ファイナルファンタジーVII日記



 ある晴れた日−
 弟がプレイ・ステーションとファイナルファンタジーVIIを部屋に運んでくる。
 いままで借りていたセガ・サターン本体と「天外魔境 第四の黙示録」を返し、代わりにプレイ・ステーションがテレビの前に居座る。
 ファイナルファンタジーVII(以下、FF7と略す)の画面は、弟の部屋で最初の方を少しだけやらせてもらったことがある。確かに恐ろしくグラフィックスがすごい。ポリゴンが動くゲームというのは、昔X68000のゲームで「スター・クルーザー」という、主人公の載る戦闘機が3Dの敵をやっつけるものがあったが、ポリゴンの数と質は、あの比ではない。人物がそれと分かるほどに細かく作るのは、相当の数の図形を組み合わせているのだろう。
 それに、背景の奥行きがすごい。徹底して三次元を意識した作りになっている。
 しかし、やたらと戦闘が多いのと、操作が難しいのには辟易した。はっきり言って、そんなに戦闘が好きなわけではない。もっとゆっくり、この描き込まれた景色を見たいと思う。あと少しで目的を達するというときに限って敵が出るのも、ストレスがたまる。戦闘でそうすぐに味方が死ぬわけではないが、適当にボタンを押していれば相手は倒れてくれるのではあるが、この戦闘の多さはなんとかならないものか。いくら敵の本拠地にいるとはいっても、ちと出現が頻繁すぎる。これでは先が思いやられる。先に進む前に飽きてしまうかもしれない。


 それから何日かして−
 弟がFF7を運んできてから、しばらくほっておいた。仕事のある身だし、未読の本も山になっているし、借りて聴いてないCDもダンボールに詰まっている。そうだ、「総理と呼ばないで」も見なくては。この前録画したあの映画も見たいし。と、情報とサブカルチャ−の飽和状態である。情報化社会とは人を過飽和にして振り回す社会なのだ。
 でも、奥から引っぱり出してFF7を少しやってみる。もともとこういうのは嫌いではない。私は以前プレイして詰まって終わりにした。そこから少しいったところにセーブ・ポイントがあるので、弟がそこまでやっておいてくれたという。しかし、そこから始めたら、どっちの方向から来たのかわからないので、どっちへ進んでいいかも分からない。確かこの前弟のところで横から助けられながらやった時は、列車のトンネルをいったりきたりして出口が見つからなかったのだ。今いるところは、そことは全然違う場所ではないか。弟によると、バリアの横に隠れた出口があるのだという。これ、見つからなくてここでやめちゃう人もいるんでないか。
 しばらくウロウロしているうちに、何とか目的地らしい所に近づいた。

(ここから先は、まだプレーしていない人の興味をそぐかも知れませんので、ゲームの先を知りたくない人は見ないでね。 と、いうことで少し間をあける)









 いきなりボスらしい人が(このばあい、社長とか、会社のトップという意味のボスで、ボスキャラとは違う)ヘリコプターに乗って出てくる。後でわかったことだが、この一族はヘリコプターが好きらしい。その人がなにか理屈を言って、足早に立ち去ったかと思うと、敵との戦闘になる。ボスキャラ戦である。その後、高いところから落ちると、その場面が素晴らしい。ステンドグラスのある教会。上からそそぐ陽だまりの中に、花畑ができている。まさにファンタジー。光と影の芸術だ。
 そう、このゲームほど光をうまく使っているものは見たことがない。ずっとスラム街の暗い町をさまようので、光が当たるところはとても輝いて新鮮に見える。


 5月某日−
 神羅カンパニー本社ビルを目の当たりにする。いかにも高そう。しかし、いよいよ本拠地だ。いままでの旅で気に入っているのは、列車墓場と公園の情景。動く列車もよく描けているが、それだけに動かずにうずくまる列車の群は無言に語りかけるものがある。公園のすべり台、ブランコなど郷愁をさそう。
 それにしてもこのアニメーションのクオリティはどうだ。敵の施設を破壊した後のアニメーションは、ハリウッドにもひけをとらないド迫力だ。


 6月のある日−
 神羅カンパニーでの死闘がようやく終わる。普通のRPGなら、ここでラストなんだろうが、3枚組のCDのうち、まだ1枚目である。すごいボリュームだ。と、驚くのはまだまだ早すぎたのであった。

 ついにスラムを抜けだした。おお、この明るさはなんだ!青い空、白い雲、海は輝き山並みは緑に萌えている!大自然の美しさが見事!いままで暗いスラムをうろついていただけに、この明るさには感激する。北ドイツで育ったブラームスが、イタリアを旅行してその明るさに感動し、交響曲第2番を作ったというけど、その高揚する気持ちがなんか体験できたような。
 そして、この晴れ晴れとした音楽。人類の夜明けのようです。いい曲ですね。ずっと思い出に残る曲になりそうです。
 暗から明へという、ゲーム作りの基本が忠実に生かされている。作りはかなり正統なRPGなのですね。


 梅雨のある日−
 家の外は雨だが、FF7の世界は相変わらず青い空。遠くにサイロらしきものが見える。牧場か。なんと、ファイナルファンタジーのおなじみキャラクター「チョコボ」ではないか。しかも大量にいて、ダンスまで踊る。なじみのキャラクターを出したのは、新しい土地での不安をやわらげるためだろうか。

 いくつかの町を訪れた。それぞれの町に雰囲気がある。パーティのメンバーの過去も次々と明らかになる。様々なドラマに彩られ、話は深みを増していく。

 最近のRPGには必ずといってよいほどある遊園地。このゲームでも登場するが、そのきらびやかさは、他のゲームを圧倒している。チョコボレースの疾走感もいい。しかし、後で自らこれに乗ることになるとは。うまい流れだと思う。レースに参加する前、競技者の待合室で、遠くからチョコボレースの音楽がかすかに聞こえてくる演出は、独特の緊張感を生んで効果的である。

 星の研究をしている町。ムーミン谷にありそうなその集落は、夕日の中にそびえてはっとする美しい造形である。くるくる回る羽根車も愛らしい。その長老が、プラネタリウムの装置の中で星の運行を見ながら語る話しも重みがある。その町での父と子の話しも感動的で、目頭が熱くなった。ここでのエピソードはたいへん気に入っている。

 ロケットが傾いてそびえる町。この、緑と茶色をベースにした町の雰囲気は、曇天によくあっている。ロケットの艇長のエピソードと心意気がにくい。そこへ、再び現れる神羅カンパニーの面々。飛行艇のアニメーションが素晴らしい!おおお、飛んだ!ロケットの周りをぐるりと、すごい!かっこいい!爽快爽快!うぎゃあ敵に撃たれて尾翼が燃えるう!海が迫る、不時着!おおお、なんと水煙が美しくあがることか!海はひろいぜ心がはずむ!はあ、はあ。。。あまり良かったので、興奮してしまった。


 静かなある日−
 島の入り江に飛行艇を止め、しばらく陸を歩く。吊り橋をいくつか渡って、やっと島はずれの町についた。こ、これは、オリエンタル!中国を思わせる町ではないか。
 サンスクリット文化を思わせるような、崖に彫られた巨大な彫刻。看板のごてごてした赤い建物。東洋の神秘を感じますね。道を奥に進むと、彼方に五重の塔が見えてくる。この視点の移動がうまい演出で、うなりました。ううむ、見事に絵になっている。崖の感じもいままでとちがって水墨画のようだもの。美術さん、エライ!

(これから先は、ホントにネタばればれなので、まだやっていない人は楽しみをそぎたくなかったら見ないでね。推理小説の犯人を知っていて読むのと同じくらいつまらなくなってしまうかもしれないので。)



























 ○月○日−
 再び遊園地にやってくる。意外な展開。それから神殿に行き、たいへん苦労する。エッシャーの絵のように上にいくのか下にいくのかよくわからない迷路や、転がる石や、思うにまかせない時計などが先に行くのを阻む。
 神殿の再深部の壁画が意味シン。神殿の最後も、胸にせまるものがある。


 ○月○日−
 眠りの森を覚醒させ、奥にすすむ。そこは東山魁夷の絵のような、透明感のある世界。さらに進むと「忘らるる都」、この文語表現に作り手の自信を感じる、それは幻想的な世界。ひとつのクライマックスを迎え、ついにディスクの1枚目が終わる。なんと密度の濃い1枚なんだ。おそるべきCD。ため息がでる。


 ○月○日−
 ようやく地上にでる。すばらしき北の国の大地。雪を頂く峻峰に蒼い空のコントラストが美しい。彼方の海も碧さを増している。ここではムズカシイ「青」を使いたくなるほど青の効果がイキているのだ。
 うさぎや狼と戦いながら、北の町にたどり着く。ここでの、ビデオを用いて過去が明らかにされる手法には感心する。
 そして町を離れると、スノーボードでの滑降だ!おお、爽快!♪や〜まはしろがね朝日をあび〜いて〜♪ なんて歌っていたら、どん、と思いっきり壁にぶつかった。でも、これだけで一つのゲームとして売れるくらい、気持ちがいいね。ううむ、書いていたら、また滑ってみたくなった。


 ○月○日−
 北の果て、吹雪の中をひたすら歩く。つらい日々である。何度行き倒れになりそうになったことか。ようやく小屋が見つかる。しかし、安らぎもつかの間、今度は大岸壁が待っていた。またもやつらい登山が始まる。体温が下がってくる。四角ボタンをおして足踏みをするのだが、体温を上げるにはどのタイミングで押せばよいのかよくわからない。北壁をいきつ戻りつしている間に体温が下がりきって、気がついたら麓の小屋に戻されていた。ショック。

 崖の割れ目は、洞窟になって先に続いているんですね。それに気づいてようやく進んだ。ああ、愛しのセーブ・ポイント。あの鍵形がくるくる回っているのを見ると、とってもほっとするようになる。それほどここは辛くキビシイ。モノトーンの最果て厳寒の地、単調ですからね。ラ・ド・ミ♪ それは短調。



 ○月○日−
 「約束の地」に、ついにたどり着く。そこは嵐吹き荒れる地。あかされるクラウドの秘密。主人公の性格そのものが、誕生と深く関わっていたという設定には、ほんとうに驚いた。ここで、話は急展開する。昔、テレビでやっていた「ミラーマン」も特捜隊が全滅してしまうという回があって、そこから新たな展開が始まった。その設定が、子供心にすごく新鮮に感じたものである。牛次郎とビック錠のコンビによる「釘士サブやん」や、「包丁人味平」も、よく大波乱のうちに話がぶっとんだものである。FF7も、ここで見事に話しがぶっとぶ。主人公を残したまま、飛行船に乗ってメンバーは「約束の地」を去っていく。



 台風のやってきた日−
 以前、飛空艇に最初に出会い、感激した巨大砲のある町。ここでティファの意識が目覚めるところから話は始まる。重量感溢れる建築物を縦横無尽に使って繰り広げられるサスペンス。先ほどまでの北の地のモノトーンで重々さから一変し、スリリングにテンポよく話が進む。この、チェンジ・オブ・ペースの巧みさが、FF7の魅力の一つであろう。
 ティファが下に落ちたところから、かなり迷ったのですが、なんとか巨砲の先に進むのですね。ここは一番わかりずらかった。あえてわかりにくくしているのでしょうが、ストレスが溜まりすぎても……3Dの操作の難しいところですね。でも、これは次の飛翔感を味わわせるための布石で、あえて苦労させてるんでしょうね。
 飛空艇が巨大砲を背景に翔ぶCGも、本当にすばらしい!



 ○月○日−
 南の島でのエピソードを経て、ヒュージ・マテリアを探す旅に出る。ドラゴンのいる塔では、難なく敵を倒してマテリアを手に入れる。しかし、列車で魔晄を運ぶ山では、うまくいかず、汽車を町につっこませてしまう。このまま先に進んでも大丈夫かな?

 ○月○日−
 クラウドの心の中の旅。ここは実によかったねえ。上質のミステリーの香気があった。天外魔境「第四の黙示録」、エヴァンゲリオンなど、深層心理を探る場面はこのところ定番になっているが、FF7では素直に共感できるシーンに仕上げている。エンターテイメントは、こうでなくてはと思う。下手な理屈をこねるより、自然に共感できる作りを目指すほうが、高い技術とセンスが必要なのでは。


 ○月○日−
 再び巨砲の町ジュノンにて。軍事要塞の深くに進む。海の中を通る通路は、魚影がリアルで八景島パラダイスみたい。出ました、潜水艦。レッド・オクトーバーを追え!のように潜水艦の追跡が始まるが、ワタシはこういうのは苦手だよ。やはりミッションをコンプリートできなかった。ゲーム・オーバーかなと思ったら、岸に打ち上げられていた。再び潜水艦のある深層部へ進み、レッド・オクトーバー?を手にいれる。しかし、このままマテリアを持って行かれていいものだろうか。不安だが進むしかない。

 ○月○日−
 潜水艦を海上に浮上させ、飛空艇で北の森へ進む。パイロットさんもだいぶ運転がうまくなってきました。神秘の珊瑚礁の情景は、再び見ても美しいたたずまい。
 ここから飛空艇や潜水艦を操っての探索が始まる。



 ○月○日−
 ウエポンと呼ばれる巨大な怪獣と、神羅カンパニーの激突。このアニメーションの迫力は、NHKが制作するSFよりよっぽどすごい。NHKは伝統的にSFXが下手だから比べてもしょうがないかもしれない。コンピュータの演算だけで、この映像を作り上げたのかと思うと、見終わった後、深いため息が出る。



 ○月○日−
 物語の始まる町ミッドガルドに舞台を移す。最初は、ここでの暗い戦闘がイヤでしょうがなかったのだが、今となっては戦闘を楽しんでいる自分に気づく。慣れは恐ろしい。狂気が日常に、凶器は玩具になってしまう。


 ○月○日−
 神羅カンパニーでの戦いが終わり、いよいよ最終の敵を倒しに星の中心部に向かう。
 結構深くもぐったが、セーブできる場所はない。セーブポイントは、自分で一つ作ることになっているようだ。ビールを飲んでしまい、眠いし、延々続く戦闘にも飽きた。今日はここまでにしよう。


 ○月○日−
 いやあ、まいった。きのう作ったセーブ・ポイントが、少し入り口に近すぎたようだ。洞窟の奥はまだまだ深かった。結局、少し奥に進んだ所で全滅してしまった。なんと強い敵だ。魔法しか効かない奴や、いきなり「デス」の魔法をかけてくる奴など、てごわいてごわい。再度奥へ進む。少し敵の倒し方を学習したので、先ほどより奥に行けたが、頭に星をつけてのたのた歩いてくる敵の「みんなのうらみ」という魔法で、結局全滅。ううむ、いままでの戦いがまた無駄になってしまった。つくづくセーブ・ポイントの置き場所を後悔した。疲れたので寝る。



 ○月○日−
 ほんとにここはツライ。何度か戦って、お宝を取ってからセーブ・ポイントに戻って記録を繰り返す。だんだんこの洞窟の道も分かってきた。勇んで再深部に向かう。目の前の敵が、どうやら最後の敵らしい。し、しかしなんでこんなに防御力があるんだ。あらゆる魔法を試みているが、いっこうにダメージをくらう様子がない。大幅なダメージを与えたはずなのに、すぐに回復してしまう。1時間近く戦闘を続けたが、いっこうに倒れないので、ついにギブ・アップする。メンバー交代のところで中断し、パソコンの電源を入れ、ニフティー・サーブにアクセスする。
 "FCGAMEM2"のフォーラムで、"FF7"のサーチをすると、やはり同じことで悩んでいた人の書き込みがある。どうやら、こちらの装備が甘かったようだ。まだまだこの洞窟に降りるには早すぎた。他にも多くのイベントがあるらしいし、結局今倒すことをあきらめ、プレイ・ステーションのリセット・スイッチを押す。この時点で、クラウドのレベル65、所要50時間。



 ○月○日−
 やはり青空はよい。ずっと暗い中にいたので、外の明るさが輝いて見える。曲も短調から、ハイウインドの飛翔する勇壮なメロディーに一転する。ニフティのログや、
中沢氏の攻略ガイドをちょっと見た内容をたよりに、まずは仲間探しに出る。森をしばらくうろついていると、ユフィに出会えた。以前出会った時には、応対が悪くて逃げられてしまった娘だ。また、ニブル・ヘルムの屋敷で金庫を開け、その時手に入れた鍵で地下の部屋に入り、棺桶に眠るヴィンセントに出会える。


 ○月○日−
 飛空艇で、あちこち探索する。いままでストーリー・ラインに沿って目的に向かって一直線に進んできたが、今は自由な気ままさがある。おや、こんなところにチョコボ仙人がいたではないか。何度か通い、山チョコボや川チョコボの作り方を、少しづつ教えてもらう。


 ○月○日−
 空を飛ぶ怪獣に何度か挑み、ようやく倒す。すると強い武器が手に入り、しかも古代の森への道が開ける。いままで目にはしていたが、行けない場所であったが、このようにして道が出来るとは意外であった。虫やカエルが飛び、巨大な植物が繁茂する。虫を植物に食わせて道をつくるというパズルの発想に感心。しかし、ちょっと迷う場所もあり、出口の洞窟にたどりつくまでに時間がかかる。セーブ・ポイントがこの中にないので、戦闘があると少しイライラする。

 ○月○日−
 山川チョコボがようやくできる。チョコボに乗って高い峰を軽々と走り、川を難なく渡るのは気持ちよい。いままで行けなかった洞窟にもはいり、いくつかの特殊なマテリアを手に入れる。かなり装備もしっかりしてきたので、再度、大空洞に挑むことにする。
 しかし、あまり寄り道をしたので、メインのストーリーを忘れかけている。そういえば隕石が迫っていたのだっけ。サブ・ゲームが多いのもいいが、あまりそれに熱中すると、ゲームそのものの緊張感がなくなってしまい考えものだ。ここが、本や映画とちがい、ゲーム機でストーリーを組み上げる際に難しいところだろう。


 7月先勝−
 再び大空洞のセーブ・ポイントに達する。今度はクラウドのレベルも75あるので、敵が楽に倒せる。そして、いよいよ最後のボスに挑む。防御点を破壊しながら戦い、ようやくセフィロス本体がお目見えする。おお、このBGMは合唱付きではないか。

Veni,Veni,Venias,

ne me mori facias.

 なかなか強くて気が抜けず、曲を聴くことに集中できなかったが、確かこんな歌詞だったと思う。
ラテン語であり、「おいで、おいで、さあおいで。私を死なせないでおくれよ。」という意味だ。カール・オルフ作曲の「カルミナ・ブラーナ」にもでてくる歌詞だ。弟も、最後のボスの曲は良かったと言っていた。ここにきて初めて歌を入れるというのも、にくい演出だねえ。

 ようやくラストのボスを倒し、エンディングを迎える。
 圧倒的な質感をもった3Dが続く。素晴らしい。
 そして、タイトルクレジットが流れる。いかに多くの人々が関わっていたことか。おそらく皆、この作品の創造に携わったことを誇りに思っているだろう。
 終わり際の、ジャングル大帝を思わすような雄大な景色もよい。成長したナナキの躍動感あるジャンプには、最も感動した。

 このゲームは、技術の面でも、いままでのゲームを大きくリードした。なんといっても、3Dの空間を自在にキャラクターが動き、背景が自然にシンクロするのが素晴らしい。しかも、こなれたストーリーラインと、キャラクターの的確な描写、徹底したグラフィックスの造形。
 そして何より、詩情が溢れている。品性すら感じる。作り手の熱意と、冷静な計算がうまくかみ合い、本当に一つの世界を作り上げた。
  まさしく、ゲーム史にのこる不滅の金字塔となろう。


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