明日

  <憧れ>    


夜明けが近い、空が白んできた。キーボードを叩く音、ディスプレイの画面の左隅に深 夜放送の映画、右横には打ち込みのファックス原稿。
明かりはランプが一つ。咥え煙草で灰が落ちるのも気にしないで、眼をしょぼつかせな がら、ASSYUは仕事をしている。

もうここ一週間,外に出ていない。次から次から畳み掛けに送ってくる原稿を処理する のがやっとで、トイレと食事と寝る以外、テーブルから離れた記憶が無い。
外に出た一週間前も、ほんの15分気分転換に散歩しただけだ。
便利な生活環境はいいのだが、食料を調達する必要も無いし、体を動かすといったら、 、、、ほとんど無い。

なんとか一心地ついた仕事の手を休め、ネットのメールなど確かめるのにアクセスボタ ンを指定「アクセス!」

「リョウカイシマシタ、アクセスシマス」色気も何も無い返事は、無味乾燥に接続を行 い、10秒後「アクセスカンリョウ、メールゴランニナリマスカ」
「ああ、見るよ、、誰から??」
「レイサンカラノ、オタヨリデス。スグ、ゴランニナリマスカ?」
「OK、見せて、、」

画面全面にメールを表示、右上に画像が現れる。下半分にテキストが表示され、登録し てあるレイの肉声で読み出しをはじめる。

「ハイ!元気?、相変わらず家に閉じこもってんの?青っ白い顔してたら、若い女の子 にもてないよ!今マイアミゾーンで仮想デートの相手探してるんだよ。画像とは言えリ アルタイムに現地の映像送ってくるから、なんだか海外旅行してる見たい(^^)おっ と良い男!!アクセスアクセス!!たまには外でなさいよ。
青瓢箪嫌いだよ、何で君みたいなうらなり君と付き合うようになったんだろね。事実は 小説より奇なりってか。仕事の虫君会いたいな。明日の予定連絡待ってます。
アスカラング・レイより、うらなり君へ。
P.S
たまには外でないとバカになっちゃうぞ。乗り換えちゃうからな(^^)
                         TOKYO 新宿 AM9:0 0

「明日の予定??」休みのめどなんて立ちようが無いほど、仕事が回ってきてるってい うのに、デートかぁ、、、」「しかも、うらなりたぁひどいな、確かにうらなりだけど 、、、、」

風呂に入る準備するのに立ち上がって、浴槽に湯を入れる設定をして、ついでに姿見で 、まじまじと自分を眺める。確かにガリガリで、青っ白い。

「やっぱ、うらなりか、、」苦笑しながら、人工オレンジ100%ジュースを冷蔵庫か ら取り出し、一口飲む。

仕上げをしようと画面に戻ると、NETのスポンサーのCMが表示されてた。どこのC Mか解らないけど、なんだか野生味たっぷりの魅惑的な女性が表示されてて、何か言っ てる。



「現代社会の申し子、仕事に没頭するあまり、ろくに体を動かすことも知らない「あ. な.た!」ぜひ一度当社のストロングマッスル−メンズエステをお試し下さい。たった 2週間で、あなたをたくましい男性へ変身させます。
彼女に「うらなり君」なんて言わ れてませんか?青瓢箪君よ!さようなら、休暇を利用しての変身特別キャンペーン実施 中!さあ彼女の冷たい視線を浴びながら休暇を過ごしますか?、それともたくましく変 身しますか??
ご連絡は*******まで、人数限定ですので本日より先着100名様に限らせてい ただきます。ご連絡をお待ちしています。」



つい見入ってしまったのは、僕だけだろうか。2週間といえば、今年の有休全部じゃな いか、去年はレイに随分バカにされたっけ、「青っ白い」だの、ひ弱だの、女はいいよ な、こんな時代でも同じ給料で、休暇は生理休暇だなんだと男より多い、しかも最近の 風俗まで、働き蜂の男よりキャリアウーマンの方が休暇も資金も持ってるって、女性中 心の店が増えた。

ここは一つ!男を上げてみようか!!なんて妙にレイを意識して、休暇を取る決心をし ちゃおうかな!!。などとレイそっちのけで、考えだしていた。

仕上げた原稿のデータを送信、寝ようしたとき、再度そのCMに釘付けになった。

「ご連絡多数ありがとうございます。予約申し込み後わずか!!お早めにご連絡を!! 」

えっまだ60分たってないのに!

慌てて申告!、連絡は明日、、って、待ちどうしくてたまらなくなってしまってるんで すけど、、、(――;)

レイへの連絡をジリジリしながら待機、もう少しで我慢できないよってぎりぎりのとこ で連絡が入った。

お時間取らせました。駆け込みながら「ASSYU」さまのご予約完了致しました。連 休当日にお越しくださいませ。お名前とパスワードを御通知頂ければ、即時ご参加頂け ます。ご予約ありがとうございます。、、、、

慌ててレイに連絡、「ごめん今度の連休、仕事で埋まっちゃった、、(――;)」、ご まかしてカッコ良くレイに見せようって下心満面ににやけてる。変な奴(^^;)
NETに連絡。強硬に休暇を申請。変わりのパンチャーを依頼して、無理矢理休暇を作 った。やればできるじゃん(^^)なんて喜んだりしながら、一路エステに向かった。
レイに見返してやる、、とか呟いたかもしれない。

フラフラと外出、久しぶりの外に目眩を憶えながら、目的地までの瞬間移動駅に到着、 、麻布まで、、駅員にそう伝えてカードを渡すだけ、、いきなり自動運転通路に乗りこ み、進むままに任せていると、いきなりシュワって体が浮いて、現地に到着。

地図に合わせて向かっていくと、昼間だというのにネオンがキラキラ光るエステの看板 にぶち当たった。自動ドアを入っていくと、制服も奇麗な女性スタッフがお出迎えして る。
顔がほころむのを隠せない(――;)「いらしゃいませ」黄色い声、ドギマギしながら 案内されて、受付へ、、

「ようこそ、プロフェッショナルーメンズエステへ、当店ではお客様の自主性に基ずき 、エステを行っております。当社のエステをご利用に当たって、一切の危険などござい ません。よろしければ次の選択からご指定いただければ幸いですぅん」っと色目使って る。

勧善懲悪筋肉エステ、スマートアイドル筋肉エステ、スタイル抜群逆三角エステの3個 の内の選択のようだ.見返してやりたいのも含めて、スタイル抜群を選んだ。

いきなり選択ディスプレイが見開きに別れ、バニースタイルの女性が、「ようこそワイ ルドメンズ、エステへ 最初は地上に光る物を目標にしてね!」とのたまいながら、移 動床を進む私になげキッスを送るでないか!
なんだ??ここは??と思うのもつかの間、先に見える古代装飾の扉が開く。ジャーー ーン、、そんなアフレコが似合う様に原始時代の風景が広った。

静寂、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 、、、、、

「なんだ???????ここは??????」呟く暇があったのが幸いかの様に、空か ら奇妙な羽ばたきが近づいてくる。ブンッ!!!耳をかすかに擦りながら、その音は離 れていく。見上げると、口先の尖がった恐竜が空を飛んでる!。

エッ??!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

恐ろしくなって、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、 、

「んんいんやぁだぁーーーーーー」と叫ぶが速いか!走り出していた。

入ってきた入り口は、振り替えると無い!!「なぁんだぁ?!!」と叫ぶが速いか羽音 が上から襲ってくる。「ギャッ」とか叫んだろうか??気が付いたら、自分がこんなに 早く走れたのか?と思うくらいに、疾走していた。息も絶え絶えに、辺りを見回すと、 キラリって遠くに光る物がある!。なんだろって眼を凝らすけど解らない。光る物って あれ?」自問自答しながら、空から襲ってくる何かから必死に逃げながら、走りつづけ た。自分にこんなに体力があるとは信じられないほど走りつづけた。

半日ほど走ったろうか、光る物に近づいた。近くに行っても光ってる物体に手を振れる と「ブンッ」って唸ったかと思うと、それは3Dディスプレイだった。とにかく安全ら しい、、ここは。「ようこそぉーー」にこやかに案内嬢が囁く。「このエステはぁ、案 内にもぉありましたようにぃ、、忘れ去られた野生を、男性に求める女性が企画しまし た。どうです??素晴らしいでしょ??」「これからぁ2週間、あなたの体等、特にぃ 危害が加わらない限りぃ、このアクセス光源体はぁ現れないんですぅ。ごめんちゃい (^^)このぉエステをぉー卒業したらぁ「あたし」がぁお迎えしますぅ。逞しい男の 美学って言うんですかぁ?筋肉もりもりって素敵!でしょぉ」「では頑張ってねぇ、、 」って、話してないよっ!!戻れないのって叫んでもアクセスボタンらしきものは、無 い!!。

ようやく身近に危険が無いかもしれないと腰を落ち着けて、地面に座ってみるとあった かい?!。「このまま眠れそうかな?」とか呟きながら横になる眠ってしまってる。ま だ本日は5時!眠るの速いよって、システムは容赦なく対象を弄くる。いきなりピー! !とか鳴るから、ガバッて起き上がると光源が消えようとしてる。消えるって事は、こ こは安全で無くなる??とか考えるまもなく、ブゥン!!プテラノドンが襲ってくる。
「んぎゃ!!」バネが弾けたように飛び上がり、辺りを見回しながら走る走る!!岩場 に到達。岩石の隙間発見!!慌てて潜り込む。とりあえず空の危険は去った。上を見る と空を旋回してる奴がいる。ここを離れそうにない。「ふうっ!」って人心地ついて穴 の中を見ると、光る物がある。近づくと例の光源体だ。「出てこないんじゃ無かったっ け??」内心喜びながらそれに触れると、

「ASSYU様メール到着してます。ごらんになりますか??」

「見る!!誰??}

「レイ様からのアクセスお届けいたします」「ハーーイ!レイでっす。あんたバカァ? ?エステで何してんのよ?連休会えないって言うから、会社に問い合わせたら休暇とっ てるし、自宅にアスセスしたらここにいるってじゃない!。繋いでみたらエステだって ぇ(^^)私にいいとこ見せようって鍛えるの?頑張ってね。私さっきの手紙で書いた 良い男とデートするからね。知らないよ。運がよけりゃ2週間後またデートしようね。 んじゃね。文句無いでしょ。一人で遊んでなさい。バイバイ」

「そんなぁ、聞いてないよぉ、こんなとこなんて!!」

いつのまにか消えてしまった光源にガックリとうなだれた。もう暗くなってきてる。と にかく寝よう。腹へってるけど。穴の中で横になる。途端にいびきを掻き始めた。ぐる るる、、変なうめき声が穴の底から聞えてくるのを、気づきもしないで、、、、、


  作者のコメント
ASSYUです、楽な生活が当たり前のご時世に、皆が求めるのは楽でない世界だった りして(^^)


お便りお待ちしています。
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