H23-9/18 「古医書の考え方と臨床」 鈴木一馬

<はじめに>

C班で実践している『簡易鑑別法』という診察法を通して、見えてきた事・気付いた事を中心に

古医書に記載されている考え方(原理・法則等)を臨床にどうつなげていくか?どの様に応用するか?

を考えていきたい。

1)簡易鑑別法とは?

・患者の「両肘」「両膝」に術者の手を置いて、生体の各部位に表現されている反応変化を確認する方法。

(例:脈、熱感冷感、肌の質感、浮腫み等の変化)

・「両肘」「両膝」に触れて反応を確認しながら診察を進めていくので、治療の方向性を付けやすい。

 例えば、左膝に触れた時に生体が一番良い方向に変化をしたと感じたら、「左足が治療側」とザックリと

方向性を決めることが出来る。

その後、左足にある経絡の中で一番良い変化が出るポイント(経穴)を反応確認しながら絞り込んでいく。

・敏感な人の場合、手を置かれているだけで自身の体の変化を感じ取れる(楽になる・痛みが強くなる等)

ので、術者側の主観だけで変化を追うのではなく、患者側の感覚も確認しつつ診断から治療を進めることも出来る。

2)簡易鑑別法における反応変化のパターン

@ハハハハ 両手・両足型    →「上下型」

Aハハハハ 左手足・右手足型  →「左右型」

Bハハハハ 左手右足・右手左足型→「タスキ型」

3)反応変化のパターンにどの様な意味付けをしていくか?

・上記の3パターンに対する意味付けを古医書(難経、素問)をベースに考えていく。

例)

@ 両手・両足型    →「上下型」  :天地・三焦    →303132333435

A 左手足・右手足型  →「左右型」  :火水・左腎右命門 →363738394041

B 左手右足・右手左足型→「タスキ型」 :?

・変化のパターンに意味付けをすることにより、生体をどの様なテーマで捉えていけば良いかを

 大まかに把握していく。

 

※各パターンにはそれぞれ「陰陽」両面の見方があるので、一面だけで考えてはいけない。

左右の考え方が入ってくる。

4)反応変化のパターンの展開について

例:「上下型」→両手・両足型

@ハハハハ 横軸を引いて「上下」に分かれるという、<大枠・前提条件>が決まる。

 

A <大枠・前提条件>の「上下」には陰陽両面(左右)の視点がある。

   陽・左)有形の視点:空間的・目に見える

   陰・右)無形の視点:時間的・目に見えない

 

B <大枠・前提条件>の「上下」には、縦軸(時間・火水)と横軸(空間・木金)の考え方が含まれる。

   縦軸と横軸を掛け合わせて(2×2)4分割の視点になる。(十文字)

   この部分が「現象を起こさせている法則性」の部分となる。(例:2難・3難)

   

Cハハハハ 法則性となる<縦軸・横軸>が決まると、その法則性の影響を受けて「現象を起こす場」が決まる。

四つでひとまとまりの考え方。(×印)(例:4難・5難)

    

D 法則性となる「十文字」と現象を起こす場の「×印」が重なると8分割の視点になる。

「法則性」の影響を受けて「現象を起こす場」において、「陰陽の気の振る舞い」が起こる。

  ( 縦軸は左右に分かれ<木金>という要素があり、横軸は上下に分かれ<火水>という要素がある。)

振る舞い方は、縦軸に接する時間的(機能面)・横軸に接する空間的(物質面)の二面ある。(例:6難)