インサイド介護保険 その14

まずは、宿題の答えです。

ショートステイの利用日数を最大にする方便はこうです。はじめの数ヶ月で本来の利用枠を目いっぱい使って使い切り、残りの期間は振り替えを目いっぱい使います。これにより、要支援でも6ヶ月で最大49日、要介護5ならば最大116日の利用が可能です。ただし、現実にはこれらの最大化オプションが使われることはまずありません。

ショートステイの限度額を増やすオプションとしては、本来の枠を倍にする「次期拡大措置」と、訪問通所の限度額を振り替える「特例措置」があります。このうち、枠を倍にの方には「申請月の3、4ヶ月前の入院・入所が7日以内」という制限がつきます。ショートステイをよく利用する方にとってこれは非常にきつい制限で、まずもって次期拡大の対象にはなりません。ですから、この拡大措置で短期入所の限度額が倍になっている方は大勢いますが、それはショートステイをほとんど利用しない方ばかりです。既に限度額目いっぱいなので、本当に枠を増やしてほしいという方は、まさに「既に限度額を目いっぱい使っている」という理由で枠が増えません。

一方、振り替えの方には「本来の限度額を使い終わってから」で「月14日まで」という制限がつきます。こちらはたまーに利用されているケースがあります。ただし、最大でも月に14日までですし、自治体によっては振替分の利用料は償還払いになります。「月に14日もつかえればいいじゃんという」意見もありましょうが、措置制度の時代には連続3ヶ月まで利用できたんですよ。しかも、償還払いでは一日一万円程度の負担です。

こんなわけで、せっかくの限度額拡大もあまり有効利用されていません。利用したくても利用しにくい、あるいは利用できないといった方がいいでしょう。だから、お上が「こーんなにいろいろ考えているんですよぉ」って恩着せがましく言っても、騙されてはいけません。使えない制度であれば、それはないのとおんなじですからね。


「くらしと医療」2000年10月号


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