アマチュア演劇について

Q:アマチュア演劇とは?

A:利潤追求のない舞台表現である。

技量や規模、まして芸術性なんて言うのはまったく関係ありません。

当然、金額の大きさに違いこそあれ入場料も戴きますし、来場者数も気にします。

プロとアマチュアの差は、公演するために必要な制作費の中に、上演関係者の生活費が入っているかいないかの違いです。

アマチュアの中にはプロ以上に、実力があったり知名度の高い人もいます。

利潤追求がないだけに、作品性をより純粋なものに仕上げやすいという利点があります。

そのためアマチュア演劇にありがちな「自分たちは他に仕事があるのだから大したことは出来ない」という活動理念は成り立ちません。付き合いで前売り券を買わされて手間をかけて劇場まで来てくれる人に、単なる自己満足を程々の帳尻あわせで見せ付けていることになってしまいます。

アマチュア演劇人に多く見られることですが「仕事があるので大したことは出来ない」としながら‘演技力’などという大それた事を気にしています。どういうわけだか演劇をやりたがる人達は、集団で一つの気分に酔いしれようとする傾向があるみたいです。その最も陥りやすい矛先が‘演技力というものがある’という幻想です。

そういったものはアマチュア演劇人にはありません。またそう思わなければ、アマチュアの演劇活動というものが成り立ちません。もし本当に演技力というのがあったなら、そしてその人が芝居を好きならば、違った世界に生きているはずだからです。

あくまでもアマチュアとプロの差は、利潤追求の有無です。しかし利潤があると言うことの副産物として、生活がかかっているという後のなさと、厳しい指導者の目が光ることで自ずと演技力というものが磨かれていきます。

だから‘アマチュア演劇人は演技力がない’ということから話を進めます。

演技力があるはずもないアマチュア演劇人が、しなければいけないことはなんなのか?

そのためにもう一つ確認しておかなければならないことは、‘個性’などという天性の幸運は完全に存在すらしていません。

あるとしたら‘個癖’です。

知らない人が目の前で縦横無尽に振る舞うことは、誰が見ても不快です。それは誰しもが持つ独特の癖がもたらす感覚です。

その癖を消そうとする試みの一つが、役者用基礎トレーニングというメソッドです。

そのうえで演技力がないとして、どうすればいいのか。

それは、いかにリアクションをきちんとこなすかに、終始します。

演技力がないのだから、その役に見えるなどと言うことは皆無です。その役者個人の力だけでは役の組立ては不可能なのです。だから周りがそう見えるようにしてあげること、それがアマチュアにとって必要なリアクションの全部です。

この必要なリアクションを成立するために、まず行わなければいけないことは、脚本の読み込みです。

では脚本を読み込むとはどういうことかというと、脚本の持つ物語の仕組みを理解することです。

一般的に物語の仕組みは主人公がいて、その主人公を取り巻くエピソードが主軸になります。

そのエピソードの展開はどうなっているのか、そのどうなっているのかと言うロジックを確認する作業が読み込みです。そして読み込んだことで開幕から閉幕までの想定ができれば、脚本を読み込んで理解したと言えます。

ではその「どうなっているのかと言うロジックの確認」をどうやってするのか?

それはまず「各キャラクターがなんのためにいるのか」から始まります。

つづく

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