おかえりなさい

  <おかえりなさい>    



おかえりなさい


トン トン トン


 夜遅く、階段を昇る足音が聞こえる。
ーきっとあのひとだー
 あたしは、玄関にお迎えに出る。


「ただいま」
 ここのところ、忙しくて、寝不足の顔の、あの人が 帰ってきた。


「あーっ、疲れた。めし、めし、はらへった・・・」
 ネクタイを緩めながら、あの人は、テーブルの上に買ってきた夕食を並べて、食べはじめた。食べながら、TVをつけて、おまけに雑誌まで読みはじめた。
ーちょっと、お行儀悪いわよ。でも、ま、いいかー
あたしは、食べているあの人の顔をじっと見ていた。
「ん、何だよ。やっぱり、行儀悪いってか?いいだろ。今日ぐらい」
 ばつの悪そうな顔をしながら、あの人が言う。
ー今日ぐらいじゃなく今日もでしょー
「ごちそうさま。さて、風呂、ふろ・・」
 食べた後の皿を運んで、風呂場に向かう。
 あたしは、お風呂から聞こえてくる、シャワーの音と鼻歌を聞くと、 部屋の方に行った。
 少したつと、お風呂からでで、缶ビールを持ったあの人が部屋に戻ってきた。


「さあって、続き 続き」
 そう言うと、パソコンの電源を入れて、何かゲームをはじめた。あたしはベッドの上にのって、ゲームをしているあの人を見ていた。
ー何かここのところ寝不足だって言っているくせに、毎晩パソコンをいじっている、大丈夫かしらー


「ふぁぁぁ・・・」
 遂に、あの人が欠伸をした。
ー相当眠いみたいー
 あたしもつられて欠伸をする。
「さあって、寝るか」
 あの人はパソコンの電源を切って、ベッドの方に向かってくる。あたしはベッドから降りた。
「なんだよ。一緒に寝たいのか?ん?」
 そう言いながらあの人はベッドに入って行った。
「ほら来いよ」
 あの人は布団を持ち上げてくれた。あたしはあの人の腕の中にすっぽりと入り込んだ。
「本当にお前はあったかいなぁ」
 あたしを抱き締めながら、あの人は眠りについた。あたしもあの人の温もりを感じながら眠りについた。


ーでも人間だったら良いのになぁー


 あたしはあの人の飼い猫。


  作者のコメント
ミャーとは違う猫のお話です。
でも、身につまされる人が沢山いると思うけど。 あなたはどうですか?


お便りお待ちしています。
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