‘虚’‘実’と言う字

虚という文字の字源形は で、もとの意味は都の跡。虚という文字の下の部分ので、これは‘丘’という意味です。丘とは墳丘の意味で、古くは聖所を作り墓地を営んだようです。古代王朝の都城の址(あと=跡;建物の土台。また、そのあとに残ったもの)を虚址(きょし)といい、ここからもとは繁栄していたが今は現存しないという意味に膨らみました。
学研の辞書には「漢方医学では、精気や血液がなくなって、うつろになったさま」とあります。
実という文字のもとは‘實’。その字源形はで、から成ります。は廟(びょう。やしろ。みたまや。祖先をまつる堂)や政治的屋楼。貫は銭貝をつなげた形で‘實’としたときに財産の充実や王朝の発展を意味しました。
宗廟に連ねた銭貝を持ち入れることは従者の誠意を意味し、誠実という偽りのない象徴で‘事実’や‘真実’となり、後に木の実の意味となった。
古くから‘虚実’というカップリングの語で、医学の場合その状態を‘虚’という言葉で表したことに重点があり、‘実’の方は慣例として付いた様であるといえます。