木暮正美
健康って何でしょう?〜その8〜今回は睡眠について話をしましょう。外来でも多くの人が不眠を訴えられます。一番簡単には、薬を使っていわば強制的に眠りに入る方法があります。皆さんが心配するほど副作用や習慣性があるわけでもないので、薬を使うのもそれほど悪いことではないと思います。ただ薬に頼らず睡眠がとれればそのほうが良いわけで、それには誰でも考えることですが、自然のリズムに合わせた生活をするのが一番です。つまり、太陽の運行に従って日が昇ると起き、日が沈むと休むのが良いことは明らかです。 また、インドのアーユルヴェータの話になりますが、アーユルヴェータでは1日を4時間ごとの6つに分けて考えます。そのうち夜の6時から10時までが眠りに就くのに良い時間とされています。つまり、気持ちが落ち着いて眠る準備が出来ている時間です。 この時間を逃して10時以降になりますと、だんだん目がさえてきます。本来この時間は代謝のための時間ですから、この時間帯に眠りについていれば、代謝がうまく働き新陳代謝が活発に行われます。その結果、細胞内の老廃物は排除され、翌日の活動のためのエネルギーも蓄えられ、細胞は若返ることになります。でも、起きていては代謝が充分できません。 次の2時から6時までの時間は運搬の時間です。また、働きやすさ、軽さの時間でもあります。つまり蓄えられたエネルギーを必要とされる場所まで移動し、活動に備える時間です。次の時間は再度眠りの時間が回ってきますので、朝6時を過ぎて目覚めると、眠気が残ってスッキリと起きられません。起床後も体が重く、一日中どんよりとした気分を引きずりがちになります。睡眠はいかに一日のリズムに同調してとるかも重要なのであって、時間だけの問題ではないのです。 体調が乱れたり、日常生活での刺激や興奮が過剰だと、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりという、いわゆる不眠症の症状がでたりします。そのような場合は、次のようなことに気をつけると症状を改善できます。 まず、できれば就眠時間の1時間くらい前から刺激的な音楽やテレビ、神経を使うような本などは避けて、静かに過ごすようにします。その後、熱すぎないお風呂でゆっくり温まるようにします。就眠前はカモミールなどのハーブのお茶を飲んだりホットミルクをカップ半分ほど飲んだりするのも良いでしょう。そして10時までに布団に入ることを心がけます。 以上のようなことを日常生活の中にとりいれれば、しだいに不眠症は改善されます。 また、もし布団に入っても、なかなか眠れないことがあったとしても、電気を消して、目をつむって横になっているだけでも、眠っている時の7割程度の休息はとれているものなのです。ですから、眠れなくてもあまり心配しないで、静かに横になっているようにしましょう。
(次号につづく)(前号を参照する) |