明日

  <明日>    



暗闇、、、、
べっとりとした得体のしれない物質にまみれた壁、、、蒸し暑い空気、半壊した 壁の穴から時折閃光がほとばしる。甲高い衝撃音、、耳障りだ、、。
閃光に当てられた先に、ほんの一瞬汗ばんで疲れ果てた兵士の顔が浮かぶ。
壁の穴から外を覗くと、超低空弾道ミサイルが建物すれすれに蜘蛛のように、一点に向かって、正確に滑るように飛んで行くのが見える。
また一つ、、炸裂するたびにほんの瞬間の閃光がほとばしる。

目的地は、、霞ヶ関ビル最上階、、電磁バリアで守られている為、少々ではコア まで到達しない。崩壊した首都は、占拠された霞ヶ関付近を覗いて、跡形もない。
残る残骸に、俺は、もう30時間は待機してると思う。これはもう戦争なんてしろものじゃない。種の保存を賭けた殺しあいだと思った、、、。

アメリカの人種騒動が、アメリカを崩壊して10年、世界に波及した。
世界は崩壊した、、、、、原爆を使うまでもなく、人種の坩堝と化していた世界 は崩れ去った。

日本は、同一種が幸か不幸か、波及を免れたのは良かったが、全世界のあこがれ の的になった。トウキョウを取った人種が世界を制す。いつの間にかそんな事が ささやかれ、東京は戦地と化した。名目だけの国連軍と侵略する正体不明の軍団 が、霞ヶ関付近で領地奪還を賭けて交戦していた。

そこに俺はいる。家族はみんな死んだ、この騒動で、、、やけくそのなった訳で は無い。ただここで呆然と死ぬのが嫌だった。だから国連軍として戦いに志願し た、、、。

外に数人の足音、「静かに、、!!」小声で小隊長が呟く、、、。静寂の中に、 別の隊が進んでいく。彼らも霞ヶ関の奪還に向けて、駒を進めている。

「あいつらも死ぬのかな、、」誰かが、、細く呟く、、、。
「おまえは死にたいか?、、」別の誰か、、、、。
「うるせえな!死にたきゃここを出な、すぐ死ねるぜ!」低く静かな声で他の誰 かが怒鳴る。誰も反論しない。

静寂、、、、、、

「明日はあると思うか?お前、、?」俺の隣で突然声がした。
堀の深い柔和な顔に皺を蓄えた初老の黒人だ。
「えっ、、あぁぁ、、なきゃここに居ないでしょ?」と俺、、。
「あって欲しいよな。」と彼。
「そりゃもちろん!、何の為にここにいるんだか?、、、」何の為にか俺も理解して無いけど、そう答えるしかなかった。
「俺の家族だ、、」いきなり写真見せられた。
「いいっすね家族いて、、」相手の気持ちなどお構いなしだ、、、こいつ。
「そう、、いい家族、、」と沈黙、、、。

いきなり「うわぁ!!まだここに居なくちゃいけないのかよう隊長!!」と一人が 叫ぶ。「静かにしろ!居場所が分かってしまう!!」と隊長が押し殺した声で言う が早いか、索敵ロボットの威嚇レーザーが飛んできた。ビシッ!と鋭い炸裂音と飛び 散る壁。即座に攪乱電波を放射、認識できずに移動していった。

「馬鹿な奴だ.何考えてんだか、まだ生きる気でいるから困ったものだ」と隣、、 。
「そんなぁ、、生きたいからここにいるんでしょ?」、、俺はつい言ってしまった。
「生きたいさ、そりゃ、、じっとしていても生きていけないからここに居る、、」
もう答える気もしなかった。すこし気分がめいった。
蒸し暑さと、止めどなく襲来する爆撃の閃光の中、緊張に眠れないまま過ごす時間に限界が近い気がした。

と携帯指令電話にMES、、ピーピーと短い音、隊長が確認。
「攻撃命令、明日0100時、即座に所定の位置へ移動されたし」
疲れ切った隊長の声「行くぞ」
武器のきしみ会う音、装備を身にまとう音、荒い息づかい、静寂の中に緊張の音が、聞こえる中、出発の準備を終わり、移動開始。

索敵センサーを攪乱しながらの行軍は、遅々として先に進まない。でもじっと、先 の解らない静寂より気が楽だ。

一人が立ち止まる。隊から離れれば、即座に場所を索敵され、レーザーが飛んでく る。
「どうした?」近寄りながら聞く隊長。
「自分は、、行きたくありません、、」
「そうか、では帰れ。帰る場所があるのなら、」押し殺した声ではあるが、はっきりとした口調で隊長。
「死にたくありません。勝ち目の無い行軍についていきたくありません」嗚咽、、
「ばーか、失せろっ」と誰か、、
「まあ 待て、、俺たちの明日はな、、、」呟くように隊長。
「あそこの先にしかないんだ。」霞ヶ関80階の敵本拠地を指差してさらに呟く。
「解るな?」
こっくりと首を振るしかなかった。
「行くぞ」と隊長は促す。

もう誰も口を出す奴は居ない。ただ、ただ、進んで行くしかなかった。
明日に向かって、、


  作者のコメント
、、、、、、
しゃにむに進むしかないって思えるときが、一番充実してる時なのかもしれません。
何もしなくても生きて行けそうな今は、一つ何かが狂ってしまったら、誰も何もできない世界なのかもしれません。                                

           ASSYU


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