朗読者 ベルンハルト・シェリンク 新潮社
十五歳のぼくは、黄疸にかかる前、嘔吐するところを三十五歳のハンナという女性に介抱される。
治ってお礼に行ったとき、着替えを見てしまい逃げ帰る。
再び訪ねたとき、二人は関係をもつ。
彼女は都電の車掌で、文盲だった。
ぼくは彼女に本を読んでやる。
彼女は突然失踪するが、文盲がばれるのをおそれたせいだった。
数年後、大学生のぼくは裁判所で被告の彼女に会う。
ナチスの強制収容所の看守としての罪を裁かれているのだった。彼女はここで文盲がばれるのをおそれて自分に不利な証言をする。
無期懲役となった彼女のもとにぼくは朗読テープを送る。
その間、ぼくは結婚するが彼女を忘れられず離婚する。
十八年の刑期を終え出所する日、彼女は自殺する。
服役中、彼女は朗読テープと本を対照しながら字をおぼえ、ぼくに返事をよこしたが、ぼくは何も返事を書けなかった。
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