2017年 3月 古典研究

栄衛三焦論の特徴
(1)二重の円の構造
地球と言う惑星は、外層の大気やオゾン層に包まれ、それによって有害な放射線を防御し、地球環境が維持されている。これによって、地上には大地の営みである四季の巡りや万物が生々流転する生命活動が行われている。
生体も、同様に二重の円の構造を持つものとして説明されている。「栄衛」とは生体に備わった働きであり、「三焦」はそれを行う生体の作用である。
外層の円として、外界から身体を防衛し内部環境を維持する働きが、広義の「栄衛」であり、この働きは、「宗・栄・衛三焦」が主る。内層の円の中で行われる狭義の「栄衛」の働きとは、「上・中・下三焦」によって行われる循環や栄養の生成と供給、代謝や恒常性の維持などの生理活動である。

(2)栄衛の働きと三焦の作用と五臓の関係
生命活動の中心は五臓の機能である。五臓すべてが一つの作用に対して、陰陽の調節や役割を分担しながら関わる。その作用の協調によって行われるものが、内外の「栄衛」である。
々義の「栄衛」と「宗・栄・衛三焦」
「宗」とは気を取り入れる呼吸作用であり、「栄」は形態を維持する栄養作用であり、「衛」は自然界と適応する性質の適応維持作用である。この各作用には、五臓が陰陽寒熱を調節する機構として関わる。例えば「宗」の呼吸作用においては、肝腎は吸気を深くして清気を取り入れることによって温め、心肺は呼気を深めて濁気を排出することによって冷やす。
狭義の「栄衛」と「上・中・下三焦」
生体内には、「気血津液」が流れ、体温を維持して「防衛」を行う。この働きを「衛気栄気」という。また、「三焦の原気」によって身体各部は栄養され形態が維持される。この働きを「衛気栄血」という。また、生体にはリズムがあり、昼間は活動し夜間は休息して回復を図る。このように、生体の代謝量に外界と適応したリズムを起こす働きを「栄衛の気」という。
これらは、生体内において行われる狭義の「栄衛」である。それらの原動力となるものが「上中下三焦」の作用である。上焦には循環作用があり、中焦には栄養輸布作用があり、下焦には調節と貯蔵の作用がある。これらの協調によって、上記の「栄衛」の働きが行われる。例えば、水分の循環においては、上焦が循環力の主体となり、内容である津液の生成には中焦が関わり、発汗や排泄による水分代謝は下焦の調節によって行われる。

(3)気・形・質概念に基づく生理学
あらゆる事象の働きには、エネルギー的要素、形態的要素、性質的要素があり、これらを「気・形・質」という。栄衛三焦論においては、これら異なる三要素の視点から、生理活動のメカニズムを説明している。
広義の「栄衛」における気・形・質は、「宗」「栄」「衛」の作用であり、狭義の「栄衛」では、気・血・津液、三焦の原気、代謝の調節である。