レガシー オブ タイム

THE JOURNEYMAN PROJECT 3 − LEGACY OF TIME


 アドヴェンチャー・ゲーム「ジャーニーマン・プロジェクト3 − レガシー・オブ・タイム」は、あまり話題になりませんが、たいへん質の高い作品です。
 主人公は未来人なんですが、人類に迫った危機を救うために過去にさかのぼり、危機を回避するための鍵となる遺跡を探します。
 360度まわりの景色が見渡せるシステムは、CRYO社のゲーム「アトランティス」で開発された方法ですが、謎解きに関してはあのゲームより洗練されていると思います。
 ゲーム全体を通して、教養的な要素がかなり盛り込まれています。アトランティス人の知恵や、エル・ドラドの信仰、仏陀の教えなど。グラフィックスは卓越した描き込みで感嘆しましたが、それ以上に、その世界の思想を自然と感じさせていく物語の運びが素晴らしいと感じました。謎解きそのものは、それほど難しくなく、死ぬこともないので、ストレスがたまりません。ですが、次に進みたくてけっこう長い時間やってしまう魅力はあります。それは、それぞれの土地がしっかりと描けているからでしょう。このゲームは、その世界の雰囲気を味わうことが目的になっているようです。
 暴力や魔法やメカに頼りすぎているゲーム界において、知的な喜びをきちんと全面に出した点で、とても評価できるゲームだと思います。
 おしゃべりコンピュータ「アーサー」の吹き替えをした山寺宏一さん、熱演ごくろう様でした。アーサーがいなければ、とても寂しく難しいゲームになっていたでしょう。このキャラクターのポイントがとても高いですね。

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