虚と実 T実Uとは邪気の侵入に対して精気が闘っている状態です。 T虚Uとは精気が弱った状態です。 補と瀉 実の状態に対して邪気を取り除く作用をT瀉Uといいます。 意図的な手段として、瀉的に働く様に用いる方法を瀉法といいます。 虚の状態に対して精気を補う作用をT補Uといいます。 意図的な手段として、補的に働く様に用いる方法を補法といいます。 陰陽論 陰、陽はそれぞれが別々に機能するものでは有りません。二つのものをそれぞれ比べて観て、どちらかが“陰”どちらかが“陽”と解ります。また、完全な“陰”完全な“陽”と云う状態は無く、どんなものでもある程度は陰と陽が混ざり有っています。 陰と陽とは不変に固定された状態ではなく、二つのものを比較したときに片方が陰で片方が陽と言う分け方をします。 二階の床は二階の天井と比べると下で陰ですが、一階の天井と比べると上で陽になります。 また、物の陰陽の状態は常に変化していて陽になりきったとたん、陰へと転じます。 五行論 五行論とは自然界に存在する全ての現象や物質を“木、火、土、金、水”のいずれかに分類して性質や関係性を分析、弁証する為の考え方です。ですから“木”に分類されたものはどんな性質なのか、とか“木と火”や“木と土”では、どのような関係性があるかなどを知る事で、五行論から様々な事象の性質を理解することが出来ます。 陰陽と五行の関係性 陰・陽と言う二極が有り、陰から陽へもしくは陽から陰へ、と言う変化が有るため陰も陽もバランス良く有る中間点があります。 木、火、土、金、水と言う各五行がそれぞれもつ性質の一つとして、最も陽のものが“火”。最も陰のものが“水”。中間点が“土”になります。“火、土、水”は陰陽変化の中では両極と中央のためポイント的な意味合いがありますが、木と金に関しては全く別で陰陽変化そのものを意味しています。 “木”はものを伸ばす性質が有るため陰から陽へと変化させます。 “金”はものを縮める性質が有るため陽から陰へと変化させます。 四診法 望診・聞診・問診・切診を四診法といい、患者の状態を気の変化としてとらえる。  四診法によって得られた情報を陰陽または五行に分類する。 1:望診 神を観るー精神の表現や、生命の活力をT神Uと言います。   神を観るUとは顔面の光沢や目の光彩などを観て、その状態をうかがう事です。 色を診るー顔面全体や各部分、全身の皮膚の色沢を観察をします。 形態を視るー体格や動作を観察し体力や苦痛、麻痺の有無、精神状態を診ます。 舌を診るー舌の色や形、舌の表面に付く苔の様な物T舌苔Uを見て診察します。 顔面全体や全身の色と五臓の関係 五行 木 火 土 金 水 五臓 肝 心 脾 肺 腎 五色 青 赤 黄 白 黒 2:聞診 患者の話し方や発声法、話の内容、呼吸の状態を聞く。口臭や体臭を聞く。 五行    木  火     土       金     水 五臓    肝   心     脾       肺     腎 五声    呼  笑     歌       哭     呻 五音    角  徴     宮       商     羽       ミ  ソ     ド       レ     ラ       か行 た、な、ら行 あ、や、わ行   さ行    は、ま行       牙音 舌音    喉音      歯音    唇音 五香(臭)  羶  焦     香       腥     腐   あぶらくさい こげくさい かんばしくさい なまぐさい くされくさい 3:問診 睡眠・食欲・大小便の状態・病気の経過を聴く。 患者の訴えやその家族から得られた情報を分析し、日常生活の様子を診断の根拠にする方法です。 1.現病歴....病気の経過や生活環境、飲食起居、他の治療の経過などを聞いて下さい。 2.現在症....現在の症状を聞いて下さい。病人の症状に基ずいて系統的に質問して下さい。 4:切診 術者の手掌を用いて行う診察法であり、切経・候背・腹診・脈診に分かれる。 「A」切経 異常所見としては、寒熱、虚(關下・浮腫・枯燥)実(腫脹・圧痛・硬結)が現れる。  (1)全身の経絡上を見る。  (2)上下のバランスを見る。  (3)組織の変化を見る。 「B」候背腹診  (1)輸穴・募穴の寒熱・虚実を見る。  (2)五臓六腑の診察部位の寒熱・虚実・積聚を見る。 主に膨満したカ所を中心に毛穴の開きや閉じ、ざらつき皮膚の温度や硬さなどを診ます。 平人無病(健康)の人の腹 心窩部はやや低く、小腹はふっくらとしており任脈と臍はやや陥凹しています。 腹部全体としては暖かく潤いがあって軟らかさがあります。この様な状態を基準に診察します。 「C」脈診 左右の橈骨動脈の拍動部を見る。  (1)脈状診:脈全体の浮沈・遅数・虚実・左右差などを見て、邪気に対する生体 の 反応を見る。 どちらか片方もしくは両方の橈骨動脈拍動部の脈の状態その物を診察する方法です。どこかの脈と比べて強いとか弱いとかでは無く、今現在、指頭が触れている脈がどうか、と言うのが診察対象になります。  脈状診によって生体が季節の変化に順応しているかどうかや、傷害された邪気の内容や五臓の状態などを知ることが出来ます。  漢方医学では各季節には五臓のうちのいずれかが、中心となって働くと考えます。春には肝が夏には心がと言う様に、その臓が受け持つ脈が脈状として現われます。 五行 木  火  土    金    水 五臓 肝  心  脾    肺    腎 四季 春  夏  土用   秋    冬 五脈 弦 鈎(洪) 緩(代) 毛(渋)(浮) 石(滑)(沈) 六祖脈:浮・沈・遅・数・虚・実、と言う脈状を一般的には六祖脈とすることが多い様です。 七表の脈:陽性の脈で、浮・孔・滑・実・緊・弦・洪、の七つがあります。 八裏の脈:陰性の脈で、沈・緩・嗇・濡・遅・伏・微・弱、の八つがあります。 九道の脈:長・短・細・虚・動・牢・結・促・代、の九つを言います。  (2)比較脈診(六部定位脈診):脈診部位を寸口・関上・尺中に分け、十二内臓 を配当し、それぞれの虚実を見る 五臓と六腑 五臓(それぞれに働きを示す精気を持ち、生体活動の中核をなしています。) その精気を七神もしくは五精といい、各五臓と七神の関係は 肝ー魂  心ー神   脾ー意・智  肺ー魄  腎ー精・志 肝臓 魂・血・筋・爪・目・涙・将軍の官・疏泄 T肝Uの機能は大きく別けると2つ有ります。1つは「謀慮を主る」もう一つは「血の貯蔵と分配」です。無意識のうちに体に後天的な動きをさせる”魂”を蔵しています。 「謀慮」とは考慮(様々な要素や条件に対応するため良く考えること)する参謀(分析して計画をたて指導すること)の役割で病邪に対して抵抗するまるで軍隊を統率する様な役割があります。つまり「将軍の官」と言われます。  肝がしっかりしていれば,体の内外の環境の変化に素早く対応が出来て心身ともに健全でいられます。逆に弱っていると軽い邪気を受けただけでも体調を崩し,些細なことでも苛々したりクヨクヨします。 「血の貯蔵と分配」とは眠っているときは肝臓に血を集めておき,活動するときには適材適所に血を分配して行動を起こさせる働きをいいます。T肝は血の代表臓器Uで動くときは筋に適切に血を送るため「筋を主る」と言われます。T肝の疏泄作用Uと言うのがあってこれは舒展という隅々まで行き渡ると言う意味と,通暢という円滑で澱みが無いと言う意味があります。 心臓 神・血脈・顔・舌・汗・君主の官  生命の中核を主る中心的な器官です。どう言う事かというと臓腑全体の働きを総括し,精神活動の中枢を成しています。  ”神”を蔵するとは神は意識や思想活動の源で有り、しいては生命活動の源であります。この神を蔵する心臓は五臓六腑を主宰し精神活動を発祥するため「君主の官」と言います。  心臓は神明と血脈を主どるとは神明は精神、意識、思想活動をふくめた生命活動を言い血脈とは脈を介して血が全身にまわるように運行させ諸器官組織の活動を支えます。また,T脈Uと言う体表観察できる,生命現象を発生させる源になります。そしてその血の運行状態は顔色に反映されます。また舌を支配するので味覚や言語表現の働きをささえます。”暑”と親和性が有り、汗をかかせる作用が有ります。 心包または心包絡 臣使の官  心包は心臓を外衛し,機能を保護し,心臓の働きを君主の命令として代行する為「臣使の官」といいます。T臣Uとは家来という意味です。心臓に代って外邪を受けたり治療対象になります。 そのほかの機能は心臓と変わりません。 脾臓 意(智)・肌肉・唇口・涎・運化・統血・昇清・倉廩の官  脾臓は胃が消化吸収した飲食物の精華を栄気を通じて全身各所に輸送させる働きがあります。そのほか食料倉庫(胃が消化吸収したもの)の管理もするので「倉廩の官」と言います。食欲の有無や腹持ちの善し悪し,空腹時の辛さなどでその管理状態が解ります。倉も廩もクラの意味があります。  脾臓は「運化」を司ると言います。運化とは水穀から転化した栄養を、各所の需要を満たすために運ぶことで、同時に水分の輸送も行っています。  また脾臓は「統血」と言って血液を正常に運行させる作用を持ち、脈外に侵出する事を防ぎます。その機能が低下すると各所に出血性の疾患を起こします。  「昇清」とは運化によって吸収したものを上にある肺へ送ることを意味します。肺が呼吸によって得られた気と一緒に全身に送出す為です。  脾臓は肌肉を主るとは,栄養の供給と輸送が肌肉の生成と維持の状態に表れると言う事です。口に開竅するとは脾臓が水穀を口から取り入れるためで栄養供給能力は唇の色や光沢で判断出来るからです。  脾臓は物事(記憶や知識,栄養分など)の吸収能力を司るT意・智Uを蔵しています。 肺臓 魄・皮毛・鼻・涕・治節・気・相傅の官  肺は呼吸や吸引など本能的な行動を行う”魄”を蔵します。  肺は心臓の補佐をして血液循環を主宰したり、外表組織と器官との関係が保てる様にしています。その為「相傅の官」といいT傅Uとは付き添いとかお守りという意味です。  肺は気を主ると言います。生命維持の根源である真気(正気)は水穀の気と吸入した大気中の気が結合したもので、肺はその真気の生成と運行輸布を行っています。T肺は気の代表臓器Uです。また節を治めるといいますが、「治節を主る」ともいい、その意味は、血の運行は気の動きに依存していて気と血の相互関係を調節したり、心臓を助け他の臓腑との関係を調節することをいいます。  肺は生体が外気から受ける影響を,皮毛で調節します。皮膚が暑さを受ければ弛緩させ、寒ければ収縮させ毛穴の開閉の調節をします。  また、呼吸を行うため鼻に開竅します。 腎臓 精(志)・骨髄・耳・唾・技巧・毛髪・作強の官  腎臓は元来もっている先天の精気と、後天的な五臓六腑から特に脾胃から受ける精気を貯蔵します。そして精巧な技能を持ち生体の成長、発育、生殖、智力等に強大な作用を持っていて逆に「先天の精」を五臓六腑に分配してそのことを行います。その機能を「作強の官」と言います。  腎は技巧を主ると言います。技巧とは人の聡明と知恵や精巧多能を意味しています。「作強の官」と言う機能と結びついて体力の強弱や冷静沈着という一部の精神作用との関係を持っています。  腎に貯蔵された精気が骨髄を生成すると考えます。腎気の強い人は髄が満ち強堅な骨格を持っています。  耳に開竅すると言いますが,老うなどして腎が虚すると聴力が減弱します。また、腎気の盛衰は毛髪の成長発育から脱落の過程や色つやに見ることも出来ます。 六腑(飲食物を摂取し、排出されるまでの経路とその機能をいいます。) 胆(膽) 中清の腑もしくは中精の腑もしくは中正の官  腑というものは飲食物の通路と言われていますがT胆Uに限っては違う作用をします。身体の中央にあるため重心となっています。全身の活動状況を公平中立の立場で監視します。体内の生理作用や精神活動において適否の「決断」をします。胆の気が強ければストレスへの抵抗力が強く大胆になり弱ければ少しの事でもクヨクヨします。その為「中正の官」と呼ばれます。  胆嚢には胆汁が入っていますが,これについての漢方的解釈では肝の余気が胆に漏れて集まったものとしてT精汁Uと言います。他の腑の器と比べ飲食物を含まず排泄物でもないため清浄な感じがします。つまり「中清の腑」もしくは「中精の腑」と呼ばれる由縁です。邪悪なものを許さない厳しい性質が有ります。  肝と胆は表裏関係にある訳ですが,「謀慮」を主るT肝Uと「決断」を主るT胆Uは精神活動において密接に連係します。他の腑と比べ飲食物の運搬・伝化・排泄に直接関与しないためT奇恒の腑Uの一つに入ります。 小腸 受盛の官 小腸は胃と大腸の間に有り,また胃から受けた腐熟した飲食を清濁に分別して大腸と膀胱に別けます。その時に胆からの精汁を受けます。つまり腑全体の連係の中間に位置します。  胃から受けた腐熟した飲食物を清濁に分別するとは,栄養分であるT精華Uと,いずれ排泄物となるT糟粕Uに別けると言う意味と,糟粕を水分と固形物に別けて大腸と膀胱に別けるという意味があります。まずは胃から飲食物を受けることから「受盛の官」と言います。  心臓と小腸は臓と腑それぞれの中央に位置し統治連係という密接な関係にあります。 三焦 決涜の官 T三焦Uとは機能のみを指した言い方で,それは五臓六腑の位置と作用や関係性を含んでいます。具体的には水道の疎通や気血を環流させることが働きとなります。T三焦Uはある種の輸送経路とも言えます。全身へ絶え間無く気血水液を環流させながら,余分な水分は膀胱に送る。T涜Uとは,けがれると言う意味ですが「決涜の官」とはけがれを断ち気血水液が滑らかに疎通するための働きを意味しています。 三焦は上焦,中焦,下焦に別けて考えます。 上焦 心と肺に関係性があります。舌下から胃の上口,もしくは横隔膜から上の機能をさします。働きは飲食物から得た陽性の気,衛気を全身に巡らせることです。それにより皮膚を潤し体毛に栄養を与えて体熱を生産し,体温調節をします。その為夏場は水分が上焦にあるので汗をかきます。 中焦 脾胃や肝の一部と関係性があります。胃の上口から下口までもしくは横隔膜から臍までの機能を言います。胃が腐熟,吸収して得られた精気を栄気と血として経絡を介し全身に巡らせます。 下焦 腎や膀胱,肝の一部や小腸大腸と関係性があります。胃の下口から前後の二陰までもしくは臍から下の機能を言います。清濁を分別して大小便の排泄作用を促します。冬場は水分が下焦にある為小便が近くなります。 胃 倉廩の官・後天の本・水穀の海  胃は飲食物つまり水穀を絶え間無く受け入れる為「水穀の海」と言います。この水穀を消化吸収し,活動元となる気を全身に送出す源となるため「後天の本」とも言われます。胃そのものを働かせ,胃が全身に送出す気を「胃の気」と言います。「五臓六腑皆胃の気を受ける」と言われ特に「先天の精」によって人を生長発育させる腎臓への供給と貯蔵には欠かせません。そのほかに「胃の気」は経脈中を流れ脈として確認できるため「脈診」の診察対象になります。脾臓同様「倉廩の官」と言うのは自らが消化吸収した水穀の気を脾臓とともに管理するからです。  脾胃の機能といわれ飲食物を受け入れ栄養に転化するという土の働きを連係して行っています。消化器官の機能全体の意味もあります。 大腸 伝導の官  大腸は小腸から受け取った糟粕を糞便にして体外に排出させる機能があります。その事を「伝導の官」と言います。伝導とは運び出すと言う意味です。  肺臓のT魄Uは組織形質の組成をしています。主体が死亡したとき肝臓のT魂Uが肉体から離れて死体となります。しかし肉体はまだ形取っています。その後ゆっくりとT魄Uが離れ腐敗して地に返ると言う金の作用をする訳です。大腸は糟粕を地に返る様にしている所です。 膀胱 洲都の官・津液の府  膀胱には小腸から送られた水分のほかに,肺や脾,腎や三焦を巡った津液(水液)が気化(蒸化)されて集まり貯蔵され排泄される所です。そのため「洲都の官」とか「津液の府」と言われます。T洲Uとは川の流れの中に堆積して出来る島のことですが,水の流れで集まるものと言う意味です。T津液Uとは体液全般の総称です。膀胱は臓腑の中で最も下に位置しています。腎気の作用によって津液から小便を作り排泄しています。 奇恒の府 生体の内臓の主要器官は五臓六腑ですが,五臓は精気を蔵するところであり,六腑は水穀の通過器官です。臓と腑が互いに組み合い分業し有って正常な生理作用を保っています。しかし人体には五臓六腑以外にも器官がありT奇恒の腑Uとして区別しました。 脳,骨,髄,脈,胆,女子包が有り腎気の盛衰と密接な関わりがあります。 骨は体の最深部にあって骨同士を連係して骨格を形成します。髄は骨の中にあって腎気を受け骨格を栄養します。 脳は髄が集まった大きなもので「脳は髄の海」と言います。 女子包は任脈と腹部の腎経を中心にしている衝脈の働きを受け,月経を起し子供を生む能力を備えます。受胎するとこの二経は働きを停止して胎児に栄養を供給して育てます。 脈は心が主りますが血管そのものの存在としては,五臓六腑以外の器官になります。栄気と血液を中に通して全身に行き渡らせます。胆に関しては先に述べた通りです。 気血津液の生理と病理 気血津液は人体を構成する基本物質です。臓腑,器官,組織,経絡等が生理的な活動を行うための基本となって身体の中を流れ作用しています。外界環境の変化や飲食,疲れなどに対して適応し正常な生命活動を維持できるのは,その時折に対応した気血津液の絶え間ない流れと変化が有るためです。 気 気とは「形は無く生命活動を推進すると言う機能を持ったエネルギーである」と考えてください。東洋思想独特の概念ですが生命の作用は全て気によって調整され統括しています。逆に気が失わられれば死を迎える訳ですから生命そのものです。気の活動が盛んであれば健康で不足していれば疾病です。診察対象で有り,治療対象でも有ります。 気の生理的機能 体液に機能を持たせ疎通させてます。エネルギー代謝を調整してます。 組織や器官を適度に温め潤いを持たせています。 身体内を外界環境の変化から防衛しています。体液を保持しています。 気の病理 正気が虚すー臓腑経絡の気が不足すると各諸器官の活動力が低下して病を起こすことです。 邪気が実すー健康状態に変調をきたす作用が体内に侵入もしくは発生した状態です。 気が欝滞するー気の行き渡り方にアンバランスが生じた状態。 血 血は形も機能も有るもので概念的に物質的要素が強いものです。脾胃で得られた水穀の気や栄気が津液から変化させたものを心臓が肺に送り通過すると血になります。 血の生理的機能 血は脈中を運行しますが脈外を行く気と相共なって全身に行き渡り滋養作用を各諸器官に与えます。 血の病理 血虚ー局所もしくは全身の栄養障害です。感覚や運動障害を起こします。 血疔ー血行が欝滞して臓腑や経絡の局所の流れが疎外されその部分に疼痛が起きたり,腫瘤を形成します。 津液 体内の水分の総称です。飲食物から作られます。脈内の血と組織の間を仲介して組織を潤しています。 津液の生理的機能 T津Uは澄んで粘り気のない陽性の水分です。体表分を潤し体温の調節に関与しています。汗や尿となって体外に排出されます。 T液Uは粘り気の有る陰性の水分です。体内をゆっくりと流れ目,鼻,口などの粘膜や骨や髄を潤します。 津液の病理 津液の虚は乾燥や乏尿,大量の発汗や嘔吐による脱水状態などです。 津液の実は脾,肺,腎の異常によって起こる水腫や浮腫などです。 邪気(外因と内因) 邪気には大きく分けて外因と内因の2種類があります。外因は外環境から受けた害的刺激の反応で六淫といい、内因は内側の感情による害的作用で七情といいます 五行  木  火   土   金  水 五臓  肝  心   脾   肺  腎 七神  魂  神  意智   魄  精志 四季  春  夏  土用   秋  冬 六淫  風  暑   湿   燥  寒  火 七情  怒  喜   思  憂悲  恐脅 五邪 中風 傷暑 飲食労倦 傷寒  中湿 外因(六淫 風、暑、湿、燥、寒、火) 季節に対して人体への影響が正常な場合はT五気Uと呼ばれ各季節の主気となります。 春ー風、夏ー署、土用ー湿、秋ー燥、冬ー寒 を四時の主気といいます。 その季節の主気は心地よく受け止めれば人体に有利な条件をもたらしますが、不快に感じたり違う季節の気を受けたときは、邪気という受け止め方をして人体は病という表現をします。 内因(七情 怒、喜、思、憂、悲、恐、脅) 人の精神活動の反映として感情の変動により疾病をもたらす主要な要素をいいます。 人は生活環境の中で様々な感情への刺激を受けますが、その時に生体の臓腑の活動にも影響が発生して病理的な変化が生まれれば疾病になります。 不内外因 疾病発生の原因が六淫にも七情にも属さないものをいいます。 暴飲暴食、労倦、房労、打撲、創傷、虫獣傷害などをいいます。 暴飲暴食 飲食は生命を維持する上で欠かせません。適当であれば生体に栄養は行き渡りますが,少なかったり過度であったり不良なものを口にすれば,脾胃が損傷し疾病を招きます。特に量が多かったり味が濃いもの,冷たいものや脂っこいものは味覚を鈍らせ,腹部の脹満や下痢便秘吐き気を催し,腹痛や胸やけを起します。痛んだものや毒性の有るものを誤食すると嘔吐や下痢,腹痛を招きこれを「食中毒」「食中」と言い死の危険が有ります。また飲種や喫煙などの害も含まれます。 労倦  生活の節度を失い怠けることで,体の抵抗力が衰え感冒や消化不良を起すようになります。しかし過度の労働は疲労を起し気血の流れを鈍くさせ,動作緩慢,自汗発熱,心悸抗進,精神不安などの衰弱的症状を起します。 房労  節度を超えた性行為は精神を損ない腎気を損傷するため,落ち着いた常識的な思考を麻痺させます。また体力を低下させ足腰が衰弱し,女性では月経異常なとも起します。 打撲、創傷、虫獣傷害 不意の事故による物です。「破傷風」は外邪が傷口から侵入すると考えました。 十二正経脈の経絡流注の内容 名称の意味 {手の足のとは?}その経絡が手の指先で始まる。 または終わる。という意味 {陰陽名称は?}体表のどの部位を通るかという意味。 しいては陰陽との関連を示している {臓腑名は?}どの臓腑と関連があるかと言う意味。 しいては五行との関連も示している 体表の前・後、横と三つに分け前面は陽明、後面は太陽、側面は少陽 四肢の日に焼けにくい部分は陰側としました。三陽一陰といいます。 陽の経絡はTバンザイUのポーズをとったとき、上から下へ流れます。 陰の経絡はTバンザイUのポーズをとったとき、下から上へ流れます。 注:経絡という言葉は、実際には存在しません。『黄帝内経』では経脈、絡脈と言う言葉になっています。経絡とは日本独特の言葉です。 経穴 十二正経脈には経穴と言う点(つぼ)があります。部位に応じて五行性質を持っています。 脈気の循行時間:約30分で一循すると言われています。 経脈気血の量 多気少血:少陽、少陰、太陰 少気多血:太陽、厥陰 多気多血:陽明 五兪穴(五行穴、肘から先、もしくは膝から先にある経穴) それぞれの十二正経脈の中の、その経脈の五行とは別に五行性質を持った経穴です。 五兪穴  井  栄  兪  経  合 五行   木  火  土  金  水 肝経  大敦 行間 太衝 中封 曲泉 心経  少衝 少府 神門 霊道 少海 心包経 中衝 労宮 大陵 間使 曲沢 脾経  隠白 太都 太白 商丘 陰陵泉 肺経  少商 魚際 太淵 経渠 尺沢 腎経  湧泉 然谷 太谿 復溜 陰谷