『漢方医学における生命活動の認識について』
相原黄蟹

生命活動の本質は、環境順応能力の防衛力と、それを維持するための兵站能力に集約
できる。(defenseprotection and impedimentasupply)
これを漢方医学上<衛><栄>と解釈整理している。
以下に要諦・構造について概略を論ずる。

防衛・栄養
リアルタイムでの元凶順応に当たるのが<衛>であり、
飲食店にたとえればフロアーにおける接客と裏方の調理や食器洗浄・廃棄物処理など
のフロントとバックに大別できる。
ここでは、客の注文に対して適切かつ速やかに飲食物を調理・提供することが求めら
れる。
つまり個別の事象に対し適切な物質的供給が求められるステージといえる。(フロン
トを外衛・バックを内衛)
それに対し、靱帯という総合生命システムを円滑に運営管理するためのシステムが<
栄>であり、
国歌における経済活動にたとえられる。
経済の要諦は、生産・分配・交換・消費一連の行為であり、
生命活動に必要な機能や構造を維持するために必要な栄養物質の安定供給のプロセス
もまた同様である。
簡保医学では、
身体の各目的部位に必要な栄養を選択的に直行移送する仕組みを<経営>とし
全身各部位に適切に分配由布する周行管理システムを<栄養>として区別している。
コルン尾様な仕組みは我が国における物流・ライフライン・などのシステムとフラク
タルでありまたトポロジカルでもあるといえる。
全社は、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵船・三井商船などであり、
後者は国土交通省・農林水産省・経済産業省・法務省などがこれに該当する。
このように生命活動は経済活動同様に様々な構成要素・構造によって構築されて運用
管理されている。
それら個別の役割分担の目的によって五臓六腑・十に経絡三焦・気血津液・宗栄衛・
先天後天などに分類整理され、
更にこれらを説明理解するために気・陰陽・五行・三陰三陽などの理論が用いられる

このようなことから、点滴や外科手術などができない我々鍼師にとって病態把握の要
諦は、原発部位の特定などではなく、
歪みを生じている各種システムの状況分析に基づく
各ステージ別アプローチの選択に特化することが必要となる。
現況認識にのみ着目するのであれば、極端な話し現病歴や履病歴など過去の情報など
に意味が無くなる。
今眼前にする病態を率直にシステムの管理状況を把握できるように努め、
その内容に基づいて改善変化を追求すれば良いと愚考する。
重ねて愚見を開陳させてもらえれば
「動き変化するものには対応可能であるが、動かない沈黙のものには対応法はない。

と常ずね痛感している。