制作のお仕事

1,連絡や受付先の決定と配布,及び窓口としての対応

2,団費の徴集と管理,及び会計監査

3,顧客,情報宣伝先,団員のデーターベースの作成と管理

4,定例会議の議事録の管理,及び司会と進行

5,劇団全体としての総制作,及び公演制作の立ち上げ

 

制作とは公演を含めた恒常活動全般の運営と管理の取りまとめをする位置にあります。また制作とは個人の役付を言うのではなく,劇団員が行った劇団員としての活動の中に制作的活動をしたというのがあります。ただし個人個人の考えを合致させず,バラバラに動いては統制が取れませんので,中心に立って全体の意見や考えを整理してまとめる立場の人が必要です。それが“制作の人”なわけです。そのうえで制作には一切の決定権や本質的な責任はありません。管制塔のような役割です。団全体で会議や相談をして活動方針や分担を決め,機敏に活動し連絡を取り合う事で“制作”が整理とまとめをする配慮が大切です。制作関連の仕事は特に個人の依存性が試されるので注意してください。

1,連絡や受付先の決定と配布,及び窓口としての対応

劇団には公演や入団希望など様々な問い合わせがあります。

その場合大切なことは,

A,団外の人から連絡を受ける手段や方法を決める。
B,自分達への連絡手段や方法を団外の人に知ってもらう。
C,連絡をいただいた人の気持ちに配慮をし,劇団の顔として対応する。

の,3つです。

連絡や受付先の決定

上記のTAUに相当します。

まず手軽に問い合わせの出来るT電話Uが必要となります。

現在電話は一般的な回線電話の他に携帯電話やPHSがあります。

理想条件としては

  • 必ず団の人が出て問い合わせを受けても不備のないこと
  • 電話番号は恒常的であること
  • イメージ的にも金銭的にも相手側に負担が少ないこと
  • 接続がスムーズでハードウェアとして信頼が置ける物
  • 已むを得ない場合でも相手側のメッセージが残せること
  •                           などがあります。
    次に他の演劇団体の活動案内を受け取るT住所Uが必要です。

    条件としては稽古場の住所か、恒常的な活動に毎回参加できる人の住所が理想です。
     その他,ファクスやパソコン通信(E-メール)など条件がそろっていれば利用価値があります。
     以上のような条件をより満たした環境を連絡や受付先として決定します。

     

    連絡や受付先の配布

    上記のT2Uに相当します。

    配布の方法としてDM,チラシ,名刺,情報機関への掲載等があります。

    窓口としての対応

    上記のT3Uに相当します。

    劇団という団体は一般的に特殊なイメージを持たれています。
    不思議なことに劇団どうしでも相手に対して懸念を持ちます。世の中には今だに劇団員に対して特殊な人格,特殊な思想,特殊なタイプのキャラクターイメージを持たれる人も多く、連絡をしてくる人はある程度勇気を持って行動を起こす訳ですから,会話に落ち着きがなかったり不明瞭なこともあります。相手に対しては明瞭で印象の良い対応を心掛け,何の問い合わせか予め配慮することが大切です。電話を受けたときは,劇団専用電話の有る場合はまず団名を名乗ってください。劇団専用の電話が無い場合は配布内容に記載された担当者が受けて名乗り,団への用件の場合はその後団名を名乗ってください。

     

     

    2,団費の徴集と管理,及び会計監査

    劇団活動をするには運営の為の費用が必要となります。
    例えば月団費という形で団員から徴集しています。そして集められた団費の使われ方を管理し,最終的に管理状況を監査する必要があります。
    団費の徴集と管理は会計担当者が,会計監査は他の人が行います。

    団費の徴集

    例えば団費を毎月団員から徴集する場合、毎月の最終日までに翌月分を徴集する事が賢明です。いざというときの活動資金が、足りない場合があるからです。臨時徴収と言うことも出来ますが、事務的混乱と会計不備を招きやすくなります。基本的な徴集方法は銀行振込もしくは郵便振替の自動引き落としが理想的です。
    会計担当者への直接の手渡しもありますが、直接受け取ったお金は,誰が,いつ,いくら払ったかを会計担当者の仕事として記録しておかなければなりません。

    団費の管理

    徴集された団費は収支の管理が必要です。そのためには現在団費がいくらあるかという把握と,その金額が収支計算と一致していなければいけません。

    そのためには

    団費を使った場合は必ず領収の受け取りを義務付けてください。

    領収書には何を何のために買ったか団費を使った人が書いて会計担当者に提出してください。このことは必ず会計担当者が徹底してください。

    臨時の収支が有ったら必ず記録しておいてください。

    取り合えず何かにメモしておけば記帳時に混乱しません。この場合を怠ったときが最も会計記帳の混乱を招きます。

    会計帳簿を記帳してください。

    例えば、記帳は翌月の第2火曜日までにすると決める。
    定例会議が在る場合には、そのときに監査に提出することで、内容の明瞭さが全員に伝わりやすい。
     
    例えば、記帳は翌月の第2火曜日までにするとして、
    翌月の第2火曜日までに行うことは,
  • 銀行と郵便局へ行って通帳を記帳する。
  • その月手渡しで集められた月団費の内訳を記帳する。
  • その月の手渡しと銀行と郵便局の振込分を合計する。
  • その月の月団費の合計と先月繰越分を合計する。
  • その月の支出額の内訳を領収書を元に記帳する。
  • その月の支出額を合計する。
  • 団費総額を計算して,所有金額との合致を確認し記帳する。
  • 公演資金はそのときの制作担当者にいくら渡したかを必ず記載し,お互い金額について確認し合ったことが解るようにしておいてください。

    会計監査

    会計担当者意外の人が専任し,定例会議のときと,年度末に帳簿記載金額と,実際の所有金額の合致の確認を行ってください。

     

     

    3,顧客,情報宣伝先,団員のデータ・ベースの作成と管理

    団としてイベントを行うときのDMや,団員の人数や連絡手段など必要時に必要な情報内容を取り出せるよう、データ・ベースを作成します。また,情報の書き足しや内容の変更が有った場合は書き直します。他人や身内のプライバシーに関わりますので団外に誤った流出をしないよう管理しなければなりません。
    パソコンをつかってデータ・ベースを作成すれば、ハガキ印刷や検索が容易にできて,良心的な顧客管理が出来ます。

     

    顧客のデータ・ベースの作成と管理

    作成

    公演時のアンケートや団員の知人などが基になります。
    公演アンケートには必ずDMが届いているかどうか確認が取れるようにしておいてください。後でデータ・ベース化する際に混乱を招きます。
    団員の知人にDMを出す場合は,出来るだけ相手に確認を取った上で,データ・ベース化してください。また,その相手のDMには団員名や出来たらコメントを添えると良心的だと思います。

    管理

    必ず担当者を決めて,その人が作成や入力,管理やプリント出力を行うようにしてください。基本的に顧客のデータ・ベースは団外には公開しません。パソコン管理によるプリント出力や外部ディスクに読み込ませる必要があるときは、主宰者もしくは全員の承諾を受けることが賢明です。また,そのプリントやディスクも担当者が管理してください。

    情報宣伝先のデーターベースの作成と管理

    作成

    他劇団からのDMやよその公演でもらうチラシ,電話帳や団員が集めた情報などが基になります。他劇団へDMを出したり,情報機関に掲載をお願いするのに使います。

    管理

    情報宣伝先のデーターベースは団外に公開可能です。他団体の活動協力に使います。

    団員のデーターベースの作成と管理

    作成

    例えば入団の申込用紙があってそれから作成すると便利です。団員の住所や連絡内容が変わった場合,または携帯電話やE-メールなどの連絡手段が加わった場合には申し出るよう徹底して下さい。

    管理

    団員のデーターベースは団外に公開しません。住所録をプリントアウトして配布する際には枚数のチェックと渡された住所録の管理を団員に徹底させてください。

     

    4,定例会議の議事録の管理,及び司会と進行

    劇団では例えば“毎月第2水曜日に定例会議を行う”と言うことを便宜上決めたりします。定例会議は年間計画や練習内容,公演やイベントについての発案や決定,また活動状況の内容や進行の確認を行います。定例会議の終わりには次回の議題を決めます。

    定例会議の議事録の管理

    定例会議での発言や決議を議事録として書き留めます。書き留める人は専任者であったり、月ごとの当番制であったりします。それまでの全議事録は新たに書き留めたものも含めて専任者かその月の当番が管理します。議事録は稽古や招集日には必ず持参するようにしておくと、ちょっとしたトラブルや思い違いの解消に便利です。

    定例会議の司会と進行

    基本的に司会と進行役は“制作の”が行います。その月の定例会議に出したい内容を各担当者や発案者が“制作の”に申し出てください。その時に応じた順序で“制作の”が進行していきます。

    進行内容

    まず最初に先月までの議事録の必要な部分を専任者かその月の当番が読み上げます。
    次に決議された活動状況を各担当者が報告し,問題点があれば各々のときに話し合い解決します。

    その次に新たな議題について話し合います。

    最後に今回の決議の内容確認と,次回の議題を決めて終わりにします。

    定例会議意外にも必要があれば会議を行います。その内容が恒常活動の場合には“制作の”が,公演体制の場合にはその公演の制作や舞台監督が中心になります。

     

    5,劇団全体としての総制作,及び公演制作の立ち上げ

    劇団という形で公演を行うと、自ずと劇団名が個性化して浸透していきます。それは公演内容の性質だけではなく,劇団という集団そのものが持つ特徴や主宰者や代表者や個々の団員のタイプなど様々な要素が含まれます。そのうえで活動を通じて他の劇団や関連集団などとの交流が生まれます。また,自分達の劇団内では収まらないこと、例えば情報収集や合同練習,公演に必要な借用物や人手の確保などが発生します。自分達に知識や技術や情報がなくって困る事と同様に、他の劇団にも困る事が有りますのでお互いの助け合いが必要となります。
     恒常的にこのような交流活動を“制作の”が中心となって行い,活動内容から得られた情報やノウハウを、公演時の顧客収集や芝居の成立へと生かすため,公演制作を立ち上げる必要があります。

    劇団全体としての総制作

    個々の団員の趣味嗜好に関わらず,劇団外の個人的自由活動の中で得られた情報やノウハウを劇団にフィードバックした場合は、自然と団員の制作活動としての団外交流となります。
     また,他集団のイベントのため劇団の所有物を貸す時は,話を受けた団員が必ず管理し,元に戻せるようにしてください。その時は“制作の”に申し出て、何を,どれだけ,どこへ,いつまで貸す、と言った内容を報告してください。また,都合が変わった場合は変更内容と最終返却日を確認して報告してください。
     他集団のイベントに劇団として協力する場合は,話を受けた人が定例会議もしくは臨時の会議として発表し、必要に応じて団全体が納得できる具体的なプランで進行の陣頭指揮を“制作の”がとってください。
     そのほか公演のときにお世話になった公民館や情報機関や劇場,チラシ等を置いてくれた店や公共施設など機会があれば足を運んで交友を深めることで、今後の劇団としての活動がスムーズになります。

    公演制作の立ち上げ

    定例会議で例えば、年間計画を決めた場合、その中には公演についての内容が含まれると思います。公演日とそこから逆算した公演制作の人員と、公演制作開始の」立ち上げ日を全体で決定めます。
    定例会議の時に会計担当者が現在の団全体の所持金と,恒常活動に必要な金額を差し引いた金額を発表し,立ち上げ予算(チラシ,チケット,DMの作成予算など)を決めます。ここで団費から公演予算へのお金の動きを団全体で確認します。
    データ・ベースの担当者は顧客と情報宣伝先の数を公演制作担当者に報告してください。
    チラシを置いてくれた店や公共施設などはなるべく同じ人が専任し、公演のチラシが出来たらいつでも置いてもらえる様にしておくと便利です。都合で行けなくなった場合は別の人に引き継ぐようにしてください。そのほうが置いてくださるお店や公共施設に、失礼が無くなると思われます。
    劇団全体が公演制作と交流し協力して団外活動から得られた情報やノウハウを、公演に行かせるように心掛けてください。