2018-8/19 文京鍼研究会 ~尺膚診体験会~ 経絡治療(古典鍼灸)のいろは 当会の治療法の内容 治療のメインとなるのが本治法です。本治法では肘から先と膝から先の五行穴を使います。 各経絡のそれぞれに五行穴がありますが、使う五行穴を特定するために、まず経絡を選びます。 その経絡を選ぶ作業が証です。 証とは、望聞問切という診察法から得たデータを東洋医学の理論で解析し、あらかじめ用意された治療パターンのどれかを特定する方法です。証によって経絡を選出し、さらにその体を細かく観察し、経絡の中の五行穴のうちから使用する経穴を絞り本治法となります。 当会では肝経を使えば肝の証、肺経を使えば肺の証と言います。 使うのは「手の太陰肺経」、「足の太陰脾経」、「足の厥陰肝経」、「足の少陰腎経」。 これら4つが予め用意された治療パターンですが、診察と理論によって、その一つを選びます。 診察法の望聞問切のうちの切が、切=接、触診のことで、触診の中に脈診や今回のテーマとなる尺膚診があります。 尺膚診を含めて証を立てるためには、診察の技術と解析の理論が必要です。   診察の技術 古典医学が対象としたものは、その時折の自律神経の状態です。気候や心情、気分や疲労、ストレスや飲食、睡眠や肉体動作など、様々な要素に対応する自律神経。これらに肉体はどんな反応をしているのか?人体が示すその微細な変化を観察して拾い上げる作業が診察法です。 望聞問切のそれぞれに技術はあります。特に切は直接手を使うため、具体的な解説が出来ます。     触診や鍼治療の技術の基本は、その接触の際のストレスが”0”に近いこと。そのためには手を軽くし、その手の軽さには姿勢と脱力が必要であり、その支えとして足の立ち位置があります。 この手や姿勢や立ち位置が、脈診や尺膚診をし使用穴を特定し、押手や刺手をするという一連の技術をつなげます。   解析の理論 東洋医学の基本理論に陰陽論と五行論があります。 陰陽論は物事を二つに分け、双方を比較対立させて、その状況や性質を確認する論法です。 五行論は陰陽論によって確認された性質を五つに分類して、五行のいずれかに状況を絞り、対応内容を限定するための理論です。 陰陽論と五行論によって原因や状態、予後や治療内容など、様々な解析ができます。   尺膚診に向けて 術者の手や身体による技術と、陰陽論や五行論による人体深部への洞察の展開。 経絡治療は単なる決め事の治療法則ではなく、技を深め智を拡げることでより個々の患者に対しての、オーダーメイドな医療の提供が可能です。 そんな治療スキルの入り口として尺膚診は、手の技術で得た触診の情報、その情報を陰陽で分別し五行で分類するというプロセス、分別と分類からの解析とその実行を、比較的容易に習得し体現することができます。