古典研究2017年10月

 前回からの七十八難から七十九難・八十難は、刺鍼における補瀉の方法とその

限度を見極める治療の根本を論じている。


七十九難

取穴による迎随による補瀉について述べる。「本経における子母補瀉」

「迎随」迎は瀉、随は補

 迎えてこれをうばう、いずくんぞ虚することなきを得んや。随いてこれをひと

しくす、いずくんぞ実することなきを得んや。

キーワード: 「安」いずくんぞ 意味を強める。

「気の去来は、微妙!」

 「虚と実とは、得るがごとく、失うがごとし。」

キーワード: 「若」ごとし 「…のように」

「取穴による迎随」補母/瀉子

 「迎えてこれをうばうとは、その子(穴)を瀉すなり。随ってこれをすくうとは、

その母(穴)を補うなり。

 母子関係は五行(自然の廻り)

「押しでの感じ」いわゆる実と虚とは牢濡の意なり。

 気来ること実牢なるものを得るとなす。」「濡虚なるものを失うとなす。

 ここでいう虚実とは、病を治療した結果を意味している。

病実を瀉法によって邪気が虚した場合と、生気虚を補法で実しめた場合。


八十難

鍼の出入方法について論ずる

「刺入・抜鍼は、気がいたる、あるいは気がつきるのをうかがって行う。」

 あらわるることありて入れるがごとく、あらわるることありて出だすがごとし

とは何のいいぞや。

 しかるなり、いわゆる、あらわるることありて入れるがごとしとは、左手に気

のいたりてきたるをみて、後鍼を入れ、鍼を入れて、気のつきるをみて、鍼を出

だすをいう。

キーワード: 「有見」みることありて→あらわるることありて

何があらわれるのか?

キーワード: 「如」ごとし

…のようだ!

「押しでの下に感じる気の動きをみて、それに従い鍼を出し入れする。」

生気を補い邪気を出すような押しでの使い方を「・・・のごとし」のように表現。

「気の調整のための鍼」