「冷え症」とは、
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「冷やされた」場合とは寒い中にいた場合です。生体が寒さにさらされたとき寒さの浸入と体温の放出を、毛穴を閉じて対応します。このとき寒さを感じ体表は冷たくなりますが、病の状態ではありません。一般的な防寒対策として環境に相応した衣服の着用があります。裸のままで毛穴を閉じた程度では、寒さへの対応に限界があるためです。その限界点には個人差があって、体力によって左右されます。またその時の体調によっても代わります。そして防寒対策が間に合わなかったり体調や体力の状態で、寒さに対応する限界点が破られます。これが病の始まりです。この後、悪寒がして発熱や咳、下痢や関節痛などが発症します。
この毛穴を閉じるという作用が寒さに対応しきれなくなった手前からが、正気と邪気の抗争の始まりであり第一防衛ラインである‘衛’の破れになります。
五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |
五臓 |
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五悪 |
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五味を禁づる所、辛は気に走り、気を病めば辛の多食を無す。鹹は血に走り、血を病めば鹹の多食を無す。苦は骨に走り、骨を病めば苦の多食を無す。甘は肉に走り、肉を病めば甘の多食を無す。酸は筋に走り、筋を病めば酸の多食を無す。是れ五禁と謂い、多食を無令する。 五病所發: 陰病發於骨, 陽病發於血, 陰病發於肉, 陽病發於冬, 陰病發於夏, 是謂五發 五病の発するところ、陰病は骨に於いて発する、陽病は血に於いて発する、陰病は肉に於いて発する、陽病は冬に於いて発する、陰病は夏に於いて発する。是れ五発と謂う。 |
肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
中風 | 傷暑 | 飮食勞倦 | 傷寒 | 中湿 |
「暖まらない」とは、外的環境に体内環境が対応し切れていない場合に起こります。厚着をしたり暖房をたいていても寒いときは、正気と邪気の抗争というよりも正気そのもののが衰退しています。原因は様々で、栄養不足、睡眠不足、過労、病み上がりなどです。ところが「冷え症」の場合は特に大きく作用する原因もなく、慢性的に体の状態が「冷え」になっています。
実は人体は四季の移ろいに対応すべく、その内部環境を変化させています。それが「難経七難の三陰三陽の変化」です。その対応を脈状という形で、旺脈として表現しています。冬至の後から少陽として始まるわけですが、寒い頃が陽で夏至を過ぎたあたりから太陰として陰に転換するのは、外的環境への対応措置といえます。
例えばどういうことかというと、同じ27℃であっても夏と冬では感じ方が違います。夏は暑さに対応するため体の機能を低下させて、体温の生産を抑えたりなるべく毛穴を解放しておくようにします。そのため夏の27℃は涼しく感じます。冬は逆になります。この対応がうまくいかなくなっているケースが「冷え症」につながります。
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陰中の少陽 | 陰中の陽 | 陰中の陽 | 陰中の陰 | 陰中の少陰 | 陰の絶陰 |
第一章 黄帝問いて曰く、余は天に陽、地に陰、日は陽、月は陰と聞いた。月の大小にて一年を三百六十日と成し、人は応ずる。ここに三陰三陽があって陰陽に応ぜずとは如何なる事か? 岐伯對曰: 陰陽者, 數之可十, 推之可百, 數之可千, 推之可萬, 萬之大不可勝數, 然其要一也. 岐伯曰く陰陽は十でも百でも千でも萬でもいくら分けても良く、それでも不十分であっても, 然るにその要は一つなり。 天覆地載, 萬物方生, 未出地者, 命曰陰處, 名曰陰中之陰; 天は覆い地は載せる、万物は地より生まれ未だ出づ。命曰く陰處、名曰く陰中之陰。 則出地者, 命曰陰中之陽. 陽予之正, 陰為之主. すなわち地より出るは、命曰く陰中之陽、陽は正を予え、陰は主を為す。 故生因春, 長因夏, 收因秋, 藏因冬, 失常則天地四塞. 陰陽之變, 其在人者, 亦數之可數. 故に生は春に因り、長は夏に因り、收は秋に因り、藏は冬に因る。常を失えば則ち天地四塞、陰陽の変、それ人に在れば、いくつもの分別が可。 第二章 岐伯曰く、聖人は面を南にして立ち、前を曰く廣明、後を曰く太衝、太衝の地、名を曰く少陰、少陰の上、名を曰く太陽、太陽の根は至陰に於いて起き、命門に於いて結び、名を曰く陰中の陽。 身の中ほどより上、名を曰く廣明、廣明の下、名を曰く太陰、太陰の前、名を曰く陽明、陽明の根は勵兌に於いて起き、名を曰く陰中の陽。 厥陰の表、名を曰く少陽、少陽の根は竅陰に於いて起き、名を曰く陰中の少陽。 是れ故に三陽の離合なり、太陽は開を為し、陽明は闔を為し、少陽は樞を為す。三經は、互いを得らざえば失うなり。搏は浮いてはならず、命に曰く一陽。 第三章 岐伯曰く、外は陽を為し、内は陰を為し、然るに則ち中は陰を為し、その衝の下に在るは、名を曰く太陰、太陰の根は隱白に於いて起き、名を曰く陰中の陰。 太陰の後、名を曰く少陰、少陰の根は涌泉に於いて、名を曰く陰中の少陰。 少陰の前、名を曰く厥陰、厥陰の根は大敦に於いて起き、陰の絶陽、名を曰く陰の絶陰。 是れ故に三陰の離合なり。太陰は開を為し、厥陰は闔を為し、少陰は樞を為す。三三經は、互いを得らざえば失うなり。搏は浮いてはならず、命に曰く一陰。陰陽、積傳は一周を為し、氣は表にて形を為し相成るなり。 |
先ほどの正気と邪気の抗争は‘気’への処置ですが、それは‘虚実’が目的でした。この場合は生体機能の盛衰ですから‘寒熱’が目的です。
もう一つの捉え方として‘血於’と‘血虚’があります。‘血於’は血の滋養作用が上手く行き渡らない場合で‘血虚’は滋養作用そのものが低下した場合です。どちらも寒熱を促します。
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この場合、食事療法なども有用です。
エスニック料理がブームで、体が冷えて困るのでわざわざ辛い物を食べて暖まったと錯覚している人が多く、返って体を冷やしていることを知って欲しいと思います。
甘い物を好む場合は、体の燃焼能力が落ちている場合が多く、そのため燃焼量の多い甘さを欲しがるわけです。
この場合は運動療法が有用です。
早足で歩幅の広いウォーキングがブームですが、最も適切な効果が得られるので奨めてみてもいいかと思います。これは「便秘」「汗が出にくい」「小便の回数が少ないもしくは極端に少ない日と多い日のどちらか」の改善にもつながります。
「薬好き」「方向感覚が悪い」「会話に要点のまとまり感がない」「思考が悲壮的傾向」「寂しがり的傾向」は当然ながら精神的な部分の問題を抱えているのですが、治療経過を見ながら観察していくようにして、立ち入りすぎない範囲で徐々に話を聞いていくことも大切です。
ほとんどの場合、「肩こり」「腰痛」「婦人科系疾患」を主訴として治療を希望します。まずはその対応を心がけながら、「冷え症」の改善をはかっていくようにしていくことが大切かと思います。
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速い | 遅い | 速い | 遅い | 速い | 遅い | 速い | 遅い |
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