Im Who「「俺は誰だ!「「
目を開けると、夜霧が目に入ってきた。首を回すと、レンガ堀が見える。小さな袋小路の底のようだ。
こんな所に、不様に倒れいてるのは好きなことじゃない。さて、何処に向かおうか?
……そう思ったとき、始めて気が付いた。俺は……、俺は、いったい誰なんだ?まあ、こんな所に立ち尽くしていても仕方がない。だから、ここは足に道を任せ、とにかく歩き出す。
が、ふと足を止めて、ポケットをひっくり返す。タバコを引っ張り出すと、口に銜えた。あと残り二、三本、近くの自動販売機の中にはコイツはなさそうだし、どの道コインがありゃしない。その内、口が寂しくなるに違いない。煙りを一息大きく吐き出すと、それを見てふと思う。この煙りと霧が混じってもう少し濃くでもなったら、俺の手でさえ何処に居るのか判らなくなるだろう。
あぁん。何か思い出したぞ。重要なこと、大切な……。
セミロングの女の子……、とは違う、女の人。誰だ? くそう、思い出せない。
まあ、自分の名前でさえ思い出せないような頭だしな、仕方ないっちゃあ仕方ないんだが。
可愛い。……うん、美人って言うんじゃなくって、ふと目を引く可愛さって感じの女性……。
記憶喪失になってさえ覚えている女性、もしかすると、恋人だったのか?
まあ、どの道彼女なら、俺のこと何か知っているに違いない。
逢えるのかな? 今、世界中にどれだけ人間が居るんだろう。ましてやその中から、たった一人の女性。
ん。逢える率の方が、圧倒的に少ないんだなぁ。
そろそろ朝日が昇る時間なのだろう、分厚い霧の壁を通してだんだんと開けてきたのが判る。
ポツリポツリと、朝の早い人が出て来た。もう二、三時間もすると、人がゴミのように出て来るんだろう。人ゴミとは、よく言ったものだ。
目の前を、通り過ぎる影……? 霧のカーテンと、ちょいとした距離を通しても判る。彼女だ!
足が駆け出す。人の脇を通り抜け……。
気が付いたらしい、こっちを向いた。手を上げる。「「驚いている?「「が、そのまま小さな路地に入って行く。…………?
勿論、俺も飛び込む。……と、三折りピンナップのように、彼女が目に飛び込んでくる。そして、彼女の手に握られている物、パラライザーも。
……そして、それが火(?)を吹いた!
薄れて行く意識の中で、全てを思い出した。
俺の名は、……いや、もうどうだっていいことだ。俺は、不法空間跳躍者。そして彼女は、並列空間パトロールの俺の担当の移動パトロール員だった。
勘違いだったんだ。勘違い……。
作者のコメント
お便りお待ちしています。
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