2012.8.26 腰痛症を診る〜現代医学との違い〜

現代医学と伝統医学の違い
現代医学の目的.....原因の解明とその除去
伝統医学の目的.....病体の把握と状態の改善
中医学.....
四診法から病因を五臓や経絡に転用し病症とする。問診重視の傾向が強く治療証は「五臓」や「虚実」「陰陽」「気血」などの組み合わせで多彩
経絡治療..
主に脈診から五臓に帰依した証を限定。治療対象は経絡のみ、治療証は「肝虚」「脾虚」「肺虚」「腎虚」の4つのみの傾向が強い

腰痛症の各医学のとらえ方
現代医学.....腰痛の原因を探る
(1)腰部筋筋膜症(姿勢性腰痛を含む)
(2)腰部捻挫(ギックリ腰を含む)
(3)椎間板ヘルニア
(4)脊椎分離症
(5)変形性脊椎症(椎間関節症を含む)
(6)腰部脊柱管狭窄
(7)骨粗鬆症
(8)腰椎の不安定性による腰痛(脊椎分離すべり症、変性すべり症)
(9)内科や泌尿器科や産婦人科の病気
(10)形態異常
原因を骨の状態に求める傾向が強い。それでも原因のわからないものを最近では心理要因にする傾向がある
伝統医学.....状態を探る
四診法から「五臓」「陰陽」「寒熱」「虚実」「表裏」「経絡」などの様子を知る。
このことから痛さの理由を把握する。
五臓...各五臓の原因による生体破損による痛み
陰陽...痛みのタイプの大括りな把握
寒熱...痛みが持つ勢いの把握
虚実...痛みを起こす病体の状態
表裏...痛みを起こすところの位置関係
経絡...痛みを起こす場所の限定

腰痛症の各医学の治療法
現代医学.....骨の状態の改善(骨状態の異常にのみ有効)
レントゲン撮影や骨密度の検査。
骨折、分離、ヘルニア、変形、脊柱管狭窄、骨粗鬆
などに応じて固定や手術、筋トレなどのリハ
伝統医学.....生体の平均化(骨折以外に有効)
伝統医学では、なぜ腰が痛いのかではなく“なぜ腰が痛いままなのか”を考える。
生活動作中に腰に負担がかかり続ければ腰痛は起こす。しかし痛さの持続は治癒能力により改善するはず。
その改善がなぜ起こらないかに対応する。
中医学.....
四診法から陽実証や肝熱証など伝統医学特有の言葉で、病状を細かく分類する。
治療は証から導き出せた関連経絡や経穴に、応じた刺激を加える。
経絡治療..
主に脈診から病体把握をし、証をたてる。証から導いた本治法は症状とは一切関係がない。
症状の軽減は標治法で対応。