H23.9.20 臨床質問会「膝関節痛」 川俣 紀子

質 問 「膝関節痛に伴う膝裏にたまった水の吸収について」
膝関節痛は、大分軽減しているのですが、水がなかなか吸収せず膝裏のつっぱり感・重い感じをもう少し軽減させてあげたいのですが、どのような治療を行ったらよいのか教えてください。
                                    
川 俣 紀 子
症 例  63歳  女性

主 訴  右膝関節痛(膝内側や膝蓋骨の下辺り)、膝裏から下腿にかけてつっぱる様な感じあり

現病歴  昨年秋頃から、右膝関節痛(膝の内側)や膝に力が入らない等の症状が時々あり。
      昨年12月、右膝裏(委中辺り)が腫れているのに気づき外科受診する。
医師には、「水がたまっている。もっと水がたまる様なら注射器で抜いてやる」と言われたが、外科受診は1回のみで様子みている。
動作開始時に右膝の内側や前面に痛みがあり、右膝裏は常に重い感じがある。
水がたまっているところは、特に仕事で膝をよく使ったり、水泳で特に平泳ぎをハードに行ったりすると、いつもより盛り上がりが大きくなる。
この様な時は、委中辺りから下腿にかけてつっぱるような痛みが強くなり、水泳中、右下腿が棒のようになることもある。歩行しづらい等の動きに制限はない。
その他に、肩こりや腰痛、不眠等の症状ある。(鍼灸治療している)

既往歴  4年前  胃潰瘍で入院
       2年前  帯状疱疹(右脇腹辺り)
       1年前〜 右耳軽度の難聴あり。耳鳴りも続いている。
        花粉症あり

個人歴  酒・たばこなし
       運動:水泳(12年前から)、ダイビング
       ウォーキング・ストレッチ等よく体を動かしている。(体に良いと思うものを積極的に実施)
       職業:マンションの清掃(9階までの階段昇降必ずある)

診察所見 水がたまっているところは、委中を中心に直径4〜5?位。患部を触診すると硬め。
        委中の下辺りから足関節にかけて、ところどころ硬結や冷えがある。
※今までの経験上水がたまっているところは、触診すると軟らかくプヨプヨしているイメージだったが、この症例は、硬い気がする。

原 因  不明
       以前に、膝に水がたまったことはない。膝関節痛の既往もない。
       他に考えられることは、1年前に現在の仕事に転職してから、膝に負担がかかることが多くなった。

治 療  週1回 鍼と灸 
       本治は、その時の尺膚の状態にあわせて実施。
       標治は、本治にあわせた標治
        膝への標治は昨年12月から施術
         ・鍼:膝関節痛がある時は、殿部の冷えてるところに刺鍼
            右膝裏から足関節にある冷えや硬結をとる。
         ・透熱灸:水がたまっているところの周辺で硬くつっぱっていたり、冷たいところの反応を見て3点に行う

経 過  施術直後は、本人はつっぱり感がなくなり楽になると言うが、患部の変化は見られない。
       次に来院の時、患部の盛り上がりが低くなっていることもある。
       膝にかける負担度によるものか、患部が大きく盛り上がったり、低くなったりを繰り返している。
       8/9 患部が軟らかくなっている。膝裏のつっぱり感が少し軽減。膝関節痛はほとんどない。
       9/6 患部は軟らかく、触診するとプヨプヨしている。委中を中心に4?位水がたまっている。
       水泳をしてる最中足が棒のようにならなくなったとのこと。膝関節痛はほとんどない。