漢書律暦志正譌』(清の王元啓著)
按、権衡規矩縄配智礼仁義信、是為五則。不数準者、準縄連体言縄而準在其中矣。
(按ずるに、権衡規矩縄は智礼仁義信に配し、是れを五則と為す。準を数えざる
は、準縄 体を連ねて縄と言いて準は其の中に在りと。)

12.『淮南子』天文訓
天道曰円、地道曰方。方者主幽、円者主明。明者吐気者也。是故火曰外景。幽者
含気者也。是故水曰内景。
(天道を円と曰い、地道を方と曰う。方なる者は幽を主り、円なる者は明を主る。
明なる者は気を吐く者なり。是の故に火を外景と曰う。幽なる者は気を含む者な
り。是の故に水を内景と曰う。)

13.『淮南子』斉俗訓
天之円也不得規、地之方也不得矩。
(天の円たるや規るを得ず、地の方たるや矩るを得ず。)

14.『史記』夏本紀
左準縄、右規矩
(準縄を左にし、規矩を右にす。)

15.『春秋繁露』五行相生篇
東方者木……司農尚仁……執規而生……
南方者火……司馬尚智……執矩而長……
中央者土……司営尚信……執縄而制四方……
西方者金……司徒尚義……執権而伐……
北方者水……司寇尚礼……執衡而蔵……
(東方は木……司農は仁を尚び……規を執りて生ず……
 南方は火……司馬は智を尚び……矩を執りて長ず……
 中央は土……司営は信を尚び……縄を執りて四方を制す……
 西方は金……司徒は義を尚び……権を執りて伐つ……
 北方は水……司寇は礼を尚び……衡を執りて蔵す……)

16.『春秋繁露』五行対篇
天有五行、木火土金水是也。木生火、火生土、土生金、金生水。水為冬、金為秋、
土為季夏、火為夏、木為春。春主生、夏主長、季夏主養、秋主収、冬主蔵。
(天に五行有り、木火土金水は是れなり。木は火を生じ、火は土を生じ、土は金
を生じ、金は水を生ず。水は冬と為り、金は秋と為り、土は季夏と為り、木は春
と為る。春は生を主り、夏は長を主り、季夏は養を主り、秋は収を主り、冬は蔵
を主る。)

土者火之子也。五行莫貴於土、土之於四時無所命者、不与火分功名。木名春、火
名夏、金名秋、水名冬。
(土は火の子なり。五行に土より貴きは莫く、土の四時に於けるや命ずる所の者
無けれども、火と功名を分けず。木は春に名づけ、火は夏に名づけ、金は秋に名
づけ、水は冬に名づく。)

17.『春秋繁露』五行之義篇
一曰木、二曰火、三曰土、四曰金、五曰水。
木五行之始也。水五行之終也。土五行之中也……
木生火、火生土、土生金、金生水、水生木……
木居左、金居右、火居前、水居後、土居中央……
(一に曰く木、二に曰く火、三に曰く土、四に曰く金、五に曰く水。
 木は五行の始めなり。水は五行の終わりなり。土は五行の中なり……
 木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず…

 木は左に居り、金は右に居り、火は前に居り、水は後に居り、土は中央に居る
……)

木居東方而主春気。
火居南方而主夏気。
金居西方而主秋気。
水居北方而主冬気……
土居中央、為之天潤。土者、天之股肱也。其徳茂美、不可名以一時之事。
(木は東方に居りて春気を主る。
 火は南方に居りて夏気を主る。
 金は西方に居りて秋気を主る。
 水は北方に居りて冬気を主る……
 土は中央に居りて、之を天潤と為す。土は天の股肱なり。其の徳 茂美なるも、
名づくに一時の事を以てす可からず。)
18.『春秋繁露』五行相生篇
行者行也。其行不同。故謂之五行。五行者五官也。比相生而間相勝也。故為治、
逆之則乱、順之則治。
(行は行ぐるなり。其の行は同じからず。故に之を五行と謂う。五行は五官なり。
比べて相い生じ、間てて相い勝つなり。故に治を為すに、之に逆らえば則ち乱れ、
之に順えば則ち治まる。)

19.『春秋繁露』順命篇
徳?天地者、皇天右而子之、号称天子。
(徳の天地と?しき者は、皇天 右けて之を子とし、号して天子と称す。)

20.『漢書』董仲舒伝の「対策」
為人君者、正心……以正万民、正万民以正四方。
(人君為る者、心を正して……以て万民を正し、万民を正して以て四方を正す。)

21.『漢書』五行志
景武之世、董仲舒治公羊春秋、始推陰陽、為儒者宗。
(景武の世、董仲舒は公羊春秋を治め、始めて陰陽を推し、儒者の宗と為る。)

22.『春秋繁露』陰陽終始篇
春夏陽多而陰少、秋冬陽少而陰多。多少無常、未嘗不分而相散也……春秋之中、
陰陽之気倶相併也。
(春夏は陽多くして陰少なく、秋冬は陽少なくして陰多し。多少に常無く、未だ
嘗て分れて相い散ぜずんばあらざるなり……春秋の中、陰陽の気 倶に相い併ぶ
なり。)

23.『春秋繁露』天弁在人篇
少陽因木而起、助春之生也。太陽因火而起、助夏之養也。少陰因金而起、助秋之
成也。太陽因水而起、助冬之蔵也。
(少陽は木に因りて起き、春の生を助くるなり。太陽は火に因りて起き、夏の養
を助くるなり。少陰は金に因りて起き、秋の成を助くるなり。太陽は水に因りて
起き、冬の蔵を助くるなり。)