素問
經脈別論篇第二十一
第一章黄帝問曰: 人之居處動靜勇怯, 脈亦為之變乎.
岐伯對曰: 凡人之驚恐恚勞動靜, 皆為變也. 是以夜行則喘出於腎, 淫氣病肺. 有所墮恐, 喘出於肝, 淫氣害脾. 有所驚恐, 喘出於肺, 淫氣傷心. 度水跌仆, 喘出於腎與骨, 當是之時, 勇者氣行則已, 怯者則著而為病也. 故曰: 診病之道, 觀人勇怯, 骨肉皮膚, 能知其情, 以為診法也.

黄帝問いて曰く、人の居処や動静や勇怯、脈の変をまた為すのか?

岐伯對(向)いて曰く、凡(おおよそ)の人は驚恐怒や労や動静、 皆変を為すなり。是れ以て夜行の喘は腎に於いて出るに%" ALIGN="CENTER">



難経の輸穴


六十二難
◆六十二難曰.藏井けい有五.府獨有六者.何謂也.

臓は井けいが五と有り、腑では六と有るのはなぜか?

然.府者.陽也.三焦行於諸陽.故置一兪.名曰原.府有六者.亦與三焦共一氣也.


府は陽也。三焦は諸陽に於いて行く。故に一兪を置いて、名は原と曰う。腑に六有りは、三焦に興った一気を共にしたなり。


六十三難
◆六十三難曰.十變言.五藏六府合.皆以井爲始者.何也.

十変に言う。五藏六府の合は、皆井を以て始まるとはどういうことか?

然.井者,東方春也.

井は東方で春、つまり時間と空間を意味する両方の木性を有する。

萬物之始生.諸き行喘息.けん飛蠕動.當生之物.莫不以春而生.故歳數始於春.日數始於甲.故以井爲始也

万物の始まりを生じ、虫は息を荒らしてはい出し、飛び廻るようになる。その作用で生じた物は春に生まれるのであって暮れることはない。日数は甲(きのえ-木の陽)に於いて始まる。ゆえに井は始まり也。


六十四難

◆六十四難曰.十變又言.陰井木.陽井金.陰火.陽水.陰兪土.陽兪木.陰經金.陽經火.陰合水.陽合土.陰陽皆不同.其意何也.

六十四難曰く、十変に又言う。
陰の井穴は木.陽の井穴は金.陰の穴は火.陽の穴は水.陰の兪穴は土.陽の兪穴は木.陰の經穴は金.陽の經穴は火.陰の合穴は水.陽の合穴は土.陰と陽が皆同じではない.其の意味は何か?

然.是剛柔之事也.陰井乙木.陽井庚金.陽井庚.庚者乙之剛也.陰井乙.乙者庚之柔也.乙爲木.故言陰井木也.庚爲金.故言陽井金也.餘皆倣此.

是は剛柔の事也。
陰の井穴は乙(きのと-木の陰)木。陽の井穴は庚(かのえ-金の陽)金。陽の井穴は庚(かのえ-金の陽)。庚(かのえ-金の陽)なる者は乙(きのと-木の陰)の剛也。
陰の井穴は乙(きのと-木の陰)。乙(きのと-木の陰)なる者は庚(かのえ-金の陽)の柔也。乙(きのと-木の陰)は木となす。故に陰井は木と言う。庚(かのえ-金の陽)は金となす。故に陽井は金と言う。他も皆、此に倣(ならう。並べてみて、同じようにまねる)う。


六十五難
◆六十五難曰.經言.所出爲井.所入爲合.其法奈何.

經に言う。井は出の所、合は入の所。其の法はなにか?

然.所出爲井.井者.東方春也.萬物之始生.故言所出爲井也.

井は出の所、井は東方春なり。万物の始まりを生じる。故に井は出の所と言うなり。

所入爲合.合者.北方冬也.陽氣入藏.故言所入爲合也.

合は入の所、合は北方で冬なり。陽氣が臓に入る。故に合は入の所と言うなり。


六十六難
◆六十六難曰.經言.肺之原.出于太淵.心之原.出于太陵.肝之原.出于太衝.脾之原.出于太白.腎之原.出于太谿.少陰之原.出于兌骨.膽之原.出于丘墟.胃之原.出于衝陽.三焦之原.出于陽池.膀胱之原.出于京骨.大腸之原.出于合谷.小腸之原.出于腕骨.
十二經皆以兪爲原者.何也.
經に言う。
 肺の原は太淵に出、  心(心包?)の原は太陵に出、 肝の原は太衝に出、
 脾の原は太白に出、    腎の原は太谿に出、少陰の原は兌骨(神門?)に出、
 胆の原は丘墟に出、    胃の原は衝陽に出、三焦の原は陽池に出、
膀胱の原は京骨に出、   大腸の原は合谷に出、小腸の原は腕骨に出る。
十二経が皆兪を以て原となすとは何か?

然.五藏兪者.三焦之所行.氣之所留止也.

五臓の兪は三焦の行く所で、気の留止する所なり。

三焦所行之兪爲原者.何也.

三焦が行く所の兪は原とはどういうことか?

然.臍下腎間動氣者.人之生命也.十二經之根本也.故名曰原.三焦者.原氣之別使也.主通行三氣.經歴於五藏六府.原者.三焦之尊號也.故所止輒爲原.五藏六府之有病者.皆取其原也.

臍下の腎間の動気は人の生命なり。十二経の根本なり。故に名を原と曰う。三焦は原気の別使なり。主に三気を通行して、五藏六府に於いて經歴とする。原は三焦の尊号なり。故に止る所すなわち原とし、五藏六府の有する病は皆其の原を取るなり。


六十七難
◆六十七難曰.五藏募皆在陰.而兪在陽者.何謂也.

五臓の募は皆陰に在り、兪は陽に在るのはなぜか?

然.陰病行陽.陽病行陰.故令募在陰兪在陽.

陰の病は陽に行き、陽の病は陰に行く。故に募は陰に在り兪は陽に在ることになる。


六十八難
◆六十八難曰.五藏六府.各有井けい兪經合.皆何所主.
五臓六腑に、それぞれ井けい兪經合が有る。これらは何を主る所か?
然.經言.所出爲井.所流爲けい.所注爲兪.所行爲經.所入爲合.
経に言う。出の所を井、流の所をけい、注の所を兪、行の所を經、入の所を合。
井主心下滿.けい主身熱.兪主體重節痛.經主喘咳寒熱.合主逆氣而泄.
井は心下満を、けいは身熱を、兪は体重節痛を、經は喘咳寒熱、合は逆氣して泄を主る。
此五藏六府.其井兪經合所主病也.
此れ五臓六腑の井兪經合が主る所の病なり。


◆七十三難曰.

諸井者.肌肉淺薄.氣少不足使也.刺之奈何.

それぞれの井は肌肉が浅薄し、気が少なく使うのには不足なり。どのように刺すのか?
然.諸井者木也.けい者火也.火者木之子.當刺井者.以けい瀉之.
それぞれの井は木なり。けいは火なり。火は木の子。井を刺すべきは、けいを以て瀉す。

故經言.補者不可以爲瀉.瀉者不可以爲補.此之謂也.

故に経に言う。補は瀉さず、瀉は補さず、此れを謂うなり。


十六難曰く、

脉有三部九候.有陰陽.有輕重.有六十首.一脉變爲四時.離聖久遠.各自是其法.何以別之.

脈に三部九候、陰陽、輕重、六十首有り。一脈は四時に変をなし、聖から離れて遠く久しく、各自は是れ其の法を、どのように別けているのか?

然.是其病有内外證.

是れ其の病、内外に証有り。

其病爲之奈何.

其の病、何となすか?

然.假令得肝脉.其外證.善潔.面青善怒.其内證.齊左有動氣.按之牢若痛.其病四肢滿閉.淋溲便難.轉筋.有是者肝也.無是者非也.

假令得心脉.其外證.面赤.口乾.喜笑.其内證.齊上有動氣.按之牢若痛.其病煩心.心痛.掌中熱而.有是者心也.無是者非也.

假令得脾脉.其外證.面黄.善噫.善思.善味.其内證.當齊有動氣.按之牢若痛.其病腹脹滿.食不消.體重節痛.怠墮嗜臥.四肢不收.有是者脾也.無是者非也.

假令得肺脉.其外證.面白善嚔.悲愁不樂.欲哭.其内證.齊右有動氣.按之牢若痛.其病喘咳.洒淅寒熱.有是者肺也.無是者非也.

假令得腎脉.其外證.面黒.喜恐.欠.其内證.齊下有動氣.按之牢若痛.其病逆氣.少腹急痛.泄如下重.足脛寒而逆.有是者腎也.
無是非者也

外證

腹診

内證
得肝脉 善潔 面青善怒
齊左有動氣,
按之牢若痛
其病四肢滿閉 淋溲便難 轉筋
得心脉 面赤 口乾 喜笑
齊上有動氣,
按之牢若痛
其病煩心 心痛 掌中熱,空えずき
得脾脉 面黄 善噫 善思 善味
當齊有動氣,
按之牢若痛
其病腹脹滿 食不消 體重節痛 怠墮嗜臥 四肢不收
得肺脉 面白善嚔 悲愁不樂 欲哭
齊右有動氣,
按之牢若痛
其病喘咳 洒淅寒熱
得腎脉 面黒 喜恐欠
齊下有動氣,
按之牢若痛
其病逆氣 少腹急痛 泄如下重 足脛寒而逆
十七難曰く、

經言.病或有死.或有不治自愈.或連年月不已.其死生存亡.可切脉而知之耶.

或:ある。不定のものをさすことば。
已:そこまででやめる。中止する。

經に言う。病には死有るもの、治療しなくても自ら愈すもの、ある年月連らなって已まぬもの。其れらの死生存亡を、切脈により知るのは可か?

然.可盡知也.診病.若閉目不欲見人者.脉當得肝脉.強急而長.而反得肺脉.浮短而澁者.死也.

若:もし。仮定をあらわすことば。
盡:つきる(ツク)。つくす。残りなく出してしまう。ありったけを費やす。=尽

知りつくすは可なり。病診て、もし目を閉じたまま人を見たがらない者、脉あたること肝脈を得、強急で長。反して肺脈を得、浮短で渋、死なり。

病若開目而渇.心下牢者.脉當得緊實而數.反得沈濡而微者.死也.

病もし目を開け渇わいて、心下の牢なるものは、脈まさに緊実を得そして数。反して沈濡を得そして微なるものは死なり。

病若吐血.復衄血者.脉當沈細.而反浮大而牢者.死也.

衄:はなぢ。ねばねばしたはなぢ。

吐血する病で、なんども鼻血を出してつまるもの、脉あたること沈細。反して浮大で牢、死なり。

病若譫言妄語.身當有熱.脉當洪大.而反手足厥逆.脉沈細而微者.死也.

譫:たわごと(タハゴト)。口数多くしゃべる。とりとめもなくしゃべることば。また、うわごと。

譫言妄語、身に熱有りて、脉あたること洪大。反して手足厥逆で、脈沈細で微、死なり。

病若大腹而泄者.脉當微細而澁.反緊大而滑者.死也.

腹大にして泄なる者。脉あたること微細で渋。反して緊大で滑、死なり。

三十一難曰く、

三焦者.何稟何生.何始何終.其治常在何許.可暁以不.

三焦は、何を稟し(受け)何えお生じ、何に始まり何に終り、其の治は常に何許(いずく)に在るか?暁す(あきらか)可を以て不か?

然.三焦者.水穀之道路.氣之所終始也.
上焦者.在心下下膈.在胃上口.主内而不出.其治在中.玉堂下一寸六分.直兩乳間陷者是.

三焦は水穀の道路にて気の終始する所なり。上焦は心下の下膈に在って、胃の上口に在り、内にいるを主りそして不出。其の治は中在り。玉堂の下一寸六分、両乳間の陷に是れ直る。

中焦者.在胃中.不上不下.主腐熟水穀.其治在齊傍.
中焦は、胃の中に在って、上でも下でもなく、水穀の腐熟を主る。其の治は臍の傍らに在る。

下焦者.當膀胱上口.主分別清濁.主出而不内.以傳導也.其治在齊下一寸.

下焦は、膀胱の上口当たる。清濁の分別を主り、出を主とし内にいれない。以て傳導なり。其の治臍の下一寸に在る。

故名曰三焦.其府在氣街.

故に名を三焦と曰う。其の腑は気街に在る。

四十九難曰く、

有正經自病.有五邪所傷.何以別之.

正経自病有り。五邪の所傷有り。何を以て別かつのか?

然.經言.憂愁思慮則傷心.形寒飮冷則傷肺.恚怒氣逆.上而不下.則傷肝.飮食勞倦則傷脾.久坐濕地.強力入水則傷腎.是正經之自病也.

恚怒(イド):いかる。心をかどだてる。

経に言う。憂愁思慮則ち傷心。形寒飮冷則ち傷肺。恚怒は気逆して上がりて下らぜば、則ち傷肝。飮食勞倦則ち傷脾。久しく湿地で座し、力強くして入水す則ち傷腎。是れ正経の自病なり。

何謂五邪.

何を五邪と謂うのか?

然.有中風.有傷暑.有飮食勞倦.有傷寒.有中濕.此之謂五邪.

中風有り。傷暑有り。飮食勞倦有り。傷寒有り。中湿有り。此れを五邪と謂う。

假令心病.何以知中風得之.

令:「令+A(人)+B(動詞)」の形で用い、「AをしてBせしむ」と訓読する。命令してさせるの意から。

仮に心病をして、何を以て中風を得せしむと知るか?

然.其色當赤.何以言之.肝主色.自入爲青.入心爲赤.入脾爲黄.入肺爲白.入腎爲黒.肝爲心邪.故知當赤色也.其病身熱脇下滿痛.其脉浮大而弦.

その色は赤に当す。何を以て言うのかは、肝は色を主る。自らに入りては青をなし、心に入りては赤をなし、脾に入りては黄をなし、肺に入りては白をなし、腎に入りては黒をなす。肝は心の邪になされ、故に赤色に当すと知るなり。其の病は身熱で脇下が満痛して、其の脈は浮大で弦。

何以知傷暑得之.

何を以て傷暑を得たと知るか?

然.當惡臭.何以言之.心主臭.自入爲焦臭.入脾爲香臭.入肝爲臭.入腎爲腐臭.入肺爲腥臭.故知心病傷暑得之當惡臭.其病身熱而煩.心痛.其脉浮大而散.

それは悪臭に当す。何を以て言うのかは、心は臭を主る。自らに入りては焦臭をなし、脾に入りては香臭をなし、肝に入りては臭をなし、腎に入りては腐臭をなし、肺に入りては腥臭をなす。故に知るは心の病は傷暑して悪臭の当を得る。其の病は身熱で煩、心痛。其の脈は浮大で散。

何以知飮食勞倦得之.

何を以て飮食勞倦を得たと知るか?

然.當喜苦味也.虚爲不欲食.實爲欲食.何以言之.脾主味.入肝爲酸.入心爲苦.入肺爲辛.入腎爲鹹.自入爲甘.故知脾邪入心爲喜苦味也.其病身熱而體重嗜臥.四肢不收.其脉浮大而緩.

嗜:たしなむ。すきこのみ、それに親しむことが長い間の習慣となる。

苦味に喜に当すなり。虚は食を欲っしなく、実は食を欲っす。何を以て言うのかは、脾は味を主る。肝に入りては酸をなし、心に入りては苦をなし、肺に入りては辛をなし、腎に入りては鹹をなし、自らに入りては甘をなす。故に知るは脾の邪は心に入りての苦味に喜すなり。其の病は身熱で体重く臥するをこのむ。四肢收まらず、其の脈は浮大で緩。

何以知傷寒得之.

何を以て傷寒を得ると知るか?

然.當譫言妄語.何以言之.肺主聲.入肝爲呼.入心爲言.入脾爲歌.入腎爲呻.自入爲哭.故知肺邪入心.爲譫言妄語也.其病身熱.洒洒惡寒.甚則喘咳.其脉浮大而渋.

洒洒:水をかけたようにゾクゾク

譫言妄語に当す。何を以て言うかは、肺は声を主る。肝に入りては呼をなし、心に入りては言をなし、脾に入りては歌をなし、腎に入りては呻をなし、自らに入りては哭をなす。故に知るは肺の邪は心に入りての譫言妄語なり。其の病は身熱でゾクゾクと悪寒して、甚しきは喘咳に則る。其の脈は浮大で渋。

何以知中濕得之.

何を以て中湿を得たと知るか?

然.當喜汗出不可止.何以言之.腎主液.入肝爲泣.入心爲汗.入脾爲涎.入肺爲涕.自入爲唾.故知腎邪入心爲汗出不可止也.其病身熱而小腹痛.足脛寒而逆.其脉沈濡而大.此五邪之法也.

汗がよく出て止らずに当す。何を以て言うかは、腎は液を主る。肝に入りては泣をなし、心に入りては汗をなし、脾に入りては涎をなし、肺に入りては涕をなし、自らに入りては唾をなす。故に知るは腎の邪は心に入りて汗が出て止ずなり。其の病は身熱で小腹が痛む。足脛が寒く逆す。其の脈は沈濡で大。此れ五邪の法なり。

五十六難曰く、

五藏之積.各有名乎.以何月何日得之.

五臓の積.各名は有るのか?以て何月何日に得るか?

然.肝之積.名曰肥氣.在左脇下.如覆杯.有頭足.久不愈.令人發咳逆瘧.連歳不已.以季夏戊己日得之.何以言之.肺病傳於肝.肝當傳脾.脾季夏適王.王者不受邪.肝復欲還肺.肺不肯受.故留結爲積.故知肥氣以季夏戊己日得之.

肝の積、名を肥気と曰い、左の脇下に在って、覆杯の如く、頭足が有る。久しく愈さずして、人をして咳逆、瘧を発せしみ、歳を連なりても已まず。以て夏季の戊己(つちのえつちのと)の日に得る。何を以て言うかは、肺の病は肝に於いて伝わり、肝は脾に伝わりて当す。脾は夏季に適すこと王、王は邪を受ず。肝は肺に還り復すと欲す。肺は受けること不肯す。故に留め結して積す。故に肥気を知るは以て夏季の戊己(つちのえ。つちのと)の日を得る。

心之積.名曰伏梁.起齊上.大如臂.上至心下.久不愈.令人病煩心.以秋庚辛日得之.何以言之.腎病傳心.心當傳肺.肺以秋適王.王者不受邪.心復欲還腎.腎不肯受.故留結爲積.故知伏梁以秋庚辛日得之

心の積、名を伏梁と曰う。齊上に起き、大きさ臂(ひじ)の如く、上は心下に至る。久しく愈さず、人をして煩心を病せしむ。以て秋の庚辛(かのえ。かのと)の日を得ると何を以て言うかは、腎の病は心へ伝わり、心は肺に伝わりて当す。肺を以て秋に適すは王、王は邪を受ず。心は腎に還り復すと欲す。腎は受けること不肯す。故に留め結して積す。故に伏梁を知るは以て秋の庚辛(かのえ。かのと)の日を得る。

脾之積.名曰痞氣.在胃.覆大如盤.久不愈.令人四肢不收.發黄疸.飮食不爲肌膚.以冬壬癸日得之.何以言之.肝病傳脾.脾當傳腎.腎以冬適王.王者不受邪.脾復欲還肝.肝不肯受.故留結爲積.故知痞氣以冬壬癸日得之.

脾の積、名を痞氣と曰う。胃に在りて、覆して大きく盤の如く。久しく愈さず、人をして四肢の收まざれば、黄疸を発し、飮食は肌膚とならず。以て冬の壬癸(みずのえ。みずのと)の日を得ると何を以て言うかは、肝の病は脾へ伝わり、脾は腎に伝わりて当す。腎を以て冬に適すは王、王は邪を受ず。脾は肝に還り復すと欲す。肝は受けること不肯す。故に留め結して積す。故に痞氣を知るは以て冬の壬癸(みずのえ。みずのと)の日を得る。

肺之積.名曰息賁.在右脇下.覆大如杯.久不已.令人洒淅寒熱.喘咳發肺壅.以春甲乙日得之.何以言之.心病傳肺.肺當傳肝.肝以春適王.王者不受邪.肺復欲還心.心不肯受.故留結爲積.故知息賁以春甲乙日得之.

肺の積、名を息賁と曰う。右脇下りて、覆して大きく杯の如く。久しく已まず、人をして洒淅寒熱せしみ、喘咳発し肺壅す。以て春の甲乙(きのえ。きのと)の日を得ると何を以て言うかは、心の病は肺へ伝わり、肺は肝に伝わりて当す。肝を以て春に適すは王、王は邪を受ず。肺は心に還り復すと欲す。心は受けること不肯す。故に留め結して積す。故に息賁を知るは以て春の甲乙(きのえ。きのと)の日を得る。

腎之積.名曰賁豚.發於少腹.上至心下.若豚状.或上或下無時.久不已.令人喘逆.骨痿少氣.以夏丙丁日得之.何以言之.脾病傳腎.腎當傳心.心以夏適王.王者不受邪.腎復欲還脾.脾不肯受.故留結爲積.故知賁豚以夏丙丁日得之.此是五積之要法也.

腎の積、名を賁豚と曰う。少腹に於いて発す。上りて心下に至り、豚状の若く、或るいは上りて或るいは下りて時は無し。久しく已まず、人をして喘逆せしみ、骨は痿えて気は少し。以て夏の丙丁(ひのえ。ひのと)の日を得ると何を以て言うかは、脾の病は腎へ伝わり、腎は心に伝わりて当す。心を以て夏に適すは王、王は邪を受ず。腎は脾に還り復すと欲す。脾は受けること不肯す。故に留め結して積す。故に賁豚を知るは以て夏の丙丁(ひのえ。ひのと)の日得を得る。此れ是の五積の要法なり。

五十七難曰く、

泄凡有幾.皆有名不.

泄は一般的に幾らか有る。それらに名は有るのかないのか?

然.泄凡有五.其名不同.有胃泄.有脾泄.有大腸泄.有小腸泄.有大泄.名曰後重.

泄は一般的に五つ有る。其の名は同じではない。胃泄、脾泄、大腸泄、小腸泄、大泄が有り、名は曰く後重という。

胃泄者.飮食不化.色黄.脾泄者.腹脹滿.泄注.食即嘔吐逆.大腸泄者.食已窘迫.大便色白.腸鳴切痛.小腸泄者.溲而便膿血.少腹痛.大泄者.裏急後重.數至而不能便.莖中痛.此五泄之法也.

此れ五泄の法なり。

胃泄 脾泄 大腸泄 小腸泄
飮食不化 腹脹滿 食已窘迫 溲而便膿血 裏急後重
色黄 泄注 大便色白 少腹痛 數至而不能便
食即嘔吐逆 腸鳴切痛 莖中痛

"#990000">藏主冬,  冬刺井.
色主春,  春刺けい.
時主夏,  夏刺輸.
音主長夏, 長夏刺經.
味主秋,  秋刺合,
是謂五變, 以主五輸.
(親-季節モ子-穴)
けい
長夏
黄帝曰: 諸原安合, 以致六輸. どうしてそれぞれに原を合わせて六輸に到るのか?
岐伯曰: 原獨不應五時, 以經合之,
以應其數, 故六六三十六輸.
原のみ五時に応じない。経を以て合るとし、それ数にて応ずる。
故に六×六=三十六輸。
黄帝曰: 何謂藏主冬, 時主夏, 音主長夏, 味主秋, 色主春, 願聞其故. なぜ臓は冬を、時は夏を、音は長夏を、味は秋を、色は春を主るのかお聞かせ願いたい。
岐伯曰: 病在藏者, 病は臓に在る。
取之井. 病變於色者, 井を取るのは、色に於いて病変とし、(木-木)
取之. 病時間時甚者, を取るのは、甚しい時を病時とし、(火-火)
取之輸. 病變於音者, 輸を取るのは、音に於いて病変とし、(土-土)
取之經. 經滿而血者, 病在胃,
乃以飲食不節得病者,
經を取るのは、經が血で満ちれば病は胃に在る。
飲食の不節制を以て病を得る。(金-土?)
取之於合, 故命曰味主合. 合に於いて取るのは、故に命曰く味は合を主る。(水-金)
是謂五變也.
これ五変に謂うなり。
霊枢
九鍼論第七十八
五藏氣, 心主噫, 肺主咳, 肝主語, 脾主呑, 腎主欠.
六府氣, 膽為怒, 胃為氣逆, 大腸小腸為泄, 膀胱不約為遺溺, 下焦溢為水.
五味, 酸入肝, 辛入肺, 苦入心, 甘入脾, 鹹入腎, 淡入胃, 是謂五味.
五并, 精氣并肝則憂, 并心則喜, 并肺則悲, 并腎則恐, 并脾則畏, 是謂五精之氣, 并於藏也.
五惡, 肝惡風, 心惡熱, 肺惡寒, 腎惡燥, 脾惡濕, 此五藏氣所惡也.
五液, 心主汗, 肝主泣, 肺主涕, 腎主唾, 脾主涎, 此五液所出也.
五勞, 久視傷血, 久臥傷氣, 久坐傷肉, 久立傷骨, 久行傷筋, 此五久勞所病也.
五走, 酸走筋, 辛走氣, 苦走血, 鹹走骨, 甘走肉, 是謂五走也.
五裁, 病在筋, 無食酸,  病在氣, 無食辛,  病在骨, 無食鹹,  病在血, 無食苦,  病在肉, 無食甘, 口嗜而欲食之, 不可多也, 必自裁也, 命曰五裁.
五發, 陰病發於骨, 陽病發於血, 陰病發於肉, 陽病發於冬, 陰病發於夏.
五邪, 邪入於陽, 則為狂,  邪入於陰, 則為血痺,  邪入於陽, 轉則為癲疾,  邪入於陰, 轉則為, 陽入之於陰, 病靜, 陰出之於陽, 病喜怒.
五藏, 心藏神, 肺藏魄, 肝藏魂. 脾藏意, 腎藏精志也.
五主, 心主脈, 肺主皮, 肝主筋, 脾主肌, 腎主骨.

五藏氣 心主噫 肺主咳 肝主語 脾主呑 腎主欠
六府氣 膽為怒 胃為氣逆 大腸小腸為泄 膀胱不約為遺溺 下焦溢為水
五味 酸入肝 辛入肺 苦入心 甘入脾 鹹入腎 淡入胃
五并精氣 并肝則憂 并心則喜 并肺則悲 并腎則恐 并脾則畏
五惡 肝惡風 心惡熱 肺惡寒 腎惡燥 脾惡濕
五液 心主汗 肝主泣 肺主涕 腎主唾 脾主涎
五勞 久視傷血 久臥傷氣 久坐傷肉 久立傷骨 久行傷筋
五走 酸走筋 辛走氣 苦走血 鹹走骨 甘走肉
五裁 病在筋, 無食酸 病在氣, 無食辛 病在骨, 無食鹹 病在血, 無食苦 病在肉, 無食甘
五發 陰病發於骨 陽病發於血 陰病發於肉 陽病發於冬 陰病發於夏
五邪
邪入於陽,
則為狂
邪入於陰,
則為血痺
邪入於陽,
轉則為癲疾
邪入於陰,
轉則為
陽入之於陰,
病靜
陰出之於陽, 病喜怒
五藏 心藏神 肺藏魄 肝藏魂 脾藏意 腎藏精志
五主 心主脈 肺主皮 肝主筋 脾主肌 腎主骨


三十四難
◆三十四難曰.五藏各有聲色臭味.可暁知以不.

各五臓が有する声、色、臭、味とはなにか?

然.十變言.
肝色青.其臭.其味酸.其聲呼.其液泣.
心色赤.其臭焦.其味苦.其聲言.其液汗.
脾色黄.其臭香.其味甘.其聲歌.其液涎.
肺色白.其臭腥.其味辛.其聲哭.其液涕.
腎色黒.其臭腐.其味鹹.其聲呻.其液唾.
是五藏聲色臭味也.
五藏有七神.各何所藏耶.
然.藏者.人之神氣所舍藏也.
肝藏魂.肺藏魄.心藏神.脾藏意與智.腎藏精與志也
是れ五臓の声色臭味なり
臓とは、
人の神気の所蔵なり