インサイド介護保険 その13

「利用者がサービスを選択できる」が売りの介護保険ですが、現実にはなかなかそう上手くはいきません。なにしろ制度が複雑すぎます。今回は、例として「ショートステイはどのくらいまで保険が効くか」を考えてみましょう。

まずは基本のおさらいです。

どの介護保険本にも必ず出ている一覧表です。さらに認定有効期間が6ヶ月間でない場合は月割りで端数切り上げになります。以前、このコラムで限度額管理期間を細分化すればショートステイの限度額が稼げると書きましたけど、制度運用上は、限度額管理期間=認定有効期間となるため、残念ながらそういうことはできませんでした。すみません。

それはさておき、短期入所には利用限度日数を延長するオプションが二つあります。

まず、「訪問通所の区分支給限度基準額の短期入所の利用限度日数への振り替え(特例措置)」というのがあります。詳細は省きますが、本来の短期入所の限度額を使い切ってしまった月から、訪問通所の支給限度額の残り分を短期入所に振替できる、ただし一ヶ月最大で14日までとする(本来の限度額にはこのような上限はありません、限度額を一ヶ月にまとめて全部使うこともできます)、というものです。振り替えのレートは概ね1000単位/日です。

これを目いっぱい使うと、要支援(訪問通所支給限度額6150単位)の人でも6ヶ月で50日近く短期入所が利用できます(はじめの月に本来の7日+振替7日、以後毎月振替分7日のペースで利用)。ただし、一ヶ月あたりの利用日数は、はじめの月に14日利用できる以外は、月7日に制限されます。

大分複雑になってきましたが、これに加えてもう一つ「訪問通所サービス利用実績が6割未満の場合の次期認定有効期間に係る枠拡大措置(次期拡大措置)」というのがあります。認定の更新を申請した月の三ヶ月前と四ヶ月前の月の訪問通所サービスの利用実績が6割未満なら、次の認定有効期間の短期入所の限度額を二倍にしましょうというものです。ただし「但し書き」がつきます。当該月(三ヶ月前と四ヶ月前)に、短期入所を限度額以上使っていたり、八日以上入院・入所(短期入所を含みます)していたりするとダメなのです。

さて、読者に宿題です。これらの期間延長オプションをどう組み合わせればショートステイの利用日数を最大にできるでしょうか?


「くらしと医療」2000年9月号


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