20174月 古典研究

栄衛三焦論の特徴


(1)二重の円の構造

外円→対外栄衛=「衛」の防衛と「栄」の内部環境の統一

内円→体内栄衛=「衛気栄気」 「衛気栄血」 「栄衛の気」


(2)気・形・質概念に基づく生理学

あらゆる事象の働きには、無形のエネルギー的要素、有形の形態的要素、存在する意義である性質的要素があり、これを「気・形・質」という。衛栄三焦論においては、これら異なる三要素の視点から、生命活動のメカニズムを説明している。


(3)栄衛の働きと三焦の作用の関わり

生体のあらゆる生理活動は、「栄」と「衛」の働きとして表現され、それを行う主体が「三焦」の作用である。「栄」「衛」それぞれの働きには、「三焦」の各作用が関わる。

「対外栄衛」を行う主体は「宗・栄・衛三焦」であり、「体内栄衛」を行うものは「上・中・下三焦」である。


(4)作用と五臓の関係

一つの作用には、すべての五臓が関わる。作用には、増加・促進・亢進させる陽と、減少・停滞・後退させる陰の働きがある。その陰陽、強弱の調整は、五臓の機能によって行われる。

陰中の陽である肝は、陽を伸ばす。陽中の陽である心と脾は、陽を盛んにする。陽中の陰である肺は、陰を育てる。陰中の陰である腎は、陰を強くする。これが、作用に対する五臓の機能である。

生命活動の中心は五臓の機能である。五臓すべてが一つの作用において陰陽を調節する機能として関わる。これは、五臓相互間の拮抗と協調のもとに行われるものであり、役割分担しながら、作用の強弱の調節に関わる。その作用の集合と協調によって行われるものが、内外の「栄衛」である。