〜メールや電話などでお訊ねをいただきました〜
院内感染という問題が取りざたされていますが、治療鍼からの感染はありませんか?
- 端的に言ってしまえば、鍼は使い捨てですので感染の心配はありません。
- そのうえで、治療に使う鍼は銀でできています。
- 銀イオンは抗菌剤のコーティングに使われるくらいですから、まず銀その物に滅菌作用があります。ふだんは新品の鍼を紫外線滅菌庫で保管し、外に出すときは消毒液を染み込ませた綿に挟んで運びます。
鍼って痛くないですか?
- 痛みを感じないように心がけています。
- また特に治療につらさを感じた方もいらっしゃいません。
- それは鍼治療とは、体に鍼を刺すことが目的ではなくて効果を目的としています。針先が皮膚に触れただけでも充分に治療効果を発揮します。
- 東洋医学とは中国の老荘思想という古い自然観から始まった物で、人体が苦痛を感じることは不自然なことと考えます。
- ですから痛みを感じさせないことは、大切な治療条件だと思っています。
どのような症状の患者さんが多いのですか?
- 基本的には肩こり腰痛、手足のシビれ、背中や首の痛みの方が多いですが、婦人疾患でしたら生理痛や生理不順が多く、不妊の方も何人かいらっしゃいました。
- またアレルギーの方も多く、アトピーや喘息、リウマチや蕁麻疹などです。
- 随伴症状として、冷え症や生活習慣病などの検査数値の改善も見られます。
心と体の東洋医学と聞きましたが、どのようなことを言うのでしょうか?
- この事は西洋医学が心身二元論と言って、心と体のあらましを分けて考えると言うことが元になって、そのうえで東洋医学の方は分けていないと言う特徴を言われたんだと思います。
- 東洋医学には七神七情という病因論があって、例えば緊張するとお腹が痛くなると言う心が体に及ぼす作用や、逆にお腹が空くとイライラすると言った体が心に及ぼす作用などを、そういったことはそのまま全て人体の特徴なんだと受け止めてきた経緯があります。
- 現代がストレス社会と言われていることが、最近の東洋医学に対する期待感だと思っています。
東洋医学というと、神秘的というか宗教的というか迷信やまじないチックな感じがするのですが。
- 発祥が2000年以上前のため、科学的な論拠と言う範囲には入りづらい側面はあるかと思います。
- ところが調べてみると、2000年前の方が今から1000年前より科学的だったようです。6世紀頃に世界的な天災や疫病、飢饉や戦争などがあって人口が激減したそうです。ようやく世の中が落ち着いても人口が少なすぎて、いまから2000年前の頃に考え出された理論を理解できる人がなかなかいなくて、その頃の人達は神秘やオカルティズムな捉え方をしてしまったようです。ヨーロッパの中世や日本の平安時代にあたります。
- その1000年前を透かして2000年前を見てしまうため、さらに昔なのだからもっとオカルトチックだったのだろうと思えてしまうんですね。しかし科学が発達した現代において、ようやく2000年前の人が残してくれた物を正当に理解できるところまで、人類の知性は回復したのだと思います。
- その一端を我々鍼灸師は、東洋医学を見直すことで担っているのだと思っています。
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