天人合一〜天と地〜

‘天’とは、
自然が持つ定形的変化を言います。
天の変化の最も特徴的なことは‘規則性が高い’と言うことです。
‘地’とは、
古来より農耕を中心とした中国は、大地をその多大な人民を養う源泉としました。
天の変化によって育まれたいわば‘恵み’の得られ方を言います。
それは天から受けた、定形的変化への反応です。

天と地の関係性には、法則性があります。それが干支です。

干支の発祥は、紀元前15世紀頃の中国の殷(いん)の時代でした。既にこの頃から殷暦という暦が有り、毎日を十干十二支を組み合わせて数え、1ヶ月を30日、1年を12ヶ月としていました。

十干とは、
天が地に与える作用とその変化の運行を表わした考え方です。
陰陽と五行の組合わせで、2×5=10で10の分類があるため十干といいます。
天の十干
読み名 一般的な陰陽五行
素問の運気の
陰陽五行
甲(こう)
陽(きのえ)
陰(きのと)
乙(おつ)
丙(へい)
陽(ひのえ)
陰(ひのと)
丁(てい)
戊()
陽(つちのえ)
陰(つちのと)
己()
庚(こう)
陽(かのえ)
陰(かのと)
辛(しん)
壬(じん)
陽(みずのえ)
陰(みずのと)
癸()
十二支とは、
天からの作用を地がどう受け止めるかや、その変化の運行を表わした考え方です。陰陽と地の反応を意味する‘6’の組合わせで、2×6=12で12の分類があるため十二支といいます。

十二支の場合動物の名前が付いているため、誤解を招きやすいのですが実際はその動物とは全く関係が有りません。植物が季節に応じて盛衰する様子を象形文字としての漢字に充てはめたものです。その漢字も現代では簡略されたものになっています。

地の十二支
読み名 素字 意味 方角 時間
(し-ね) (じ) ふえる 午前0時 12月
種子の中に生命が萌し始める状態。
(ちゅう-うし) (ちゅう) からむ 北北東 午前2時 1月
種子の中の萌芽が充分に伸びていない様。
(いん-とら) (いん) うごく 東北東 午前4時 2月
草木が春の初めに発生する状態。
(ぼう-う) (ぽう) しげる 午前6時 3月
草木が発生して地面を蔽い始めた状態。冒:おおうの意。
(しん-たつ) (しん) ふるう 東南東 午前8時 4月
草木の形が整って活発になった状態。
(し-み) (い) やむ 南南東 午前10時 5月
草木が繁盛の極限に達した有様。
(ご-うま) (ご) つきあたる 午後0時 6月
草木が繁盛の極限から衰徴の傾向が生じてきた状態。
(び-ひつじ) (び) あじ 南南西 午後2時 7月
草木の果実が成熟して滋味を生じた有様。
(しん-さる) (しん) うめく 西南西 午後4時 8月
果実が成熟して締め付けられ固まって行く様。
(ゆう-とり) (しゅう) ちぢむ 西 午後6時 9月
果実が成熟の極致に達した有様。
(じゅう-いぬ) (めつ) ほろぶ 西北西 午後8時 10月
草木が枯死する様。
(がい-い) (がい) とざす 北北西 午後10時 11月
草木の生命が種子の中に閉蔵されてしまった状態。

天と地の関係性〜陰と陽の発生〜

天の日が、地に当たることで日向が生じ‘陽’と確認できます。この陽の状態を身近なものに置き換えた場合、火が持つ性質が最も捕らえ易く、そのため火を陽のシンボルとしました。火は形状があっても実体が無く、光と熱を発します。その時に燃やされる燃材の性質を、燃え方や煙の臭いで現すこともでき、陽という性質のシンボルとして適切でした。
また、日が当たらなかったところは地の性質のままの陰と確認できます。身近なものとして水をシンボルと考え、捕らえ易くしました。水は温度を受けないと硬い氷のままで、しかし一度温度という陽の作用を受けるとその作用の強さで液体・気体と変化します。また熱いものを冷ます作用があります。そのため陰という性質のシンボルとして適切でした。
暖かい、明るい、涼しい、暗いの差は、天の陽性と地の陰性が人意で区別できる具体的な作用だったわけです。

この天があたえる陽の作用は、規則性を持って地に降り注ぎます。例えば一日は、必ず東の空から太陽が出て朝になります。そして太陽は西へと向かって昼ー夕となり沈んで夜になります。一年では夏に向かうほど昼が長くなり、太陽の位置が高くなります。昼の長さと太陽の高さがピークとなると逆転して冬へと向かい、夜が長くなっていき、太陽の位置が低くなっていきます。

天とは太陽の運行と、その変化を地が感受するまでを言います。その変化の様が‘十干’です。

しかし実際に変化するのは天ではなく、地の受け止め方です。「天の変化を地が感受する」とは「天の作用を、地の受け止め方が変化する」と言う意味で、太陽の運行とそれに対する地の受け止め方の変化まで含めて‘天’と言います。

それに対して‘地’は、天の作用を受け止めた以降、反応として自然界の様相を表現するまでを言います。その自然界の様相を現すための、反応の変化内容が‘十二支’です。

そこで陰陽と言いますが、天の作用を全く受けず、そのため何の反応も示していないためそれを‘陰’と言います。天の作用を少しでも受ければ、その受けたなりの反応を示すので‘陽’となります。また天の作用を受けると言っても、受ける量に差があって、より多ければ‘陽’となり、少ない方を‘陰’と言います。さらに同じ作用を受けても、反応の出方に差があった場合、反応が大きい方を‘陽’と言います。

つまり陰陽とは、天の作用を受けた地が示す反応の中から観察しているわけです。

ところで地が示す反応とは何なのか?

それは草木の生育、気候の温暖、風の強さやふく方角、空気の湿度などです。