<レイニーナイト>


FU……。まだ降ってる、雨。6月の中頃だから確かに「梅雨」ですけどね。9時半、TVを見る気にはならないし、かと言って、寝ちゃうにも早いし……。

DON、ドン。誰? こんな雨の中を来るもの好きは。私がドアを開けると、そこには女の子。長い髪が雨に濡れている。
「お願い、かくまって」

ちょ、ちょっと待ってよ。かくまってくれったって。冗談じゃないみたいだし。彼女びしょ濡れだし……。外に立たせとくのも何だし、可愛いし、決めた。
「早く、早く入って」
彼女を内に入れる。バスタオルも放ってあげる。
「どうしたの、そんなに濡れて」
「追われてるんです」

へっ? 追われてる。外に人の足音。追っ手?
私、彼女を風呂場に押し込んで、
「湯舟の中に入ってなさい。絶対に出て来ちゃダメ」
お湯が入ってるけど、アッ服着たまんま……。
ま、いいか。どうせズブ濡れだったし、
それよりもっと。大きく深呼吸。

ドンドン、ドンドン。ドアを壊しそうな程、強くたたいている。ドアチェーンをしたまま。
「はーい」

ドアを開ける。外には、2〜3人の人。同じ服着てる。私、そういう人、キライ。
「誰か 訪ねて来ませんでしたか?」
独りが言った。大人しい口調で。
「別に、誰も」
「あなた、うそはいけない。かくまっているでしょう」

ふ〜ん。人の事そう言うの。夜なのに、グラサンした人が。ふ〜ん、人が目一杯、気分の悪い時にね。ふ〜〜ん。
「何の用よ、人の所に来て、うそついている。ついてないなんて、関係ないでしょ。さっさと、帰ってよ。警察呼ぼうか 」

普通だったら、こうタンカを切ると帰ると思うけど……。
「あなた、うそいけない。うそついてなければ、部屋を見せなさい」
う〜〜ん、汚れてるのよね。どうしよう、考えをめぐらす。手もとの竹刀をつかむ。
「独りだけ。他の人は、離れててよ」

オールオアナッシング。

ドアチェーンをはずし、独りだけ、内に在れる。
「ほら」
風呂場、トイレ、押し入れを 手早く見せる。片づけときゃ良かった。手早く見せると、
「彼女をかくまっては、いけない。彼女は……」
言葉の途中で、私はドアを閉めた。大人しく帰って行ったみたい。少なくとも表面上は。

私は彼女を風呂場から出すと、部屋に入れた。長い栗色の髪、髪を上げると可愛い顔。でも……目が、瞳がピンク色。薄いピンク色。片っぽは黒。
「あなたの目……片目が……」

彼女は、キョトンとして、
「あっ、目ね」
そう言って、下を向くと……。
今度は両方共ピンク色の瞳。頭の中が、混乱しちゃう。まるで、SFじゃない。

「あなたは誰? 宇宙人? それとも……」
彼女は、すっと立つと、ずぶ濡れのはずの服も乾いていた 

「私? 私の名は、リュール。あなた達の言葉で言うと、「天使」であり「宇宙人」でもある存在」
「リ、リュールって、名前? 種族の名?」
なんちゅう質問だろう。
「名前かしら」
小首をかしげて、リュールは答えた。きれい。

「あなたの名前は?」
「久美子」
彼女は発音しずらく、クーミンと呼んだ。
なぜか、リュールの瞳の事も忘れ、二人共話し込んでいた。

今日は、リュールにとって、久し振りの休日で、地球に降りて来たのだそうだ。そこで悪魔崇拝者達〈サタニスト〉に、追っかけられて、逃げ込んで来たというわけ。
悪魔崇拝者達は、リュール達の休日を調べ上げてあって、時々、つかまる仲間もいるそうだ。他にリュールは、宇宙のことも話してくれた。私達は、話し込んでいた。

そして、別れの時、リュールは指輪をくれた。そして、私の額にリュールの手が触れた。

    次の日、久美子はベッドの上で目覚めた。
    雨は上がって、青空が見えていた。


お便りお待ちしています。
戻る
露珠のホームページへ