犠牲と欺瞞に満ちた戦争が、早く終わることを祈ります

予定を変更して、戦争報道のことを書きます。湾岸戦争のときよりは改善されたといいますが、所詮は「同盟国が」仕掛けた戦争の報道です。うーんと割り引いて、冷ややかに見るべきです。以下、私が気になったことのあれこれをまとめます。

まず「xxxを攻撃(爆撃)しました」「イラク軍の反撃を受けました」という言い方。こういう言い方が堂々とまかり通るということは、「日本も仕掛けた側である」と認めていることに他なりません。両方が出てくるときも、「イラク軍は、アメリカ海兵隊との交戦で・・・」という言い方は絶対しない。つまり、報道は中立でもなんでもない。さすがに「友軍が」とまではいわないところがせめてもの救いでしょうか。何とも情けない話です。

「精密誘導爆弾を使って軍事施設のみを標的とした攻撃をする。民間人の犠牲は極力出さない・・・」湾岸戦争以来のお決まりの説明、ないし弁解です。本当はそうじゃないからこそ、大丈夫を強調するのでしょう。さすがに、今これを真に受けている人は少ないでしょうが、それでも「誤爆」さえなければ安全だって思っていませんか? もちろん、こんなの嘘っぱちです。

第一、ビル解体のときに何時間もかけて周到に爆薬を設置することを思えば、単純に上から落っことす爆弾で、周囲に被害を出さずに特定の建造物だけを破壊できるはずがありません。とすれば、隣に爆弾が落ちて無事でいられるわけがないし、爆発は遠くても爆風で窓ガラスが割れればそれで大怪我することだってあります。だからこそ、飛行機やら偵察衛星やらといった遠くからの画しか見せないのでしょう。そんなにピンポイントに自信があるなら、自国の都市の廃ビルを精密誘導爆撃で「安全に」解体し、それを隣のビルからCNNに生中継させてはいかが?

「イラクは軍事施設を民間施設に隣接して作るから被害が拡大している」というのもありました。コラコラ、それじゃあ厚木や普天間は何だ? それとも、アメリカはイラク戦争の反省を踏まえ、民間施設に隣接する米軍軍事施設を撤収するつもりですかな? こういうときこそ、君の出番なのだよ、コイズミ君。某国のミサイル攻撃を憂慮して戦争支持を決めたし、おまけに法律も作ろうってんだから、標的を国民から遠ざける努力もしておくれ。

「イラクの大量破壊兵器は、国際社会の重大な脅威であり・・・」といいますが、少なくとも現時点において、兵器で大量破壊をしているのは、カネにものをいわせてニ週間に七百発も巡航ミサイルを打ち込んでいる方だと思います。劣化ウラン弾、クラスター爆弾、爆薬の量がべらぼうに多くてきのこ雲が上がる爆弾、地下何メートルまで破壊できる、つまり地下の防空壕に隠れている人まで殺そうという爆弾、、、こういうのがまさに大量破壊兵器じゃないですか。

犠牲と欺瞞に満ちた戦争が、早く終わることを祈ります。


「くらしと医療」2003年4月号


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