表紙あらすじで読む文学作品>くっすん大黒


 「くっすん大黒」  町田康 文春文庫


     

 って、楠木は、ふと働くのは嫌だな毎日ぶらぶら遊んで暮らしたいなと思って、部屋にいるうちに妻がいなくなったのである。部屋の中に大黒さまの置物があって、どうやっても立たないので、そいつを捨ててしまおうと思ってあれこれするが、邪魔が入って捨てられない。んで、かつて楠木正行がレコード吹き込んだり、モデルやったりしてたときのわけのわからぬ作品を気にとめる奴がいて、菊池元吉というのだけが唯一位までも交流のある奴で、そいつに大黒を売りつけて始末しようと思ったのだが、買わないという。そのうち金がなくなり、古着屋でバイトすることになり、変態おばさんに姦られる。
 自宅に戻ると、上田という蛸芸術家のドキュメントをインタビューでつくるのに出演依頼。十万円で契約して取材旅行。上田は行方不明。おばさん連中は上田と何回やったとかいう自慢話になり、桜井は一回もないのを悲観して飛び降り騒ぎだ。カメを火で燃やして爆発させてるところに上田が来て、口止め料として八万円置いていった。
 二人は自立できない大黒のころがる真似をしてみる。
 
 「河原のアパラ」
 
 天田はま子 「みんなのうどん」店員。非常識、ケチ、猿をつれてくる。
 淀川五郎 うどん店員。シボレーアストロに乗る。
 津山幸男 五郎のセッション仲間。変死。
   民子 幸男の姉。
 オレ   常識男。広告会社をやめて、うどん店員になる。
 
 オレはガスの出ないアパートに暮らしていて、ケンタッキーを食いに来たのだが、フォーク並びもせず、勝手に割り込む連中を前に、おおブレネリを歌ったのだ。というのも、うどん店でまじめに働いていて、非常識な天田はま子が猿を連れてきて、そいつが逃げて、つゆの中に入ったので、怒ってぶんなぐったら、警察ざたになって、そのアパートにしけこんだのだ。そこへ五郎が来て、元このアパートに住んでいた奴が変死したので、その骨を実家へ届ける仕事を手伝ってくれという。友人に借りたシボレーアストロに乗って出だが、道に迷い、プレハブ小屋に、津山の家だとだまされて連れて行かれ、畜肉を食わされそうになるが、突然いなくなり、シボレーアストロも消える。二万円で女を買い、外へ出ると、何かミュージカルの撮影をしているところ。
 新聞に天田はま子が殺された記事。やばいと思いつつも、ミュージカルの歌がおかしくて爆笑。