「原典としての難経考察」(3)


 五臓の連携を三焦と気血栄衛から整理して、証として選経選穴により治療する。

他臓腑との関わりによる作用
三十二難: 心と肺 三十三難: 肝木と肺金 三十六難: 腎と命門

七十二難: 迎随を論じているが、気を調える方は陰陽にありと説いている。
 気を調うる方は、必ず陰陽にありとは、その内外表裏を知りて、その陰陽に随
ってこれを調う。

九難: 脈症から臓腑の病を区別する。
遅数を診て病が陰にあるか陽にあるかを導くための原則
 何をもって藏府の病を別知せんや。然るなり數は府なり、遲は藏なり。數はす
なわち熱となし、遲はすなわち寒となす。諸陽は熱となし、諸陰は寒となす。

八難: 寸口の脈が正常なのに死んでしまう理由から、元気の根源の重要性を説く。
 然るなり、諸々の十二經脉はみな生氣の原に係る。いわゆる生氣の原とはいわ
ゆる十二經の根本なり。いわゆる腎間の動氣なり。これ五藏六府の本、十二經脉
の根、呼吸の門、三焦の原、一には守邪の神と名づく。故に氣は人の根本なり。
守邪の神: 防御→腎気

十四難: 損至の脉を論じている中で、虚損の治法が述べられている。
 損を治する法いかん。然るなり、その肺を損するものは、その氣を益し、その
心を損するものは、その榮衞を調べ、その脾を損するものは、その飮食を調べ、
その寒温に適う、その肝を損するものは、その中を緩かにし、その腎を損するも
のは、その精を益す。

治療法則
六十九難/七十五難

六十八難: 五行穴と内蔵の関係を説明しているが、取治も論じている。弁証取穴
 井は心下滿を主る。えいは身熱を主る。兪は體重節痛を主る。經は喘咳寒熱を
主る。合は逆氣して泄すを主る。

七十四難:
 春は、井を刺し、夏はえいを刺し、季夏は兪を刺し、秋は經を刺し、冬は合を
刺す。

付録
臓腑が行う一般的生理活動(やさしい中医学入門より)
臓と臓の協調によって行われる生理活動
1: 脾と心: 血の生成と運搬 精神活動(神の維持)
2: 脾と肺: 宗気の生成 水液の代謝
3: 脾と肝: 血の生成および貯蔵 消化吸収活動の調節
4: 脾と腎: 水液の代謝 先天と後天の相互関係
5: 心と肺: 気血の相互運搬
6: 心と肝: 血の運搬と貯蔵 精神活動の調節
7: 心と腎: 体温調節(陰陽調節、火と水の関係)
8: 肺と肝: 気気の昇降調節
9: 肺と腎: 水液の代謝 呼吸の調節
10: 肝と腎: 血と精の相互生成